イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:国連人権理事会第1回特別会期:占領下のパレスチナ地域における人権状況

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:国連人権理事会第1回特別会期:占領下のパレスチナ地域における人権状況
2006年7月 7日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
(ジュネーブ) -占領下のパレスチナ地域の状況について検討するために国連人権理事会が最初の特別会期を招集するのを受けて、アムネスティ・インターナショナルは本日、ガザ地区における人権状況の悪化に対して独立かつ徹底した調査を実施する権限を持つ、権威ある国際的な専門家のチームを編成しイスラエルと占領地域に派遣するよう、国連に対して改めて要請した。

その専門家は、イスラエル軍によるパレスチナ人殺害がますます増えていること、ガザ地区において市民の財産とインフラがイスラエル軍によって意図的かつ過剰な規模で攻撃されていること、またイスラエル内の近接地域に向けてガザ地区からパレスチナ武装集団が「カッサム」ロケットを発射していることについても調査するべきである。

調査には十分な人材と財源が投入されるべきである。調査は犯罪と法医学的調査を実行する上で必要な専門知識を持つ、中立的な立場の調査員たちによって行われるべきである。また調査チームには、法医学、弾道学、国際人権法および人道法を専門とする人びとが含まれるべきである。イスラエルおよびパレスチナのすべての当事者は、専門家に十分に協力し、専門家が何ら制限なく当該地域の人びとに会い、現場に入り、また文書を入手することに合意すべきである。

現状は、包括的な調査を必要とするほど深刻であると、アムネスティ・インターナショナルは考えている。それによって、現在の危機的状況を生み出している要因など、危機のあらゆる面が調査されるべきである。調査の目的は、当事者のそれぞれの責任を立証することであり、また、市民の保護を保証し、各当事者による人権侵害に対して効果的で実行可能な救済策を実施するために、それぞれがとるべき具体的措置を明確にすることである。

この1年、両者による殺害が明らかに減ってきていたが、ここ数か月で状況は急速に悪化した。今年はじめ以来、イスラエル軍は25名以上の子どもを含む、多くは非武装のパレスチナ人約150名を殺害してきた。現在にいたるまで、これらの事件は1つとして適切に調査されていない。

この数か月間、イスラエル軍はガザ地区の人口密集地域に対して、数千発の砲弾を撃ち込み、多数の空爆を行なった。その結果、数名の女性や子どもたちを含む何十名ものパレスチナ人を殺害し、多数の負傷者を出した。

同じ時期にパレスチナ武装集団はイスラエルに対して数百発の「カッサム」ロケット弾を無差別に発射し、数名の市民を負傷させた。

パレスチナ武装集団がイスラエル軍兵士を拉致して人質としつづけている状況を受けて、最近、イスラエル軍はガザ地区の電気と水道設備、道路、他の一般のインフラ、教育および他の公共機関、私有財産に対して、くりかえし計画的な空爆を行なってきた。この破壊はパレスチナ住民たちに深刻な人道上の問題をもたらしている。彼らの状況は、1月のパレスチナの選挙でハマスが多数派となった後に課せられた制裁による打撃ですでに悪化してきていた。

両者とも、攻撃は相手側からの攻撃に対抗するものだと主張しているが、これは、報復行為、市民を故意に標的にすること、市民の生命を危険にさらす不相応で無差別な攻撃を禁じている国際法を無視した主張である。

イスラエルとパレスチナ自治政府、武装集団の間の緊張が高まりつつある中、市民の安全に対する懸念が増大している。アムネスティ・インターナショナルは人権理事会に対して、包括的かつ建設的な方法でこの状況に取り組むよう促す。危機的な状況におちいっている全てのパレスチナ人とイスラエル人たちの人権が効果的に保護されるよう、理事会は具体的な計画をまとめるべきである。

国連決議60/251に基づいて、人権理事会は、重大かつ組織的な人権侵害を含む個々人の人権状況に取り組み、また、人権が非常事態にある時に迅速に対応するという、明白な任務を持っている。理事会が目にしている現在の状況は、これらの基準に明らかにあてはまる。

アムネスティ・インターナショナルは理事会の全ての構成国に対し、現在の危機的状況におちいっている人びとが本当に安全になるよう、具体的な行動をとり、この難題に立ち向かうことを要請する。理事会は、人権委員会において長年はびこってきた状況を永続させることは避けるべきである。委員会は、占領下にあるパレスチナ地域の状況について最も議論しながら、最も行動をとらなかった。ガザ地区で悪化する人権状況を調査するために国際的な専門家を派遣することは、重要で具体的なステップであると、アムネスティ・インターナショナルは考える。

アムネスティ国際ニュース
2006年7月5日
AI Index: MDE 15/063/2006