やってもいない罪で拘束されていたジェリメ・コーレさんが、6年ぶりに釈放されました。

ジェリメさんは、2012年1月、親戚宅へ向かう途中に、突如、複数の警官に殴る蹴るの暴行を加えられ、連行されました。強盗殺人の容疑でジェリメさんを逮捕した警察は、水責めや電気ショックなどのひどい拷問で、自白を強要。しかし、人違いであったことが分かると、今度は「麻薬密売」の容疑で彼を起訴したのです。

アムネスティは世界中でジェリメさんを救うために署名活動を実施し、彼が受けた拷問の徹底調査を当局に求めました。また、ジェリメさんや彼のご家族に、励ましの手紙を世界中から届けました。

国際的に拡がったこうした声によって、2016年、ジェリメさんを拷問したとして、加害者の一人が懲役2年1カ月と24万円相当の罰金を言い渡されました。2009年にフィリピンで拷問禁止法が制定されてから、加害者が有罪判決を受けたはじめてのケースでした。

しかし、拷問があったからといって、麻薬密売の罪を犯していないことにはならないとして、ジェリメさんは拘束され続けたのです。2018年2月からようやく開かれた公判で、証拠が不十分であることが認められ、今月、裁判所が検察の訴えを取り下げ、ジェリメさんの釈放を命じました。

署名に参加してくださった皆さまの力で、ジェリメさんは無事に自宅へと戻り、家族と再会することができました。

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ドゥテルテ大統領を批判した議員が逮捕

フィリピンでは、ドゥテルテ大統領の下、苛酷な「麻薬撲滅戦争」が進められる中で、無実の罪を着せられたり、自警団による取り締まりの末にその場で殺されるといったことが行われています。犠牲者の多くは貧しい人びとで、こうした政策に批判の声を上げる人も迫害を受けています。引き続き、問題に関心をもって、取り組んでいただけるようお願いいたします。

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