1. ホーム
  2. ヒューマンライツコミュニティ
  3. イベント報告
  4. 【イベント報告】大阪少年鑑別所を参観しました

人権の「今」がわかるニュース

イベント報告【イベント報告】大阪少年鑑別所を参観しました

2017年6月14日(水)、大阪府堺市堺区田出井町にある大阪少年鑑別所(大阪法務少年支援センター)を13人で参観しました。アムネスティ会員の梨屋が報告します。

大阪少年鑑別所は大阪刑務所と大阪医療刑務所に隣接し、JR堺市駅から大阪刑務所の長い塀を観ながら15分ほど歩いた住宅街の、少し奥まった静かな場所に入口があります。

大阪法務少年支援センターという名称を用いて、平成27年に施行された少年鑑別所法131条に基づき地域援助業務を行っており、入り口には左方向に大阪少年鑑別所、右方向に大阪法務少年支援センターの表札が分けて付けられていました。一般の方の外来相談は別棟となっているようです。

はじめに会議室で、プロジェクターを用いながら次長の服部さんに説明をしていただきました。その後建物内の一部を案内していただき、会議室にもどって質疑応答と、全体で約90分の参観でした。次長の服部さんはこれまで少年院や刑務所などにも配属され、アムネスティ日本 国内人権ネット主催の参観にも対応されたご経験があるため、鑑別所には少年院のように「観ても面白いところがない」こと、隠しているわけではないことを強調されていました。

在所の子どもたちは、処分決定前なので、立ち直りを前提にした学習や矯正教育ができません。そのため、少年院のような実習場や体育指導のプール等はなく、昼間はほとんど、家裁の調査官や鑑別技官の調査、警察官の取り調べのため、出払ってしまうそうです。

義務教育中の子どもへの学習支援、希望する子どもへの就労支援、教養講和や宗教教誨を健全育成として行っているそうですが、子どもたちは五月雨式に入ってきて、平均一か月で処分が決まって出て行くため、系統立てた学習はありません。

起床、就寝、食事などの決まりがありますが、日中は個別の対応となり、調査や取り調べがない子は居室でぼんやりするか手紙を書くなどして過ごすそうです。外国籍などで言語の問題がある場合は、隣の大阪刑務所の国際対策室に頼んで通訳に来てもらうそうです。LGBTの子も個別対応をしているとのこと。

大阪少年鑑別所は大規模で、収容定員は250名。年間収容者数はピークの3分の1に減っています。昨年の収容者の割合は観護措置63.7%、観護令状15.1%、勾留状14.1%など。職員の定員は80名で産休中の方を含めて現在79名。職員の内訳は不明です。今回は事前にアンケートをお送りしていないため、その場での質問に応じでいただくことになり全体的にざっくりしたやりとりとなりました。

少年鑑別所の業務は、鑑別、観護処遇、そして、地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助です。地域援助業務の法務少年支援センターとしての昨年の個人援助は200件。個人の相談はひきこもりやギャンブル依存症などの成人した若者の保護者からの依頼が多く、匿名でも受け、日によっては待たずに対応できるそうです。機関援助は250件で、一時保護所や児童相談所、社会福祉施設などから非行に関する相談や検査依頼が寄せられるそうです。

見せていただいた運動場は砂敷きの四角いグラウンドで、塀がありませんが、マスコミなどからの盗撮を防ぐ目隠しの壁が高い位置まであります。グラウンドで目に入る物は乳白色の壁と灰色の建物と砂色の地面と晴れた空だけでした。平日の30分間の運動は強制でなく希望者のみで、フットサルが人気だそうです。屋内のレクリエーション室には卓球台が一つあり、非常用のポリタンクの水や本棚がたくさん置かれていました。貸し出し用の書籍は十代向けの読み物のほか学習や就職に役立つ比較的新しめの本が並んでいました。

食事は施設内では作らず外注のお弁当が運ばれます。見学用に展示された居室のモデルルームは、少年院と同じような作りで、ベッドではなく畳に直接布団が敷かれていました。特に女の子は虐待などの影響でぬいぐるみを抱きたがるので貸し出しをしているとのこと。ぬいぐるみは内部を確かめられないため自前の持ち込みができないそうです。マンガや雑誌、文房具、菓子などは購入でき、作り付けの棚やテレビ台を兼ねた扉付きの物入れがあります。テレビのニュース番組は録画でなくリアルタイムで見せているとのこと。

室内装飾は認められているので恋人の写真を飾る子がいるそうです。大阪少年鑑別所は小ぎれいな建物でしたが、内部に色味がありません。壁やドアなども白っぽいベージュや灰色で無彩色に近い色でした。園芸や工芸の実習がないことから、内部は植物や展示の品もありません。もし自分が、色彩にあふれた日常から突然ここに連れてこられた十代の子どもだったら......と想像すると、心細さと恐怖と怒りでとても胸が苦しくなりました。

身の安全が守られるとしても、鑑別所の収容者は未決の状態であるのに、「罰を受けている」と感じずにそこで過ごす子どもがいるのでしょうか。わたしは子どもや若者をめぐる教育や福祉の問題に関心があり、これまで5か所の少年院を参観させていただきました。たいていの建物は色味がありませんが、京都医療少年院では診察室などのドアの色が落ち着いたパステルカラーで塗られていて、棟ごとに色が分けられ柱やドアにやわらかな彩色がありました。たったそれだけでも建物から受ける怖さは違いますし、人間らしく扱われているような印象を持ちました。未決状態の子どもから建物の色彩を奪わなくては鑑別や観護ができないのでしょうか。どんな悪事を働いたとしても、子どもは子どもなのです。子どもとしての権利があります。少年鑑別所や少年院にカラーデザインの視点を取り入れることは、職員の方にとっても職場環境の改善になるのでは、と近頃は感じています。

少年鑑別所は家庭裁判所に対応する形で全国52か所に設置されています。従来の機能のほか新しい地域援助の機関である法務少年支援センターは、医療や福祉、教育と連携することで、人と地域社会にますます貢献できると感じました。

参観を受け入れていただいた大阪少年鑑別所のみなさま、丁寧なご説明をありがとうございました。

開催日 2017年6月14日(水)
場所 大阪少年鑑別所(大阪法務少年支援センター)
主催 アムネスティ・インターナショナル日本 国内人権ネット

ヒューマンライツ・サポーターになりませんか?

 

このページの先頭へ戻る

今、必要なアクション

ニュースレターを無料でお届け!

メルマガに登録する(毎週木曜・無料配信)