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国・地域:
朝鮮民主主義人民共和国

朝鮮民主主義人民共和国 朝鮮民主主義人民共和国

基本情報

国  名 朝鮮民主主義人民共和国
DEMOCRATIC PEOPLE’S REPUBLIC OF KOREA
国家元首 第一書記(労働党委員長)金正恩(キム・ジョンウン)
政府首班 首相 朴奉珠(パク・ポンジュ)

人権をめぐる、2016年の動き

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の人びとはこの年も、あらゆる人権侵害で苦しめられた。北朝鮮の市民だけでなく外国籍者も恣意的に逮捕され、国際法では認めていない犯罪容疑で不当に裁かれ、有罪判決を科された。表現の自由の権利に対する厳しい制限が続いた。多くの市民が国主導で外国で働かされた。その多くが苛酷な労働環境だった。北朝鮮から韓国への亡命者が増加した。

背景

1月と9月の核実験の実施で、国際社会との緊張が高まった。その結果、国連は北朝鮮に対する経済制裁を強化し、国内外から食料不足や生活水準の悪化を懸念する声が上がった。専門家は、経済状況の悪化を懸念して国を脱出する人が増えているとみていた。しかし、政権幹部の投獄や伝えられる処刑などの粛清が脱出のより大きな動機になっているとみられた。

5月、朝鮮労働党は36年ぶりの党大会を開催した。外国メディアの記者が招待されたが、その行動は厳しい制限下に置かれ、大会を取材することは許されなかった。

8月に大洪水が起こり、国連世界食糧計画によれば少なくとも138人が死亡し6万9,000人が住居を失った。政府は食糧、避難施設、飲料水、衛生設備などの人道的支援を求めたが、核開発に対する懸念から国際社会の反応は少なかった。

移動の自由

合計1,414人が北朝鮮を逃れて韓国に亡命した。この数字は、前年(2015年)比11%増で、金正恩労働党委員長が実権を握った2011年以降では初の増加だった。

韓国と日本のメディアは、脱出者が一般市民だけでなく、職を捨てる政府高官も数人いたと報じた。韓国政府は8月、北朝鮮の駐英国大使館のテ・ヨンホ(太永浩)公使が家族とともに韓国に亡命したと発表した。

4月、政府から中国の浙江省寧波に派遣されていたレストラン従業員13人が直接韓国に入国した。北朝鮮当局は、「その内 、女性12人は韓国に拉致された」と主張した。北朝鮮政府がピョンヤンで開いた記者会見で、元同僚たちは「中国滞在中は旅券を取り上げられており、自由に移動できなかった」と語った。

国を逃れた北朝鮮人たちの記者会見やメディア報道によれば、北朝鮮政府は中国との国境からの脱出を阻止するために、市民の監視を強化しているとのことだった。国を出た人が拘束され送還されれば、拘禁、投獄、強制労働、拷問などを受けるおそれがあった。

海外派遣労働者の権利

北朝鮮政府は、国営企業を通して少なくとも5万人をアンゴラ、クウェート、カタール、ロシアなど40カ国に派遣して、医療、建設、森林作業や飲食業などさまざまな分野の職場で働かせた。労働者は、給与を雇用者から直接受け取れず、本国政府経由で大幅な減額の上で受け取った。大多数の労働者は、国内外の労働法規を知らされることはなく、また多くの場合、労働権の遵守を監視したり労働者の援助をする官民の機関に接触することも不可能であった。

派遣労働者は、しばしば過剰な労働時間を強いられ、職場における事故や病気の危険にさらされた。ポーランド政府は、2014年に造船所で北朝鮮労働者が瀕死の重傷を負った事故が報道されたため、6月、北朝鮮労働者を受け入れないと発表した。翌7月、マルタも同様の発表を行い、就労している北朝鮮労働者の査証延長を拒否した。

恣意的な逮捕と拘禁

北朝鮮当局は、外国籍者を含む人びとに対して不公正な裁判により長期刑を下した。米国の学生フレデリック・オットー・ウォームビアは、破壊活動の容疑で有罪とされた。 宣伝ポスターを盗んだことを認めたに過ぎなかった。3月、彼は強制労働15年の判決を受けたが、少なくとも6カ月間領事との接触を認められなかった。4月、韓国生まれの米国人キム・ドン・チュル(62才)は、スパイ容疑で強制労働10年の判決を受けた。当局は、スパイ活動の申し立てについて詳細を伝えなかった。これらの判決は、年頭に北朝鮮に対する国連の新たな制裁が科され、北朝鮮に対する国際的関心が高まった5月の労働党大会が開催される前に発表された。

12万人近くの市民が4カ所の政治囚収容所に拘禁されていた。その多くは、強制労働、虐待や拷問などの深刻な人権侵害を受けており、人道に対する罪に相当するものもあった。その被収容者の多くは、国際法で定めた罪で有罪とされたわけではなく、国家の脅威とされた人と関わりがあるというだけで、「連帯責任」を問われた。

表現の自由

当局は、国内や国外から情報を求め、受け取り、伝えるなどの表現の自由の権利を引き続き厳しく制限した。政府は国外からの情報の入手を規制した。 そもそも同国には政治から独立した新聞、メディア、市民団体は存在しない。

北朝鮮に入国した数少ない外国ジャーナリストの報道活動は、依然として厳しく制限された。5月、朝鮮労働党大会に先立ち北朝鮮を訪れたBBCの記者たちが制作したピョンヤンの日常生活の報道が敬意を欠いたとして、いったん隔離拘束された後、尋問を受けて国外追放となった。フランス通信社(AFP)は、9月にピョンヤンに事務所を開設したが、同国で活動できる数少ない外国報道機関だった

ほとんどの市民は、インターネットや国際携帯電話サービスを利用できなかった。中国との国境近くに住む人びとは、国外の北朝鮮人と連絡を取るために、中国のネットに接続できる携帯電話を違法に入手し、大きな危険を覚悟で使用している。そんな手段がなければ、国外に電話するために多額の手数料を支払わなければならない。違法に入手した携帯電話の使用で、監視が強化され、スパイ活動などの容疑での逮捕者が増えるおそれがあった。

現在のインターネットを利用できるのはごく限られた人だけであり、しかも国内のウェブサイトとメールしか使えなかった。9月、サーバーの誤設定により、インターネットには28のウェブサイトのみであること、またそのすべてが公的機関か国営企業関係であることが世界に知れわたった。

強制失踪

2月、当局は日本人拉致に関する2014年の日朝協定を破棄し、拉致調査を全面的に中止した。報道によれば、1月の核実験に対して日本が制裁措置を再開したことを受けたものだった。北朝鮮は、治安機関が70年代と80年代に日本人12人を拉致したことを認めていた。

アムネスティ・レポート 2016/2017より

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