12月10日は、世界人権デーです。この日に合わせ、 2016年12月10日、石川えりさん(難民支援協会 代表理事)をお招きし、「世界の難民と私たち~日本の私たちにできること~」と題して講演会を開催しました。

当日は、35名の方がお越しくださり、質疑応答では参加者とゲストの間で活発なやり取りがありました。

今回、石川さんをお招きしたのは、過去に私たちが開催したイベントでのアンケート結果から、難民問題に関心をお持ちの方が多かったことに加え、急増する難民の命と安全を守る「I WELCOME」キャンペーンが、全世界のアムネスティの支部で始動したことがあります。

この講演会を主催した、アムネスティ日本 ひろしまグループの野間が報告します。

「難民支援協会」設立のきっかけは、電話で聞いた難民申請者の声

講演中の石川えりさん講演中の石川えりさん。冒頭、広島カープ優勝への祝辞を述べて、会場の雰囲気を和ませてくれました。尊敬する大学の先生が、大のカープファンで、優勝の瞬間、海外の空港で独り万歳して衆目を集めたとか。

石川さんが難民問題に関心を寄せるようになったのは、高校生の時、アムネスティの東京事務所でボランティアをした際に、電話で難民申請者の声を聴いたことがきっかけとのこと。

苦境を訴える難民の声を聞き、彼らのために自分でも何かしたいと、大学卒業後も、難民支援協会の創設に取り組みました。

難民支援協会は、日本へ逃れてきた難民とその家族が自立して暮らせるよう、法や生活、定住の支援を行っています。

難民を苦境に追いやる日本の制度

アインシュタイン、ハリルホジッチ監督、コマネチ・・・みな難民だった有名人です。石川さんは、彼らの逸話をまず紹介されました。続いて、難民と難民申請者の定義、国際的な動向に関する説明。さらに、紛争で多くの人が家を追われているシリアを引き合いに、難民支援の実状について語られました。

シリアから日本へ庇護を求め、来る人はいます。しかし、実際に難民支援協会が支援したシリア人家族の話を通して、日本で難民として認定されることの難しさ、彼らが直面する苦難について、知ることができました。

講演では、こうした家族が安心して日本で生活するために、短期、中期、長期で何が必要かを参加者に考えてもらい、住居、就労、言語、保険、子どもの教育などさまざまな課題が上がりました。

他の先進国と比べて、日本は非常に厳格な難民認定制度を保持しています。「就労目的のおそれがあるというのなら、ドイツのように労働移民の受け入れ制度を作ることもできる」と石川さんは言います。

最後は、カナダのトルドー首相の言葉を引用し、問題解決には、一人ひとりが多様性、多文化を尊重していくことの大切さを訴えていました。

開催日 2016年12月10日(土)
場所 合人社ウェンディひと・まちプラザ
主催 アムネスティ日本 広島グループ
共催 広島・中東ネットワーク
後援 広島市

ひろしまグループの取り組み

1987年9月に発足し、今年で30周年を迎えます。最近は隔月での例会に加えて、年2回のペースで国内外の人権課題について伝えるイベントを開催しています。2015年はヘイトスピーチの問題に取り組み、2014年は国際人権法をテーマにした講演会を開催。2013年は『ジプシー・キャラバン』の上映会を開催しました。

12月10日の世界人権デーには、毎年、アムネスティが全世界で一斉に開催する手紙書きのイベント「ライティングマラソン」に参加し、人権が守られず苦しむ人たちに励ましのメッセージを書き、政府へ政策改善を求める要請を送る活動に取り組んでいます。活動に関心のある方は、ぜひ、お問い合わせください。

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