バングラデシュ:警察が反体制派指導者を殴打

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2006年10月16日
国・地域:バングラデシュ
トピック:危機にある個人
過去数日間に行われたデモンストレーション中に、警察官が少なくとも5名の反体制派指導者を激しく殴打して負傷させ、数名に重傷を負わせた。

負傷者の中には、アワミ連盟指導者のサベル・ホセイン・チョウドリー氏;アワミ連盟所属議員のアサドゥッザマン・ノール氏;元農相のモティア・チョウドリー氏;最高裁判所弁護士会の主要メンバーであり、支持者のシャリア・カートゥン氏;元内務大臣のモハメッド・ナシム氏がいる。その他の負傷者は選挙制度改革を求めるデモに参加していた反体制派の活動家らだった。

サベル・ホセイン・チョウドリー氏は9月6日に12人以上の警官に殴られて負傷した。彼は警官に殴打を止めさせる為自らの身分を明かしたが、警官は怒り狂ってより激しく彼を殴ったと報告されている。彼は意識不明となりダッカの病院に担ぎ込まれた。約一時間後に意識を回復したが、彼の状態は重篤で頭部の負傷は専門医の治療を要するとの医師の宣告により、彼は家族によってシンガポールに搬送され9月10日に更なる治療を受けた。

アサドゥッザマン・ノール氏は9月12日に襲撃され、殴打による激しい背痛によって入院した。同日、モティア・チョウドリー氏も警察に鉄棒で殴打されて病院に数時間収容された。また警察は同日、支持者のシャリア・カートゥン氏を襲撃して足と頭部を負傷させた。

モハメッド・ナシム氏はサベル・ホセイン・チョウドリー氏が数日前に殴打された同じ場所で9月12日に襲撃された。彼は銃床と鉄棒で、腕、頭、背を殴打されて意識不明となった。医師は彼の状態が重篤であるとしている。

目撃者によると、彼らは誰も暴力を振るったり警官を脅迫していなかったという。彼らが標的にされたのは、アワミ連盟の指導的立場にあったためと見られている。

目撃者がアムネスティ・インターナショナルに語ったところによると、「警官が私たちを取り囲んでサベル氏を殴り始めた。私たちは彼が誰であるか、また何もしていないことを伝えると、警官はますます怒り狂って意識を失わせるまで激しく彼を殴った」 報告によると、警察は彼らを明らかに標的として攻撃した。彼らは逃げられないよう警官に取り囲まれて激しく殴打された。

アムネスティは、これら警察主導の無抵抗の個人に対する攻撃は、拷問及び他の残虐な非人道的な品位を傷つける取り扱いと見なしている。アムネスティはこれらの攻撃を非難し、バングラデシュ政府に対して、独立して公平かつ法的能力を有する組織を設立し、一連の攻撃を調査するよう強く求めている。この調査において攻撃を実行した警察職員と攻撃遂行を命令した警察幹部を特定すべきである。また付託事項として、一連の攻撃を黙認した関係官庁に対しても調査は拡大されるべきである。

加害者と確定された者は速やかに、国際的な公平性の基準を満たした手続きに則って処罰されるべきである。

アムネスティは、集会とデモに参加する反体制派の指導者又は活動家の安全を確保するようバングラデシュ政府に勧告している。いかなる状況においても、政府は警察関係者によるデモ参加者に対する武力の過剰行使や拷問及び他の残虐な非人道的な品位を傷つける取り扱いを容認すべきではない。

背景

警察によるデモ参加者に対する攻撃は、選挙委員会事務局と首相官邸に対して選挙制度改革の要求を行う昨今の反体制集会と行進の期間中に始まった。反体制派は、来たる総選挙を運営する選挙委員会と選挙を監視する次期暫定政権が連立与党寄りになると考えている。野党は選挙委員会と暫定政権の首脳の交代を要求してきたが、政府はそれを却下した。デモ参加者の一部は、警察が立てた安全柵を乗り越えて警官との戦闘に巻き込まれ、数百人のデモ参加者と数人の警官が負傷したと伝えられている。

現政権は2006年10月に任期を終了する。11月に暫定政権が設置され、新規議会選挙が2007年1月に行われる予定である。

アムネスティ国際ニュース(2006年9月14日)
AI Index:ASA 13/008/2006 (Public)

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