イラク:元副大統領に対する死刑判決、ふたたび正義に打撃

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2007年2月12日
国・地域:イラク
トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナルは本日、ラマダン元イラク副大統領に対する死刑判決を非難した。同氏への死刑判決は、フセイン支配下における犠牲者に対して真の正義が行使されるのを否定し、生命権や公正な裁判を受ける権利をますます侵害するものである。

「イラク高等法廷(SICT)は死刑判決を言い渡すことで、控訴審の要求に簡単に屈した。控訴審は、正義や公正な裁判に対する配慮からではなく、復讐心に動かされているように思われる。控訴手続全体が大急ぎで行われ、言われるがままに結論を出したようなものである。この裁判は、明らかに政治的動機にもとづく審理結果を、合法的に見せかけるためのものだった」とアムネスティのアイリーン・カーン事務総長は述べた。

SICTは2006年11月5日、ラマダン元副大統領に対し、ドジャイル事件の裁判で終身刑を言い渡した。ドジャイル事件は、1982年のフセイン大統領暗殺未遂事件の後に、シーア派が多数を占めるドジャイル村の住民148人が殺害された事件で、ラマダン氏はフセイン元大統領と他の6人とともに起訴されていた。SICTを設立した法律に基づき、死刑の執行は法廷が判決を承認してから30日以内に行われる。

フセイン元大統領と、フセインの異母弟、バルザン・イブラヒム・アル=ティクリティ元イラク情報部長官およびアワド・ハマド・アル=バンダル元革命裁判所長官の3人が死刑判決を言い渡された。他の3人は拘禁刑を言い渡され、残る1人は無罪となり釈放された。
これらすべての判決は2006年12月26日にSICTの控訴審で支持され、フセイン元大統領はその4日後に処刑された。バルザン・イブラヒム・アル=ティクリティ元イラク情報部長官とアワド・ハマド・アル=バンダル元革命裁判所長官は2007年1月15日に処刑された。しかし控訴審は、ラマダン氏に対する終身刑判決は軽すぎるとして不満を表明し、死刑を言い渡すよう求めて原審に差し戻した。

「起訴理由がいかに重大であれ、フセイン元大統領ら被告人は公正な裁判を受けるべきであった。しかし全体として、裁判は不適切で、数十年に及ぶ専制の後のイラクに、法の支配と正義を確立することはますます困難になった。私たちはイラク大統領と首相に対し、ラマダン氏の死刑執行を即時停止するよう行動することを求める。また米国のブッシュ大統領や英国のブレア首相など世界の指導者らに対し、この件に介入するよう要請する」とアイリーン・カーン事務総長は述べた。

アムネスティ国際ニュース発表
(2007年2月12日)
AI Index: MDE 14/008/2007

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