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取調べの可視化 - 日本の冤罪事件

冤罪事件の一例

袴田事件

1966年6月30日、味噌製造会社専務の自宅が放火され、焼跡から専務(41歳)、妻(38歳)、次女(17歳)、長男(14歳)の計4人の他殺死体が発見された。静岡県警は、当時味噌製造会社の従業員で元プロボクサーの袴田巖氏(現在77歳)を強盗殺人、放火、窃盗容疑で逮捕した。

1968年9月11日、静岡地裁が死刑判決を言い渡し、1980年12月12日、最高裁で死刑が確定。現在、第二次再審請求審が静岡地裁で係属中。袴田氏の拘禁は、47年におよんでいる。

第二次再審請求審では、静岡地裁の初の開示勧告に従って、静岡地検が2011年12月12日、袴田巌氏の取り調べを録音したテープなどの証拠176点を開示した。また、2011年12月22日に、袴田巌氏が犯行時に着ていたとされる衣類のDNA鑑定を行った弁護側鑑定人が「被害者由来の血液は確認できなかった」とする鑑定書を静岡地裁に提出した。ただ、検察側鑑定人は「被害者に由来したDNAの可能性を排除できない」としていた。

しかし、2012年4月には、弁護側・検察側双方の鑑定が、確定判決で袴田死刑囚の犯行時の着衣とされた「5点の衣類」と、袴田死刑囚本人の DNA型は「完全に一致するものはない」と結論付け、再審開始の可能性が高まっていた。そんな中、2014年3月27日、静岡地方裁判所は再審開始を決定、さらに、48年ぶりに袴田さんを釈放した。

同年3月31日、この静岡地裁の再審開始の決定に対し、検察が即時抗告をした。この申し立てを裁判所が審理するために、長ければ2年ほどかかるため、実際に再審が開始されるには、まだまだ時間がかかると見られる。

足利事件

1990年5月12日、栃木県足利市のパチンコ店駐車場で、4歳になる女児が誘拐されるという事件が発生。通報を受けた栃木県警が周辺地域を捜索した結果、翌日13日に市内の渡良瀬川河川敷にて女児の遺体が発見された。同地域内においては、同様の女児誘拐殺害事件が発生しており、未解決のままとなっていた。

県警は大規模な捜査を行い、広く聞き込み調査などを行ったが、捜査が難航する中、県警は同市内に在住の幼稚園の元バス運転手だったBさんに注目。一年にも及ぶ張り込み捜査を行い、捨てたゴミ袋の中から無断でゴミを押収し、付着していた体液からBさんの血液型がB型であることをつかんだ。

女児の着衣に付着していた犯人のものみられる体液がB型だったことから、県警はこれらを警視庁科学捜査研究所に持ち込み、当時導入されたばかりの「DNA型」鑑定を依頼。しかしこの鑑定は現在の「DNA」鑑定と違い精度は低く、特定個人を絞り込むほどのものではなかった。

犯人のものみられる体液がBさんのDNA型に一致したとの鑑定結果が出たことを受け、県警はBさんを犯人と判断。1991年12月1日に足利署へ任意同行を求め連行した。

当初は否認を続けていたBさんに対して、刑事たちは長時間に及ぶ壮絶な脅迫まがいの取り調べを行い、暴力的な行為も加えられたという。これに折れたBさんは、他の未解決の誘拐殺人事件三件を含めて、自分が犯人であることを自白してしまう。それ以降、刑事たちの話に合わせる形で調書がとられ、それらの自供を証拠として翌日に逮捕された。しかし、他の三件の誘拐殺人事件に関して検察は起訴することができず、この事件に対してのみ裁判が行われた。

宇都宮地裁における第一審の第6回公判においてBさんは自らの無実を訴え、その後は、特に「DNA型」鑑定の精度の低さを争点にして争った。しかし地裁(1993年)や東京高裁(1996年)、そして最高裁(2000年)において、いずれも「DNA型」鑑定の結果が証拠であるとされ、有罪判決が確定した。

その後、弁護団により、2002年地裁に再審請求をしたものの2008年に棄却。即時抗告を高裁に行った結果、「DNA」鑑定の再鑑定を検察、弁護側ともに行うことを決定。そしてその結果、BさんのDNAと犯人のものとされるDNAが全く異なることが判明し、2009年6月4日、Bさんは服役先の千葉刑務所から釈放された。1991年の逮捕から、17年6カ月の歳月が流れていた。

2009年10月21日から、Bさんの再審公判が開始された。Bさんと弁護団は、この再審公判において、なぜ冤罪事件が起きたのか、その真相と原因を明らかにするよう求めている。

参考文献・参考サイト
小田中聰樹・佐野洋・竹澤哲夫・庭山英雄・山田善二郎=再審・えん罪事件全国連絡会編『えん罪入門』(2001年, 日本評論社)

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