ミャンマー(ビルマ):国連安全保障理事会は行動を起こさなければならない

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2006年6月 5日
国・地域:ミャンマー(ビルマ)
トピック:危機にある個人
本日、国連安全保障理事会が協議を行い、国連政治局長(事務次長)が先日のビルマ(ミャンマー)訪問に関する報告をしたことを受け、アムネスティ・インターナショナルは、ビルマの人権状況を議題として取り上げることで、悪化するビルマの人権状況に対して行動を起こすよう国連安全保障理事会に強く求める。

国連安全保障理事会は、拷問、子ども兵士の徴集、強制移住などの人権侵害から市民を守る決意を新たにした。アムネスティ・インターナショナルは、安全保障理事会に対し、長年ビルマを苦しめてきた同国軍事政権による国際人権法および国際人道法違反を必ず終わらせるための具体的行動を取るよう要請する。

2005年12月に安保理がビルマの状況に関する説明を受けて以来、ビルマの深刻な人権状況は悪化の一途をたどっている。国内の人権侵害から逃れて難民となる人びとの数は著しく増加している。先日行われたカイン(カレン)州における軍事行動は、カイン州およびバゴー管区から 1万1000人以上の人びとの大量流出を引き起こし、国際人権法および国際人道法に 対する重大な違反が報告されている。

アムネスティは引き続き、拷問、超法規的処刑、強制移住に関する報告や、無報酬の強制労働を強要されたり軍隊のためにポーターとして働くよう強制された人びとについての報告を受けている。子どもたちの強制的な軍隊への徴集が依然として続いている。軍政により、数十万もの人びとが何年にもわたり国内あるいは国外難民となっている。


ビルマの軍事政権は、国連総会や国連人権委員会によって可決された人権状況改善に関する多数の決議に従わず、またILO(国際労働機関)が提案する強制労働を終わらせるための方策を妨げてきた。ビルマの人権状況を監視するために人権委員会から任命された特別報告者は、2004年から同国を訪問できていない。

アムネスティ・インターナショナルは、良心の囚人が劣悪な環境で拘禁されていることに対し、長年懸念を持っている。5月27日に良心の囚人アウンサンスーチーの拘禁を裁判なしに延長したことで、ビルマの軍事政権は、人権問題を改善するために責務を果たすことを

態度で示す決定的な機会を無視したことになる。国連事務総長はアウンサンスーチーの解放を要請し、事務次長イブラヒム・ガンバリは 自宅軟禁下のスーチーを訪問した。国連の高官によるビルマ訪問は最近2年で初めてである。

アムネスティ・インターナショナルは、異議や討論の言論を黙らせ強制労働を含む人権侵害申し立てを行った人びとを起訴に持ち込むような司法制度の濫用が継続していることに懸念を残している。


背景情報

国連憲章によると“安全保障理事会の第一の責務は国際間の平和および安全保障を維持すること”と規定されている。2005年9月に集まった世界各国首脳は、機構制度としての国連を見るとき、“柱は平和と安全保障、そして開発と人権であり、 集団保障のための基礎と幸福のための基礎はつながっており、互いに補強しあっている。”

という認識で一致し文書を採択した。平和と安全保障を維持すべく権限を行使するにあたって安全保障理事会は以前にも増して人権問題に注目するようになってきている。

安全保障理事会が議題として取り上げるためには全15カ国の理事国の総意、ないし票決により9カ国以上の得票が必要とされる。

アムネスティ国際ニュース
(2006年5月31日)
AI Index: ASA 16/007/2006
ビルマ(ミャンマー)調整チーム翻訳

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