- 2006年11月 6日
- 国・地域:中国
- トピック:死刑廃止
2007年1月1日付で発効するこの新法で、各省の裁判所で言い渡されるすべての死刑判決は最高裁判所で再度審理され、承認されなければならないことになった。
アムネスティのアジア太平洋部のプルナ・セン部長は次のように述べた。「この新法によって、中国での死刑事件の裁判の質が高まったり、死刑の執行数が減少したりする可能性がある。しかし、中国での死刑制度がより強固なものになる危険性もある。これを防止するには、死刑適用について全国的に十分に可視化したり、死刑相当犯罪の数を減らしたりするなど、他の措置も同時に講じられなければならない」。
今回の法改正にもかかわらず、死刑に直面する人びとが国際人権基準に沿った公正な裁判を受けることは期待できないとアムネスティは危惧している。中国での裁判の特徴は、すぐに弁護士に接見できないこと、無罪推定がなされないこと、司法への政治介入があること、拷問によって引き出された証拠が採用されることなどである。
中国当局は、死刑の判決と執行に関する完全な公式統計を発表すべきである。これらは未だに国家機密として極秘になっている。統計があれば、今回の法改正によって死刑の執行が減少したかどうか判断することができる。
アムネスティは、死刑の廃止に向けた改革を急ぐよう、中国に要請し続けている。
「今回の改正は、死刑の全面廃止に向けたステップだと我々は期待している。死刑の廃止によってのみ、無実の人が処刑されないことが保障される」と、プルナ・セン部長は述べた。
背景
中国では、約68の犯罪について死刑が適用されている。その中には、脱税、国有財産の横領、収賄など非暴力犯罪も含まれている。死刑に反対する中国の法律学者は、たとえば経済犯罪への死刑を廃止するなど死刑適用犯罪を減らすことを提言しているが、こうした訴えは今までのところ取り上げられていない。
中国は世界で有数の死刑国である。アムネスティの推定では、2005年には1770人以上が処刑され、3900人が死刑判決を受けた。実際の数字ははるかに多いと思われる。2004年3月、全国人民代表大会のある議員が、中国では毎年およそ1万人が処刑されると発言した。
2006年10月31日
AI Index: ASA 17/057/2006
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