「テロとの戦い」における人権侵害 [国際キャンペーン]
オバマ大統領はグアンタナモ収容所閉鎖の大統領令に署名していましたが、どこまで実現できたでしょうか?
2009年1月22日、グアンタナモ閉鎖を命じる大統領令に署名するオバマ大統領(C)AP PA photo Charles Dharapak
防衛について、安全か理想かを選択しなければならないという考えは誤りであり、我々はそれを拒否します
(2009年1月20日 バラク・オバマ新大統領の就任演説より)
2009年1月20日、バラク・オバマ氏が正式に米国の第44代大統領となりました。
(C)US DoD
2001年の「9.11」以降にブッシュ政権が推し進めた対テロ戦争は、米国の法を傷つけ、国際的な人権基準を後退させました。その象徴がグアンタナモ収容所やレンディション(国家間秘密移送)です。米政府はなりふり構わず人びとを拘束し、秘密裏に移送し、拘禁し、拷問にかけたのです。そして、「テロとの戦い」の名の下であれば、同じような拷問や強制失踪をやってもいいのだというメッセージを、各国に送ってしまいました。
国連や欧州議会などの国際機関、各国の政府や超党派議員からの批判を受け、グアンタナモ収容所を閉鎖し、CIAの秘密拘禁プログラムを中止すべきという意見はかつてないほど大きくなりました。そのような中で誕生したオバマ新政権は、自らの優先課題としてグアンタナモの閉鎖と拷問の禁止を掲げました。そして2009年1月22日、グアンタナモ収容所の閉鎖、秘密拘禁や「水責め」など拷問とみなされる尋問方法の禁止を命じた大統領令に署名しました。これは、アムネスティをはじめとする人権団体、被収容者の弁護士、ジャーナリスト、そして世界中の市民による圧力の勝利です。
しかし、国際人権基準で拷問・虐待と見なされる行為が完全に禁止されていないなど懸念も残されています。また新大統領は、独立した委員会による調査を設置して政策の過ちを検証し、拷問の加害者を処罰し、被害者に十分に補償するなど、過去7年にわたる「テロとの戦い」が生んだ人権侵害に終止符を打たなくてはなりません。やるべきことは山積しています。
オバマ大統領は就任2日目の2009年1月22日、グアンタナモ収容所の1年以内の閉鎖、軍事委員会での裁判の停止、CIA拘禁施設の全面閉鎖、尋問中の拷問の禁止などを命じる大統領令に署名しました。これは、人権尊重に向けた大きな一歩であり、ブッシュ政権下での方針と決別する意志をはっきりと表すものでした。今後は、大統領が、自ら署名した大統領令をどれだけ迅速かつ具体的に取り組めるかが重要な鍵となります。
アムネスティが送付していた「100日間チェックリスト」をふまえ、就任100日目を迎えた4月29日、オバマ大統領が達成できたこと、着手できたこと、手つかずで残っていることをチェックしてみました
オマー・カードル
2008年7月15日、カナダ国籍のオマー・カードルさんが、グアンタナモの収容所でカナダ当局から尋問されている様子を撮影したビデオが公開されました。ビデオは、「テロとの戦い」で拘束された被収容者がグアンタナモで尋問されている様子を示す初めてのものです。このとき、カードルさんは16歳でした。ビデオの中で、カードルさんは泣きながら繰り返し助けを呼んでいます。
21歳になったオマー・カードルさんは、2008年10月に開かれる軍事委員会で裁かれる予定です。しかし、公正さが保障されない軍事委員会で裁かれるべきではありません。
オマー・カードルさんへの取り扱いは、子どもの利益を最優先にすべきとする、国際法上の米国の義務に反しています。米政府に加えて、カードルさんに対する尋問を続け、グアンタナモでの非人道的な扱いを承知しているカナダ政府も、大きな責任を負っています。
アムネスティは、カードルさんをカナダへ帰還させ、カナダで公正な裁判にかけるか、そうでなければ釈放するよう求めています。
オマー・カードル氏のケースに関するより詳しい情報はニュースレリースをご覧下さい
釈放され、笑顔のサミ・アルハジ
アムネスティ会員の支えを決して忘れない
(サミ・アルハジ)
今年5月に6年ぶりにグアンタナモから釈放され、本国に帰還したサミ・アルハジさん。アムネスティ日本は昨年、収容されているサミさんに手紙を書こうと会員に呼びかけました。
6月27日、アムネスティ国際事務局(ロンドン)はサミさんと会う機会を得ました。サミさんは、グアンタナモに収容されている間、1万近い手紙を世界中から受け取ったことをアムネスティに語ってくれました。収容中に身体を壊したために一人ひとりに返事を出せなかったことを謝罪し、私たちにメッセージを送ってくれました。
米国は、今こそ行動を! グアンタナモ収容所をめぐる変化〜高まる閉鎖の声
「テロとの戦い」の下での違法な拘禁に終止符を打つために、