上映作品 刑法175条

2009年1月17日(土)・18日(日) ヤクルトホール

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刑法175条

1999年 米国 ドキュメンタリー 81分
監督:ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン
作品提供:山形国際ドキュメンタリー映画祭

数万人が同性愛を理由に「有罪」とされ、5000人から1万5000人の人々が強制収容所に送られ虐殺されたといわれる、ナチスによる同性愛者への迫害。この迫害の根拠となったのが、同性愛に刑事罰を科すと定めた刑法175条だった。「この映画は同性愛者を差別するドイツの“刑法175条”によって迫害を受けたゲイ男性たちとひとりのレズビアンについて、歴史に隠された一面を聞き出している」(山形国際ドキュメンタリー映画祭2001公式カタログより)。収容所から生還した人々は戦後も差別され、長く沈黙を強いられてきた。数少ない生存者の証言から、失われた愛の記憶と尊厳を踏みにじられた痛みと怒りが静かに伝わってくる。

監督プロフィール - ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン

エプスタインは、1955年、アメリカのニュージャージー州生まれ。代表作に『ハーヴェイ・ミルク』(1984)。両者の初めての共同監督作品『Common Threads: Stories from the Quilt』(1989)で、アカデミー最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。主な共同作品は他に『セルロイド・クローゼット』(1995)など。

監督コメント10/30更新

アメリカユダヤ委員会が1993年に行った調査によれば、ナチスが同性愛男性を見分けるための印として ピンクトライアングルを着けさせていたということはおろか、ナチス政権のもとでゲイが弾圧されていたことすら、 知っているのはイギリスでは成人の約半数、アメリカではわずか4 分の1 だという。 『刑法175条』では、これまで映画で扱われたことがなく、 歴史の本ですらめったに言及しようとしなかった歴史に斬り込んでいった。 何万人もの人々が迫害され殺害されたというのに、なぜ記録から抹殺され続けてきたのか?

私たちがこの問題に関心をいだいたのは、まずは私たち自身がゲイ男性でありユダヤ人でもあるから。 私たちにとって、当時についての証言ができる人たちが生きている間にできる限りの記録を残しておくことは、 切迫した必要性のあることだった。(中略)

ナチスの迫害から逃れたゲイはかなりの数にのぼったが、彼らはどうやって生き延びたのだろうか?  英雄と悪人の境目は何なのか?  そして、どうして私たちは人間の経験にグレーゾーンがあることに不安になるのだろうか?

(山形国際ドキュメンタリー映画祭公式カタログより)

解説

ナチスは、同性愛者が増加するとドイツ民族の人口減少を招くため、その「淘汰」が必要であると主張し、あらゆる同性愛行為を処罰の対象とした。1936年にはドイツ全体の同性愛者の登録と逮捕を任務とする「同性愛と中絶根絶のための帝国センター」が設置された。また、同性愛者の「性欲を消去する」として断種手術が行われ、2000人以上が「去勢」されたといわれる。そして1940年には、一人以上の相手を誘惑した同性愛者はすべて強制収容所へ送るとする方針が打ち出された。

強制収容所に送られた同性愛者たちはピンクのワッペンを貼られ、他の被収容者から隔離された。収容所では同性愛を「直す」ためとして、特に重労働が課され、ナチス親衛隊や他の囚人たちからの激しい差別の中で殺されていった。最終的に、数万人が同性愛を理由に有罪判決を受け、5000人から1万5000人が収容所に送られたと推定されている。その多くが生還することなく、命を落とした。

戦後も同性愛者に対する差別や迫害が終わったわけではなかった。西ドイツ政府はナチス時代の犠牲者に対して補償を行ったが、収容所から生還した同性愛者たちはその対象から排除された。また、刑法175条は同性愛者を処罰する法律として東西ドイツ双方で生き続けた。西ドイツでは1950年から1965年の間に約4万5000人が有罪判決を受けている。その後、同性愛解放運動の高まりを受けて1980年代には同性愛者も戦後補償の対象となり、1994年には刑法175条が撤廃された。2008年にはベルリンのホロコースト記念碑のそばにナチスの迫害によって犠牲になった同性愛者の慰霊碑が建立されている。

現在、世界ではアジアやアフリカなど70カ国以上で、同性愛が刑罰の対象となり、少なくとも7カ国で同性愛に死刑が適用されている。イランでは1979年以降4000人が処刑されたといわれる。日本も含め世界各地でLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人々に対する暴力や差別が報告されており、同性愛を「矯正」するとして強姦が行われたケースもある。「刑法175条」は今も続く、世界全体の問題である。

上映時間10/26更新

17日(土) 16:45 上映開始予定

アムネスティ日本・ジェンダーチーム

ジェンダーチームは、世界中で起きている女性やLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人々に対する人権侵害に関する情報を発信しています。その一環として、性に基づく人権侵害を特集した情報誌や書籍の発行、アクションキットの作成などを行っています。私たちは、世界中に存在する女性への暴力やセクシュアル・アイデンティティに基づく差別について考え、人々が自分らしい生き方をする自由と権利のために活動しています。