7月8日、アフガニスタンに関する東京会合が開かれました。この会合は、70の国や国際機関が一堂に会し、2014年以降のアフガニスタンへの金銭的な支援を約束することを目的とするものです。

NATO軍が2014年末に撤退することもあり、支援の額や、治安維持の側面ばかり強調されている中、アムネスティは人権の観点を盛り込むよう、下記の3点を訴えてきました。

・50万人に上る国内避難民の要望を満たすこと
・女性の人権を改善すること
・アフガン軍のアカウンタビリティ(説明責任)を担保すること

 

「アフガニスタン国内避難民」アクション

afghanistan01_201207.jpg日本支部と韓国支部を通じて集まった署名。その数、5000筆!

本会合にあわせて、アムネスティは7月から、日本支部と韓国支部合同で、国内避難民保護を求める署名アクション:見捨てられ、死に追いやられるアフガンの避難民を行いました。

わずか1ヵ月にもかかわらず、日本で2144筆、韓国で2856筆の合計5000筆が集まり、両国の外務大臣に届けられました。


アフガニスタン調査員の来日

afghanistan02_201207.jpgドイツの外務省でアフガニスタンとパキスタンを担当するフィリップ・アカマン氏とホリア・モサディク調査員

この東京会合に向けて、アムネスティ国際事務局のアフガニスタン調査員、ホリア・モサディクさんが来日。彼女は、アフガニスタンの女性活動家であり、ジャーナリストです。彼女は19年以上、アフガニスタンで、メディア、人権、移行期の正義、そしてジェンダーの分野に携わってきました。

7月4~8日の滞在中、ホリアさんは、勉強会や記者会見など、多くのイベントに出席し、今回の会合で、アムネスティの訴える人権の視点が反映されるよう、さまざまなロビーイングを行いました。

また、イギリスのアンドリュー・ミッチェル国務大臣や、ドイツの外務省でアフガニスタンとパキスタンを担当するフィリップ・アカマン氏らと会い、アムネスティの公開書簡を手渡しました。


アムネスティの声が届いた!

東京会合は、NATO軍などで構成される国際治安支援部隊が2014年末に撤退することから、2012年から2015年までの4年間、各国と国際機関が協力し、計160億ドル超を資金拠出するとした「東京宣言」を採択して、閉幕しました。

アフガニスタン政府はこれまで、国内避難民を「都市スラムに住む貧困層」とみなし、彼らの問題に取り組んできませんでした。

しかし、日本と韓国で集まったアムネスティの署名を始めとして、世界中から寄せられた市民社会の声が反映され、国内避難民や帰還する難民の問題が本宣言に盛り込まれました!(※1)

また、アフガニスタン治安部隊のアカウンタビリティ(説明責任)と、人権の重要性にもふれられています。(※2)
 

今後も続く、私たちの取り組み

しかしながら、こちらの宣言が採択されたからと言って、状況が劇的に改善するわけではありません。私たちは、アフガニスタン政府や国際的なドナー国が、宣言した通りの約束を守り続けていくかを、注視していく必要があります。

東京宣言が守られるかどうかは、私たち市民の手にかかっているのです。

 

※1「参加者は、アフガニスタン難民及び国内避難民の持続的な帰還と社会復帰が、治安と安定のために不可欠であることを強調した。(中略)アフガニスタン政府と国際社会は、アフガニスタンの近隣諸国、特にパキスタンとイランが、困難な時期に何百万人ものアフガニスタン人を難民として一時的に受け入れる負担を認識し、アフガニスタンの人々の自主的で、安全で、秩序だった帰還に向けて更に取り組むことにコミットする」と記されました。

※2「アフガニスタンが、民間人(特に女性と子ども)を保護し、憲法を尊重し、国内法及び国際法を遵守し、十分に訓練され、能力が高く、信頼のあるアフガニスタン治安部隊(ANSF)を保持することの重要性を改めて確認した」、また、「アフガニスタン社会において和平プロセス及び平和と人権の文化を支援する市民社会組織及び女性団体の参加の重要性を強調した」と記されています。



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開催日 2012年7月8日(日)