イスラエル/被占領パレスチナ地域 : パレスチナ対立派閥間の反対派弾圧をやめるべき

アムネスティ・インターナショナルは本日、西岸地区とガザ地区のパレスチナ対立派閥の指導者らに対し、恣意的な逮捕や拘禁をやめ、被拘禁者に対する拷問あるいはその他の虐待を防止するよう要請した。

この要請は、ガザ地区でのハマスのメンバーを標的にした一連の爆弾襲撃事件後にあらたに始まった大量拘禁を受けてだされたものである。7月25日の襲撃事件ではハマスのメンバー5人と4歳の子どもが死んだ。この事件後、ハマス治安部隊はガザ地区において、パレスチナ自治政府のマムード・アッバス大統領が率いる政党ファタハの支持者200人以上を拘禁した。西岸地区のパレスチナ自治政府治安部隊はハマスの支持者を少なくとも95人拘禁した。これは、ガザ地区でファタハ支持者が逮捕されたことに対する報復とみられる。

ガザ地区でハマス治安部隊と武装民兵に拘禁された人びとの多くは、この数日間のうちに釈放されたが、まだ拘禁中の人びともたくさんいる。ほとんどの被拘禁者が殴打されたと伝えられ、ファタハ支持者の多数の住居、事務所、施設が捜索された。一方西岸地区では、拘禁中の人びとのほとんどが外部との連絡を絶たれたままで、パレスチナ自治政府治安部隊はハマス関連の事務所や施設を強制捜査して閉鎖した。

パレスチナ自治政府のアッバス大統領およびハマス指導者イスマイル・ハニヤに対する書簡の中でアムネスティは、パレスチナ基本法と刑事訴訟法に定められている法的保護規定を双方とも遵守していないために、西岸地区とガザ地区双方で恣意的な拘禁や被拘禁者に対する拷問その他の虐待が起きていること、さらに表現と結社の自由の権利が侵害されていることを批判した。アムネスティは双方の指導者に対し、治安部隊によるこのような人権侵害をやめさせるための具体的な措置をとり、国際人権基準を尊重するよう求めた。

ハマスはここ数カ月間、身柄拘束後24時間以内は検察官に、72時間以降は裁判官によって再審査される権利などを定めたパレスチナの法手続きに違反して、ファタハ支持者およびその他の政治的反対派を拘禁し続けてきた。違法に拘禁され外部との連絡を絶たれた人びとは、日常的に拷問あるいはその他の虐待を受けている。拷問方法としては、殴打、手首か足首を縛ってつるす、つらい姿勢をさせるなどがある。タレブ・アブ・シッタという72歳の男性は、ハマスに拘束され、デイル・アル・バラ警察署でひどく殴られたあと、翌日の2008年6月27日に死亡した。

西岸地区では、自治政府部隊が同様に法手続きと保護規定を軽視している。法律に違反して長期間拘束された後に人権弁護士らの努力により起訴されずに釈放された人びとは、すぐにイスラエル軍に逮捕され拘禁された。自治政府部隊(とくに予防治安部隊と総合情報部)による拷問あるいはその他の虐待は頻繁で、その方法は、殴打する、つらい姿勢で長期間放置する、両腕あるいは足首で天井や壁につるすなどがある。43歳のイスラム教導師、マジド・アル・バロウチは2008年2月22日にラマラにある総合情報部の拘禁施設で死亡した。拘束されて8日後で、収容されていた房の窓から鎖でつるされたり、ひどく殴られたりしていた。

西岸地区の自治政府およびガザ地区を実効支配するハマスは、抗議する人びとに対して、許可なしに、場合によっては致死的な武力を行使するなどして、表現と集会の自由の権利を制限し続けている。この数カ月間、ハマス治安部隊および武装民兵は、ガザ地区においてファタハのデモや公の集会を何度も力づくで解散させた。一方西岸地区では、ハマス支持者の大部分は自治政府やイスラエル軍による逮捕を恐れて地下での活動を余儀なくされている。ガザ地区におけるハマスと西岸地区における自治政府は、どちらもジャーナリストを拘禁し、相手側寄りの新聞やテレビ局を禁止した。

西岸地区でファタハに反対する人びと、ガザ地区でハマスに反対する人びとは今や恐怖の中で生きている。どちらにおいても、治安部隊に拘束され拷問された人びとの多くがそれを証言しようとしない。何があったか話す場合も、名前を明かすことを恐れている。

これは驚くに値しない。これまで、西岸地区の自治政府も、ガザ地区のハマスも、人権侵害の加害者の説明責任を問わないことから免責の風潮が広がり、それがさらに同様の人権侵害を促しているにすぎない。

ガザ地区で多発している暴力事件と、その報復としてハマスと自治政府双方が行う拘禁その他の行為は、2007年に300人以上のパレスチナ住民の命を奪ったようなハマスとファタハの派閥抗争が再び起こることを予感させる。

双方の指導者は、パレスチナ住民の表現と集会の自由の権利の行使を保証し、さらに、対立派閥を支持したというだけで拘束されることがないようにしなければならない。また、治安部隊がパレスチナの法律に定められた保護規定を遵守し被拘禁者を拷問あるいはその他の虐待から保護するよう、そして人権侵害の加害者を裁判にかけなくてはならない。これらについて具体的な措置を講じることが必須の急務である。

アムネスティ発表国際ニュース
2008年7月29日

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