死刑廃止 - 著名人メッセージ:高橋哲哉さん(東京大学大学院教授)

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高橋哲哉(東京大学大学院教授)

死刑廃止に向けてのメッセージ

戦争と死刑は国家が「合法的」と称して行なう殺人行為である。

人権という観念がなかった時代、国権が人権に優越していた時代には自明のものに思えたその「合法性」は、いまや化けの皮を剥がされた。いくつかの「大国」がいまだにその権利を容易には手放したがらないとしても、戦争の違法化と死刑の廃止は確実に歴史の潮流になっているからだ。

戦争も死刑も、じつはその自称「目的」を達することは稀である。拘置され自由を奪われた犯罪者に、そのうえさらに死をもたらしたところで得られるものなど何もない。国家権力が―血塗られた―国家権力であること、この空虚なトートロジー(同語反復命題)を確認するだけの死刑は、ただちに全廃されるべきなのだ。

高橋 哲哉(たかはし・てつや)さんのプロフィール

1956年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。哲学者。20世紀のヨーロッパ哲学を研究しながら、戦争責任や歴史認識の問題に積極的に発言し、現在は「憲法再生フォーラム」共同代表も務める。著書に『戦後責任論』、『歴史認識論争』、『デリダ―脱構築』など多数。

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