7月29日、2017年の上半期の取り組みとその成果についてお伝えする報告会を開催しました。

当日は、アムネスティの会員やサポーター、寄付者、ボランティアなど20名以上の方にお越しいただき、和やかな雰囲気の中、アムネスティ茶(ティー)を飲みながら、参加者同士、また、事務局スタッフとの対話を楽しんでいらっしゃいました。

この報告会の準備に携わり、当日も参加させていただいたインターンの高平が報告します。

米国の市民活動から学ぶ

初めに、今年3月、アムネスティ日本の事務局長に就任されたオサリバン太郎が、彼の経験から見えるアムネスティの活動の可能性について話をされました。彼は、北米最大の労働組合SEIU(国際サービス従業員労働組合)のディレクターを務めたこともあります。

SEIUの取り組みの一つ「夏休み中、給食がなくて困っている子どもたちに食事を配る」というプログラムで支援を呼びかけたところ、およそ1万ポンド(約4535kg)の缶詰が届いたそうです。さらに、初日は500人、その後も150人のボランティアが1週間かけて食材の仕分け、配給をしたとのこと。

このプログラムで面白いと思ったのは、ボランティアの人も缶詰を持って帰ってもいいことになっているという点です。

「手伝う人が活動を通して何かを得られる、このように互いがウィンウィンの関係をつくることで、どんどん人を巻き込んでいくという方法はアムネスティの活動にも活かすことができる」

「会員、サポーター、寄付者、ボランティアなど、アムネスティを支えるたくさんの人が、アムネスティの活動に参加することで、彼ら自身もまた人権の知識、変化を起こすためのノウハウを身に付けられる。そんな関係をつくれるよう、支援者やボランティアをもっとサポートしていきたい。」

事務局長の話をお伺いし、この"サポート"には、大きな可能性が秘められているように感じました。

2017年上半期、アムネスティが取り組んだ5つのこと

次に、キャンペーン、および寄付担当の職員から、今年上期に取り組んだ5つの活動について、報告がありました。

  1. 「I WELCOME 難民の未来は、あたながつくる。」キャンペーン

    「I WELCOME 難民の未来は、あたながつくる。」キャンペーン ゾーミントゥさん 戦後最多となる6,500万人以上が家を追われ、難民問題が国際的にも最重要課題となっています。アムネスティは昨年から、各国で難民の受け入れが進むよう働きかけを行っています。

    日本では、市民の間に支援の輪が広がるよう、地域のイベントでフォトアクションを行ったり、日本で難民認定を受けたゾーミントゥさんを招き、トークイベントを実施しました。9月20日には、難民支援のための世界同日ライブコンサートを実施する予定です。
     
  2. 「Love beyond Genders」キャンペーン

    「Love beyond Genders」キャンペーン フォトアクション 日本で暮らすレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)の人たちの人権状況の改善を目指し、5月、新たにキャンペーンを始めました。

    まず、東京レインボーウィークに合わせ、報告書を発表。この報告書は毎日新聞をはじめ多数のメディアに取り上げられました。また、5月のプライド・パレードには専用の山車を出して参加し、150人以上の人たちと一緒に渋谷の街を歩き、性の多様性を尊重するよう呼びかけました。

    国レベルでの法整備、パートナーシップ制度や差別禁止条例など地方自治体で進む前向きな動きを後押しし、誰もが自分らしく生きられるよう、今後も取り組んでいきます。
     
  3. 都議選立候補者への人権アンケート

    今年7月に行われた東京都議会議員選挙では、立候補者に対し人権意識調査のアンケートを行いました。教育、移民・難民、LGBT、外国人、企業に関する人権施策についての質問票を郵送し、候補者259人のうち、150人の方にご回答いただきました。回答結果はウェブサイトに掲載し、有権者に広く伝えました。
     
  4. 企業への社会的責任(CSR)

    企業への社会的責任 いま、世界で起こるさまざまな人権問題は、企業の存在を抜きに語ることはできません。これまで以上に人権に配慮した企業行動が求められています。

    アムネスティは昨年末、パーム油にまつわる人権侵害の実態をまとめた報告書を発表、身近な日用品や食品に使われているパームオイルが、児童労働や女性蔑視、搾取、強制労働といった劣悪な労働環境で生産されていることを明らかにしました。

    この問題を日本国内でも多くの人に知ってもらうため、労働環境の改善に影響力を発揮する企業に対し改善を求める署名活動を実施し、2,000筆以上が集まりました。また、企業に対しては、企業関係者が多く集まる会合などで、ワークショップを行いました。
     
  5. 人権活動家を守る「BRAVE」キャンペーン

    人権活動家を守る「BRAVE」キャンペーン 「テロリスト」「国の安全を脅かす危険人物」「外国のスパイ」...。人権のために声を上げる人たちは、このようにレッテルを貼られ、政府からひどい迫害を受けることも珍しくありません。人権活動家たちの声を抑圧し、制限する法律をつくる国もあります。

    こうした状況を改善するため、アムネスティは6月「BRAVE」キャンペーンを開始し、活動家たちが安心して声を上げられるよう取り組んでいます。

    日本では、何ら根拠もなく逮捕、拘束されたトルコの事務局長や理事長を救うために、トルコ大使館前でデモを実施。これは、他の支部とも連携し、同日に行いました。沖縄の活動家・山城博治さんの長期勾留に抗議する活動では、署名に参加してくださった人の声が彼の釈放につながりました。

仲間とつながり、仲間がいること知る

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お菓子や飲み物をいただきながらの座談会では、参加者同士が知り合い、スタッフと参加者が語り合う貴重な機会になりました。

「こうして、アムネスティの支援者が集まると、人権のために取り組んでいるのは一人ではないと感じることができる。仲間とつながり、仲間がいること知ることができる」

サポーターの方の言葉が印象に残っています。

こうした活動は、日ごろからアムネスティを応援し、支援してくださっている方々で成り立っています。あらためて、会員、サポーター、寄付者、ボランティアのお一人おひとりの支えを実感する報告会でした。

報告会「アムネス茶(ティー)」は定期的に開催しています。機会がございましたら、ぜひ、ご参加ください。※日程が決まり次第イベント欄に掲載。

開催日 2017年7月29日(土)
場所 アムネスティ・インターナショナル日本 東京事務所
主催 アムネスティ・インターナショナル日本

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