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国・地域:
大韓民国

大韓民国 大韓民国

基本情報

国名 大韓民国
REPUBLIC OF KOREA
国家元首 文在寅(ムン・ジェイン)(5月朴謹恵から交代)
政府首班 李洛淵(イ・ナギョン)(5月黄教安から交代)

人権をめぐる、2016年の動き

人権をめぐる状況は、今年も後退が続いた。平和的集会と表現の自由の権利は依然として制限され、制限手段には民事訴訟など新手が導入された。難民は拘束され、良心的兵役拒否者らは人権を行使しただけで投獄された。元北朝鮮人のレストラン従業員13人を国の施設に拘束したため、北朝鮮からの脱出者に対する現行の再定住支援制度の合法性が問われることとなった。

政府は、合法的な労働組合運動を妨害する企業に対して妨害を阻止する措置を取らなかった。有害な商品を使った消費者の死亡事故と健康被害に対しても、対応は後手の連続だった。米国製の終末高高度防衛(THAAD)迎撃ミサイルシステムの配備を進めるとした政府の決定は、国内および中国、北朝鮮からも強い反発を呼んだ。

集会の自由

当局は、平和的な集会の自由を、しばしば公共秩序を守るという名目で制限した。当局は、年末になっても、2015年11月の平和的反政府集会での警察の過剰な実力行使の捜査を完了できず、警察官も幹部のいずれも責任を問われなかった。9月25日、地方の老練な活動家ペク・ナムギさんは、デモ参加中に放水銃に撃たれて重傷を負い、意識不明になり、10カ月後に死亡した。ペクさんの傷害事件の捜査は進まなかったが、対照的に全国民主労働組合総連盟(KCTU)委員長で、複数のデモを組織し、反政府集会にも組合ぐるみで参加したハン・サンギュンさんに対する判決は素早かった。ハン・サンギュンさんは、おおむね平和的なデモの最中に少数の参加者に不法行為をさせたなどの罪で7月4日、5年の実刑判決を受けた。

政府を批判する人たちが集会の自由の権利の制限だと見ているもう一つの例は、韓国海軍が、済州島の海軍基地建設に反対する116人と5団体に対し、民事訴訟を起こしたことだった。海軍は3月に、8年続いた反対運動により建設が遅滞し損害を被ったとして、34億ウォン(290万米ドル)の賠償を求めた。

表現の自由

国会は3月に、野党による9日間の議事妨害の末、乱用の余地を残すテロ防止法を可決した。この法律は、通信傍受の権限やテロとの関連で疑いがある者に対する個人情報収集での国の権限を大幅に拡大した。

当局は、メディアのニュース、特にテレビのニュース内容への干渉をますます強め、報道の自由を侵害した。

国が親政府派の人物を有力な公共報道機関の理事に任命したり、特定の記者に他への警告として懲戒措置を取ったりといった、ニュース報道に影響を与えるさまざまな手を打ってきたことに対し、7月、全国報道労働組合は強く非難した。これらの手段をとったことによる影響は、特に2014年のセウォル号沈没事故と、THAADシステムについての報道で、顕著だった。

当局は依然として、あいまいな規定の国家保安法を利用し、表現の自由の権利の行使に対して、脅しや投獄で対抗した。この法に違反したとして逮捕された中には、度重なる弾圧により解散を余儀なくされた自主統一と民主主義のためのコリア連帯(CAIRD)のメンバーもいた。コリア連帯の活動家で甲状腺癌を患うキム・ヘヨンさんは、2015年7月に平和的抗議行動の参加中に逮捕され、2016年1月に2年の実刑判決を受けた。もう一人のコリア連帯代表のヤン・コウンさんは、6月に仲間が置かれた状況を伝える国外活動のための出国を阻止され、9月に逮捕された。

企業責任

5月、英国を本拠とするレキットベンキーザー社の韓国子会社が、何年にもわたり販売した加湿器除菌剤が引き起こした、少なくとも95人の死亡事故と数百人から数千人に上る可能性がある健康被害について、全責任を認めた。国連の人権と有害物質に関する特別報告者は2015年韓国を訪れ、2016年8月に報告書を出し、当社を含む複数の企業が、相当の人権感覚をもって払うべき安全への注意を払わずに消費者に化学物質を販売したと結論付けた。また、レキットベンキーザー社に対して、全被害者の特定と賠償を命じる勧告をした。

労働者の権利

特に建設業界において、下請け企業の雇用者、労働者らの組合運動が、政府の許可もなく妨害され続けた。人権と多国籍企業らの事業体についての国連作業部会による、6月の報告書によると、複数の企業が独立系組合ではない、団体交渉の基準を満たさない組合を設立していた。また、法律顧問を雇い、下請け社員や警備会社などに労働組合員に対する嫌がらせをさせるなどの組合つぶしを画策させる企業もあった。

難民と庇護希望者

入国管理局は、100人以上の庇護希望者を何カ月もインチョン国際空港に拘束したが、そのうち28人(男性)はシリアからの難民で、6月にインチョン地方裁判所が、拘束を解いて難民申請を許可するよう指示した。エジプトなどの国からの難民数十人が、寝具や水道、シャワー、トイレ、宗教に配慮した食品、野外での運動機会の提供など、まともな設備や対応がない非人道的環境で空港に留め置かれた。

恣意的逮捕と拘禁

中国の寧波市で働いていた北朝鮮出身の13人のレストラン従業員らは、4月に韓国に入国して以来、国家情報局の施設に4カ月間拘禁された。一方、北朝鮮の親族は、北朝鮮のメディアに、「韓国行きは、強制的に連れていかれたもの」と話した。入国者らは、家族や弁護人と接見を認められず、施設外で入国理由を話すことは一切禁じられた。その結果、独立で公正な司法機関による拘禁合法性の検証が妨げられ、北朝鮮を脱した者の定住を支援する制度に疑問の声が上がった。

良心的兵役拒否者

500人近い良心的兵役拒否者が、信条、良心および信仰の自由の権利を行使しただけの理由で投獄される件が続いた。これは、国際法的には恣意的監禁にあたる。彼らは刑期を終えた後も、前科を持つことになるため経済的、社会的に不利益を被る。年初に、政府は良心的兵役拒否者に、2015年の法改正で、拒否者の名前と個人情報を政府のウェブサイトに公表すると警告した。これは年末までは実施されなかった。

憲法裁判所は、2012年から2014年の良心的兵役拒否者について、いまだ合法性を審理中だった。地方裁判所は、2015年の6人に続き、さらに3人の兵役拒否者について、無罪判決を下した。しかし検察は、この9件を控訴し、現在までに2件の無罪判決が覆された。10月には、第一審裁判所での有罪判決を不服として控訴した別の2人の男性が、控訴審で無罪となった。

アムネスティ・レポート 2016/2017より

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