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イベント報告【イベント報告】久里浜少年院 訪問記

2017年7月4日午後、久里浜少年院を訪問しました。夕方には久里浜も含め関東に台風が近づく予報もあるなか集まった12名のメンバーは駅から約3キロの久里浜少年院に向かいます。久里浜は、幕末ペリーが黒船できた浦賀と岬をへだてたお隣に位置します。

久里浜少年院は、日本全国で52庁ある(分院含む)少年院のなかでは、「反社会的な価値観/行動傾向があるなど、非行の程度が深い少年」が主たる対象としています。説明にあたって下さった教育調査官福岡さんによれば、平成27年度の入所者の約80(79.3)%が19才。現在の平均在院日数は437日。そもそも日本全体としてみると、平成27年度で新規に検挙された少年が約8万2千人でうち少年院への入院が約2700名(検挙人員の約3%)ですが(教育調査官福岡さん説明、および平成27年度犯罪白書)、そのなかで久里浜少年院では初入院が21%、2回目が51%、それより多い入院回数が28%となっています(なお定員は185名、平成28年度の平均在籍者数87名)。このような特性から、関東管内における少年院としての「最後のとりで」と称されることもあるとのことです。

しかし、少年院長の長島さんは、冒頭のあいさつで、また質問への回答で繰り返し、統計的に捉えるのではなく、ひとりひとりに向き合うことが大切だと強調されます。再入院が8割近くに及ぶ「最後のとりで」だからこそ、その姿勢を貫くことを大切にされているのだろうと感じつつ伺いました。なお、職員の定員数と実数は現在ともに60名、職員中の女性の割合は常勤1名、非常勤6名とのことでした(在籍者は男子のみ)。また、久里浜の場合は、常勤の医師も確保できているとのことでした。

久里浜少年院は、「日本語によるコミュニケーションが困難な外国人少年」も処遇の対象とし、矯正教育の職業教育、教科教育などにおいて別途の対応を行う「国際科」がある少年院でもあります。国際科には属さない入院者、つまり陶芸科、情報処理科に属する入院者たちがそれぞれ陶芸(第一と第二のレベルがある)や情報処理(ワープロや表計算ソフト学習など)の指導を受けている時間に、国際科の入院者は午前中に日本語教育、午後は木工指導を受講することになります。参観メンバーのなかには、他の少年院で日本語教育に携わった経験の方もいらっしゃいました。

30分程度の説明を受けたのち、院内を参観します。海に面した運動場では、ちょうど体育指導の基礎体力づくりの持久走などが行われ、かけ声が響きます。体力がつくことはよき自尊心に繋がること、入院時最初の概ね2ヶ月に行われる行動訓練も基礎的だが重要だと強調されていました。

久里浜少年院は、昭和52(1977)年に完成した庁舎、寮舎を利用し続けており(増築工事が平成13年、14年に行われているが)、全体に清潔(白壁がそれを印象づける)ですが、相応の年月の経過を感じさせます。そのなかで新しく改修された感じをうけたのが今回の参観コースにも含まれていた保護室(2室)と静穏室(1室)です。保護室は、「自身を傷つけるおそれ」または「指定職員の制止に従わず、大声又は騒音を発する」「他人に危害を加えるおそれ」などで少年院の規律及び秩序を維持するために特に必要があるときに収容される場所(少年院法88条、少年院長の命令が必要とされるのが原則同条第1項)。また、静穏室とは、法務省矯正局長の通達によれば(平成23年3月7日)「大声、騒音等を発し、居室棟内の生活環 境を乱す者」などを収 容するために設置された、防音設備を備えた「単独室」とのことです。参観から戻って質疑応答タイムで参加者からの質問が集中した一つがこの保護室と静穏室であり、参加者にとっても印象が強かったのだと思います。

「夜を徹して話をつづけてもよい」とまでおっしゃられる院長先生の姿勢もあってか、質問も説明も活発に続きました(質問側12名に対し、説明側が⒌名という説明体制でした)が、帰りのバスのタイミングもはかりつつ、約2時間半の説明、院内参観、質疑応答を終えました。事前質問項目にもほぼ全部正面からご回答いただいたように思います。

事前質問項目への回答で「新少年院法にある定義そのままの説明となりますが……」といった説明もいくつかあり、新少年院法及び少年鑑別所法(平成26年6月11日法律第58号、第59号)になっていると印象づけられたこともあり、帰宅後改正契機とされる事件の判決文の一つを読み直しました。複数の法務教官が在院中の複数の少年に対し特別公務員暴行陵辱罪(刑法195条)という犯罪を行った事件です。また少年院首席専門官という立場にある人も別途同罪で懲役10年(執行猶予3年)が下されています(後者は裁判所データベースでも参照できます。広島地方裁判所平成22年11月1日 判決、事件番号:平成21年(わ)第656号、2017年7月20日検索)。

浦賀駅行のバス車中からの風景をみながら「また来る機会をつくりそのときは前後でいろいろ巡ろう」と決意します。台風接近のため訪問後の茶話会は今回は行われないこととなりましたが、帰りの電車でのしばしの雑談でもいろいろとヒントをいただきました。

よい方向に変わることを支え、悪しき逸脱を予防するためにも、訪問(参観)は続けることに意義があると考えます。新鮮に続けていくためにも、参加経験のない方には、ぜひいつかどこかでの参加をおすすめしたいと思います。

以上

2017年7月20日
アムネスティ日本 会員 赤岩順二

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訪問日 2017年7月4日(火)
場所 久里浜少年院
主催 アムネスティ・インターナショナル日本 国内人権ネット

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