イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:故意の攻撃は戦争犯罪

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2006年7月 6日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
ガザ地区における市民の財産とインフラに対するイスラエル軍の故意の攻撃は、国際人道法に違反し戦争犯罪であると、アムネスティ・インターナショナルは本日述べた。

「イスラエル政府は、今や自らが引き起こした長期に渡る損害を修復するために緊急の手段を講じ、被害を受けた地域のパレスチナ住民への電気と水の供給を、政府による負担で直ちに復旧しなければならない。イスラエルは国際法の下、占領地の支配者として、パレスチナ住民の基本的人権を保護する義務がある」とアムネスティは主張した。

 ガザ地区の発電所、水道設備、橋、道路などのインフラだけを故意に破壊したことは、第四ジュネーブ条約違反であり、ガザ地区の150万人の居住者に対して著しく長期に渡る人道上の結果をもたらしている。

 ガザの居住者のほぼ半数は、今や電気のない生活である。また、給排水に使うポンプを動かすのに必要な電気の不足と、橋と道路への爆撃によって水道の本管が破壊され、いくつかの地域で水の供給も絶たれている。

 これらの施設に対するこの数日間のイスラエルによる砲撃と空爆による広範な損害は、数百万米ドルと見積もられており、修理には数か月かかる。電気と水の供給を復旧するための代替緊急措置がすぐに講じられなければ、パレスチナ住民の健康に悲惨な結果をもたらすであろう。

 イスラエル軍は声明の中で次のように述べている。軍は「ガザ市南部の変電所を空襲した。ギラード・シャリット伍長が早く安全に帰宅できるように、イスラエル国防軍はガザ地区のパレスチナ人テロリストのインフラに対してあらゆる手段を用い続ける」

 橋と道路に対するイスラエル軍による破壊は弱まりつつあり、ガザ地区の別の地域の間の移動を妨げるまでには至っていない。しかし数か月のうちに始まる雨季の間は、住民の移動をかなり制限する原因になる可能性が高い。現在、移動制限はパレスチナの住民に影響を与え、職場に行くために長い迂回路をとらなければならなくなっている。しかし、イスラエルが目的と主張している武装集団の移動を妨げることにはなってはいない。

 イスラエルとパレスチナ自治政府、武装集団の間の緊張が高まりつづける中、市民の安全について懸念が増している。この数週間、数か月にわたるイスラエル軍による砲撃と空爆で、その場に居合わせた女性や子どもたちを含む多くのパレスチナの人びとが殺傷された。ハマスの軍事部門と他のパレスチナ武装集団が昨年来守ってきた一方的停戦が終わったことで、状況は悪化しているようである。

 「パレスチナ武装集団がギラード・シャリット伍長を人質に取り、18歳の入植者のエリヤフ・アシェリを殺害したことは、国際法の基本原則を侵害するものである。ギラード・シャリット伍長は直ちに無傷で釈放されるべきである」
 「この行き詰った状況に対して、両者は国際法違反となる行動を控え、自らが犯した侵害行為を正すための手段を講じるべきである。国際社会もまたジュネーブ条約の下で行動する義務がある」とアムネスティ・インターナショナルは述べた。

注釈
 第四ジュネーブ条約によると「集団に科する罰および全ての脅迫またはテロ行為による措置は禁止する」(第33条)となっており、私有もしくは公共の財産の破壊は「その破壊が軍事行動によって絶対的に必要とされる場合を除いて」(第53条)禁止することとなっている。「軍事的な必要性によって正当化されず、違法かついたずらに実行された広範な破壊行為」の戦争犯罪をおかした人々を調査し、訴追を保証することを、条約は全ての締約国に求めている。「民間の人や物を意図的に狙った攻撃」もまた、国際刑事裁判所のローマ規程第8条(b)(ii)において戦争犯罪とされている。

さらなる情報はhttp://web.amnesty.org/library/Index/ENGMDE150582006_
と、http://web.amnesty.org/library/Index/ENGMDE150582006_
を参照のこと。

アムネスティ国際ニュース
(2006年6月30日)
AI Index: MDE 15/061/2006