パラグアイ:「私たちは、私たちの土地を返してほしいだけ」

「病院に着くと、彼らはいつも『どこから来た?』と尋ねます。先住民族のコミュニティから来たと言ったら、それが問題の始まりになるのです・・・・・・」(バルビア・トラレス、ヤクエ・アシャ族)

暴力のターゲットになってきた先住民族

高速道路のすぐ脇にヤクエ・アシャの人びと。子どもたちがサッカーをしているが・・・・・・。2008年11月 (C) AI

高速道路のすぐ脇にヤクエ・アシャの人びと。子どもたちがサッカーをしているが・・・・・・。2008年11月 (C) AI

パラグアイの先住民族は長年、社会の片隅に追いやられ人権侵害を組織的に受けてきました。1954年から1989年の軍事政権下と民主政権移行期間の人権侵害を調査した真実と正義委員会は、先住民族の人びとが超法規に処刑されたり、奴隷のように扱われたり、性的な虐待を受けたり、子どもを売り飛ばされたりしたと報告しています。また、先住民族が伝統的に利用してきた土地(慣習地)への権利なども無視されてきました。

政府の統計によれば、現在パラグアイには、人口の1.7パーセントにあたる約10万8,600人の先住民族が住んでいます。しかしこの数は実際よりも低く見積もられていると考えられています。

パラグアイは憲法上、先住民族が慣習地を保有する権利を認めていますが、2002年に実施された国勢調査によると、先住民族の45パーセントが慣習地に対して明確な法律上の所有権を享受していないことがわかりました。

ヤクエ・アシャとサウォヤマシャの人びと

エンシェット系先住民族に属するヤクエ・アシャとサウォヤマシャのコミュニティの人びとは、何年も高速道路のすぐ脇につくられた仮設住宅に住み続けています。コミュニティの慣習地を民間企業が所有し、強制的に立ち退かされたためです。彼らは狩猟や漁、蜂蜜をとるといった伝統的な暮らしを続けることができず、また周囲に仕事もないために収入を得ることもできません。

ヤクエ・アシャとサウォヤマシャはそれぞれ慣習地の権利の申し立てを行い、あらゆる取り組みを10年以上続けましたが、土地を取り戻すことはできませんでした。彼らはNGOの支援を受け、米州人権委員会と米州人権裁判所に申し立てました。米州人権裁判所は2005年と2006年にそれぞれ判決を下し、ヤクエ・アシャとサウォヤマシャが、司法による保護を受けられ、財産を所有し、生きる権利を侵害されたことを認め、パラグアイ政府が彼らの慣習地を返還するよう判決を出しました。しかしパラグアイ政府は米州人権裁判所の判決に則った改善策をとりませんでした。

ヤクエ・アシャとサウォヤマシャの人びとは団結してこの問題に取り組み始め、2008年11月、アムネスティ・インターナショナルに彼らのキャンペーンの支援を要請しました。

「私たちのものを返してほしいだけ」とスペイン語で書かれた横断幕を手に、世界社会フォーラムで初めてアピールするヤクエ・アシャとサウォヤマシャの人びと。2008年 (C) AI

「私たちのものを返してほしいだけ」とスペイン語で書かれた横断幕を手に、世界社会フォーラムで初めてアピールするヤクエ・アシャとサウォヤマシャの人びと。2008年 (C) AI

議会が先住民族の慣習地返還の法案に反対

2008年8月、パラグアイでは60年ぶりに政権が交代しました。ルゴ新大統領はパラグアイの経済・社会改革を掲げ、先住民族の権利の保護や貧困対策についても公約しました。

しかし2009年6月25日、議会の農地改革委員会において、ヤクエ・アシャの慣習地の返還に関する法案に大多数の議員が反対票を投じました。委員会の決定に拘束力はないものの、この決定はヤクエ・アシャの慣習地返還の取り組みに大きな打撃を与えかねません。

パラグアイ議会議長とCICSI(国際判決遵守に関する組織間委員会)に対し、米州人権裁判所の判決を尊重しヤクエ・アシャとサウォヤマシャの慣習地の回復のための措置を取るよう、国際的なサポートが必要になっています。

アクションに参加する

* パラグアイ議会議長あてのアクションのあと、すぐにCICSI(国際判決遵守に関する組織間委員会)あてのアクションの画面に移行します。

「牛の方が先住民族よりいい暮らしをしている。牛の方がいい予防接種を受けられるのだから」

(2008年12月、ジョルジュ・ララ・カストロ副外相)

「高速道路の脇に住んでいるヤクエ・アシャの人々の貧困状況は、凄まじいものがある」

(2005年6月17日、米州人権裁判所)

「教育は大切だ。子どもたちは技術を学べるし、インターネットも使える。他のパラグアイ人と同じようにチャンスが与えられる。そうしたらパラグアイ人は、先住民族がバカで無知だとは言わなくなる」

(2008年11月、フローレンティン・ジャラ、サウォヤマシャ族)

「他人の土地をほしがっているんじゃない。ただ、私たちの土地を返してほしいだけだ」

(2008年11月 ヴェナンシオ・フローレス、ヤクエ・アシャ族)

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