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イベント報告【イベント報告】 栃木刑務所を訪問しました。

2017年10月4日の午後、栃木刑務所を訪問しました。栃木刑務所といえば、有名な女子刑務所で、テレビドラマや劇画、小説にも名前が出ることもあり、女性として受刑者の背景要因に共感できる部分もあるのではないかと思っていました。本日の参加メンバーは11人、地元の方も遠くから来られた方も栃木駅で待ち合わせです。栃木市は、古い家屋や蔵が残る風情のある町です。駅からタクシーで15分位離れた、バイパスからちょっと入った場所に栃木刑務所はありました。

刑務所の総敷地は、64,190㎡、収容定員は655名、現在は659名収容とのこと。それでも平成20年前後から比べると徐々に減少傾向にあるようです。受刑者の平均年齢は49.5歳、60才以上の受刑者は24%。罪名は4割以上が覚せい剤関連です。6割が初犯、4割が再犯者で、5年以下の受刑者が67%、専門スキルを持たないであろう高卒までの学歴者が8割です。外国人は168人とのことで25%が外国人の女性でした。これらの提示された基礎データから、なんとなく受刑者のプロフィールがぼんやりと浮かび上がってきます。

全体の説明を受けた後、正面玄関前の犬のモニュメント(以前にいた警護用の警察犬)の説明を受けて、作業棟へ移動。全国から選抜された女子受刑者が学ぶ美容師の実習施設を窓の外から覗かせてもらいました。ここの美容室は、市内の人にも定期的にお客として来てもらい接客技術を学ぶそうです。エステシャン養成コースや介護福祉士コース、ビジネススキルコースも設置されていて、建物の明るさから、刑務所というより学校のような雰囲気がありました。

バラの植栽の庭を抜けると桜並木のグラウンドがあり、ここでは毎年花見が行われているとのことです。食堂の窓には、フリルのついたカーテンもありました。中庭にはこどもを抱いた母子像があり、入所直後には、妊婦もいて産室、保育室もあるそうですが、出産は外部の病院で行うようでした。1歳までは一緒にいられるそうですが、それからは別のところに移されます。辛い現実を突きつけられるようで、ここが刑務所であることに気づきました。職員は女性が多く、男子刑務所(前回岐阜刑務所を訪問しました)と違って、集団移動は見ませんでしたが、我々と出会うと、顔を見せないように後ろを向かせて立たせられていたのが印象的でした。

平日も使える図書室もあり、外国人用の書籍も置いているようでした。中国、フィリピン、大韓民国はもとより、ドイツ、フランス、ポルトガル、スペイン語など多様な言語の書籍があるようです。作業工場もほとんど縫い物中心の様子で、見るからに女性的な印象です。食堂の窓にはフリルのついたカーテンが下がっていました。居住棟には、ベッドと机のある個室、3畳程度の畳の個室がありました。ベッドの個室は、外国人が使っているようです。多いときは畳の個室に2人入ることもあるそうです。雑居房は、6人定員で、6畳ほどの和室でしたが、7、8人は寝起きしているようでした。準閉鎖房ということで、各部屋には施錠をせず、入り口のみに施錠するようで、中廊下にはトイレと洗面所があり、居室にはテレビが設置されていました。ちょうど、昔の精神病院の閉鎖病棟のようでした。刑務所の全体は、惣社今井バイパスから見晴らす感じでしたが、目隠し用の塀は、パイプを縦に並べたようなデザインで、中にいてもあまり威圧感は感じませんでした。

処遇について、女性ならではの問題もあるのではないかと思います。例えば、妊娠中の受刑者や出産後の受刑者の生活は想像するよりありません。摂食障害のような精神疾患を持つ人もいると思います。説明では11.2%の精神疾患者がいるようです。女性同士が狭い居室で寝起きするのですから、確執も生まれると思います。どの刑務所でも考えられるのですが、精神疾患を発症した受刑者がしっかりした治療が受けられているのか、高齢者の日中作業と介護のことなどが気にかかります。罪を犯したのですから、刑罰を受けることは当たり前ですが、健康が保障されるからこそ、刑罰を受ける意味があります。

彼女らの出所後の職業訓練は重要です、女性であるがゆえに男性に依存して犯罪に巻き込まれることも多いと思います。彼女らが、更生し一人で生きていくためには、社会に適合できる強い力を身につけなければならないでしょう。

処遇に関することでは、所定のコースの見学だけでは理解できない部分があります。今年の8月にも受刑者が処遇のことで女性刑務官に暴行した事件がありました。刑務官の有給消化は平均4日、仕事負担率3.0と聞きました。しかし、職員の負担がしのばれます。ピンクの受刑服、バラの庭園、フリル付きのカーテン、母子像が、押し付けられた性を象徴するようで、妙に落ち着かない感じがしました。

日本アムネスティ会員
武政 奈保子

実施日 2017年10月4日(金)
場所 栃木刑務所
主催 アムネスティ日本 国内人権ネット

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