イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:家族統合を否定する差別的法律

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2007年3月22日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
イスラエル国会(クネセット)は昨日、「市民権およびイスラエル入国法」(臨時令)の条項を拡大し、期限を2008年7月31日まで延長したが、この法律は非常に差別的である。とくに、イスラエルに住む配偶者との同居を妨げることに利用されているため、西岸とガザ地区のパレスチナ人に対しては明らかに差別的である。また、イスラエルの人口の20パーセントを占めるパレスチナ市民(イスラエル・アラブ)とエルサレムに住むパレスチナ住民は、きわめて頻繁に占領地域のパレスチナ人と結婚するがゆえに、彼らにとっても、この法律は差別的な側面を持っている。

同法は全面禁止としているが、このような禁止の仕方は純粋な治安上の懸念もあり正当化されえない。この法律では、占領パレスチナ地域に住む18歳から35歳までの男性と18歳から25歳までの女性は、イスラエルの配偶者との家族統合を許されない。この年齢の人びとについては、修正法によって、イスラエルへの敵対活動(この言葉の定義は非常に広く、投石、デモその他の政治活動が含まれる)の疑いがある親族との家族統合も許されないことになった。

さらにこの修正法では、シリア、レバノン、イラク、イランの4か国の「敵国」人配偶者との家族統合を禁止している。これは、例えば、イラクと米国の両市民権や米国とレバノンの両市民権を持つ配偶者との家族統合も禁止ということである。

この法律への批判にこたえる形で、「例外ケース審査委員会」が設置され、「人道的」見地から個別のケースが審査されることになった。この委員会は、国防省、総合治安局(シンベト)、人口登録局の代表など5人で構成される。

国連人種差別撤廃委員会がこの法律の廃止を求めてから2週間もたたないうちに、クネセットは同法の延長を決めた。イスラエルは1979年1月3日に人種差別撤廃条約の締約国となっており、同条約を尊重し、その規定を実施する義務がある。同条約は、人種、肌の色、血統、あるいは国籍や民族的出自に基づく差別を禁止している。2007年3月9日、人種差別撤廃委員会はこの法律について以下のように述べている。

このような措置は、イスラエルにいる家族との再統合を希望するアラブ系イスラエル市民に不相応な影響がある。締約国には、市民の安全を保証するという正当な目的があることは認めるが、この「臨時」令が計画的に更新され、「敵国」の市民に拡大されたことを委員会は懸念する。特定の国籍や民族全般を標的にしたこのような制限は、人種差別撤廃条約に矛盾する。とくに、すべての人びとが法の下に平等であることを保証するという締約国の義務と矛盾している。

2006年5月のイスラエル最高裁での審理で、11人の判事のうち6人が、この法律は家族生活に過度に大きな影響があると認めたが、大多数の判事は法律を継続することを許した。1月にこの法律が3か月間延長された時、最高裁は3月までに同法の違憲性についての申し立てを審理することで合意した。しかし今、この修正法が通過したことにより、申し立てをする者はその内容を修正するために30日間、国はその対応に45日間が与えられるため、次の期日が設定されるまで審理は数か月間延期される見通しとなった。

AI Index: MED15/022/2007
2007年3月22日