上映作品 にくのひと

2009年1月17日(土)・18日(日) ヤクルトホール

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にくのひと

2007年 日本 ドキュメンタリー 70分
監督:満若勇咲

兵庫県加古川市志方町。 ここに位置する加古川食肉センターを舞台に「牛」が「肉」になるまでの過程と、 そこで働く人々を描いたドキュメンタリー。 普段何気なく口にする牛肉が、元々、牛だったと考えながら人々は食しているだろうか?  牛を解体し肉に加工する屠場。そこで働く人たち。 彼らにとってその仕事をすることは当たり前であり、他の職に就いている人たちの仕事への考えと何ら変わりはない。 しかし、肉は食べるけれど牛をさばく人は嫌だ、という差別意識を持つ人がいる。 そしてそこには、現在も存在する部落問題が絡んでいる。 それでも、加古川食肉センターの人々は、持ち前のたくましさと人柄で、世間の風潮に負ける事なく、 牛肉を提供し続けている。

監督プロフィール - 満若勇咲

1986年生まれ。2005年4月大阪芸術大学芸術学部映像学科入学。 「ゆきゆきて、神軍」(原一男監督)を見てドキュメンタリーを志す。 「にくのひと」は2007年度作。 現在、卒業作品として父を主人公にしたセルフドキュメンタリーを制作中。

監督コメント

「にくのひと」というタイトルの通り、この作品は牛を解体し肉へと加工する仕事に従事する人々を描きました。 僕自身がこの作品を作ったきっかけは、「牛が肉になる過程」を知りたいと思ったからです。 つまり、決して部落差別や職業差別の問題を最優先として作品を制作したわけではありません。 だから、この作品は明確な主義主張や教育ビデオのような、観る人に考えを押し付ける作品ではありません。

この作品を皆さんが観てどのように感じるかは自由ですが、 できれば「部落問題」「人権問題」等の意識を持たずに、一ドキュメンタリー作品として観ていただけたら幸いです。

解説

被差別部落(以下、部落)出身者は、長年にわたり理不尽な差別的待遇を受けてきた。 部落とは、日本の封建社会において形成された身分制度の下で、 他の身分と分離された各種賤民を先祖とする人々が集住してきた地域である。

政府は部落問題解決に向けて、1969年から2002年まで同和地区、 関係者を対象とする特別対策(同和対策事業)を行い、 部落の道路舗装や公営住宅設置などの環境改善対策を行った。 しかし、「なぜ部落だけが良くなるのか」という「逆差別」意識(ねたみ差別)が生じるとともに、 就職、結婚、教育、雇用など生活全般にわたる差別は残ったままである。

1975年、部落の所在地や世帯名等を掲載した「部落地名総鑑」が販売されていたことがわかった。 法務省人権擁護局によると、2006年までに8種類の部落地名総鑑が存在し、200以上の企業が購入していたという。 結婚や就職の際、結婚相手や採用予定者が部落出身者かどうか、興信所などを使って調査する事件は後を絶たない。 さらに近年はインターネットに流される部落に関する情報の増加も問題となっている。 電子化された「部落地名総鑑」、特定の個人を部落民だと名指しするもの、 部落民の抹殺を呼びかけるものなど様々あるが、発信元の特定が困難なことなどから対処は容易ではない。

一方、教育水準や雇用状況について、部落内外には大きな差が見られる。 1997年の部落出身者の高校進学率は全国平均を4〜5%、大学進学率については10以上も下回っていた。 また、大阪府の調査(2000年実施)では、部落の若年層の失業率は大阪府全体の倍だったという。

そうした実情にもかかわらず、部落問題に対する国の取り組みは後退している。 1993年以降、全国的な部落の実態調査は実施されていない。 2002年に同和対策事業が終了したことに伴い、総務省の担当部局が廃止された。 また、部落問題についての人権教育も十分に行われてはいない。 市民団体などは、部落を理由にした差別を明確に禁止する法律の制定や、 部落問題解決に取り組む機関の設置を求めている。

上映時間

17日(土) 13:30 上映開始予定