米国:アムネスティが報告書を発表しCIA「ブラック・サイト」の存在を確証

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2005年11月10日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:米国
トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
「失踪」した3人のイエメン人が拷問や秘密拘禁施設の状況を証言

(ワシントンDC) - アムネスティ・インターナショナルは本日、新たな報告書「CIA『ブラック・サイト』での秘密拘禁」を発表し、米国が設置した秘密拘禁施設の迷宮中で2003年に「失踪」したイエメン人・3人の拘禁状況の詳細を明らかにした。

ムハンマド・アルアサドさん、サラ・アリさん、ムハンマド・バシュミラさんの3人の男性は、米国が運営する秘密拘禁施設に転々と移送され、司法審査も受けられず、家族への通知もなく、外部との接触も絶たれたまま、完全な隔離状態に置かれ続けた。

 「ブラック・サイト」と呼ばれる米国の秘密拘禁施設を明らかにした報道の直後にこの報告書は発表され、3人がイエメンで拘禁されていることが明らかになるまで、拷問を受けたという証言をはじめ、米国が運営する秘密拘禁施設に収容されていた状況を詳細に記録している。3人がイエメン当局に渡されたという事実は、3人が重要な被拘禁者ではなく、いかなる人でも容疑をかけられればこのような不法行為の対象になりえるということを示している。事件はさらに、秘密の尋問施設のネットワークが単に重要と思われる人を拘禁するためだけにあるのではなく、これまでの予想を超えて大規模かつ包括的、組織的であることを示唆している。

 「さほど重要とは思われない自らのような容疑者のためだけにこのような施設やその手続きを作り、維持しているとはとても考えられないと3人はそれぞれ説明している」と、アムネスティ米国支部のウイリアム・F・シュルツ事務局長は語った。さらに「3人の証言で明らかになったのは、世界中に存在する米国の秘密拘禁施設全体のほんの一部にすぎないのではないかと私たちは懸念している」と続けた。

 「世界中の民主主義的価値の擁護者であると自称するブッシュ政権が人びとを起訴も裁判もなく外部から遮断する秘密施設に拘禁し、自ら拷問し、あるいは拷問をアウトソーシングしているという事実は、言語道断だ。これは、国際法に規定された米国の義務に対するあからさまな違反である。私たちは、この証拠を無視することはできない。拷問や無期限の拘禁、さらには被拘禁者の「失踪」をともなうこれらの拘禁施設の存在は、拘禁と尋問に関する米国の政策をあらゆる点から調査する独立委員会を米議会が設置すべき更なる要因と捉えなければならない」とシュルツ米国支部事務局長は語った。

 3人のイエメン国籍の男性の法的地位について、米国政府がその立場を明確にするよう報告書の中でアムネスティは要請している。もし3人に対するいかなる管轄権も米政府が主張しないのであれば、米政府は明確にそう宣言し、3人の移送について何ら条件をつけないことを強調すべきである。また米政府は3人が拘禁されていた拘禁施設の場所を公表し、それらの施設に拘禁されているその他の人びとの身元を公開し、赤十字国際委員会やアムネスティをはじめとする国際人権団体がそれらの施設に無制限かつ定期的に訪問できるようにするようアムネスティは求めている。すべての秘密裏の隔離拘禁は、直ちに中止しなければならない。

 また、イエメン政府は3人に対し直ちに明確な刑事訴追を行い国際基準に沿った裁判を開くか、さもなくば無条件に釈放するようアムネスティは要請している。

報告書(英語)の全文は下記サイトからご覧になれます。
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGAMR511772005

アムネスティ・インターナショナル米国発表
(2005年11月7日)

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