- 2007年6月 6日
- 国・地域:スーダン
- トピック:地域紛争
「ダルフールでの死と破壊に対する非難の声が上がってから4年、スーダン政府は、世界中が望み、国連でも決議された平和維持部隊派遣を拒否してきた」。アムネスティのアイリーン・カーン事務総長はそのように述べた。「人権侵害を阻止するために、ダルフールには平和維持部隊が必要である。現在、アル・バシール大統領に対し、新たな人権侵害を白日の下に晒すために人工衛星を使って厳重に監視する、と警告している。私たちの目標はスーダンに圧力をかけ続けて平和維持部隊の派遣を許可させ、ダルフールの地上で危機にさらされた民間人の運命を変えることである」。
「ダルフールを見守る目/Eyes on Darfur」の開発責任者で、アムネスティ米国支部危険防止・対策センター(AIUSA)のアリエラ・ブレッター部長は、カリフォルニア大学バークレー校で6月6日水曜日に開催される第5回デジタル・アース国際シンポジウムにおいて、今回のプロジェクトの概要とその可能性について発表する。ブレッター部長による発表は、太平洋時間の2:00~3:30に行われる。
ブレッター部長によると、同じ村の新しい映像が数日を置かずに、次々に追加される。その期間を置くことで、その間に新たに生じた破壊行為が発見される可能性がある。アムネスティは、著名な研究者とともに、給水施設などの重要施設からの距離や、民兵からの脅し、周辺への攻撃などの事情から危険に晒されている地域を割り出した。
アムネスティは、このプロジェクトの実施に際し、全米科学振興協会(AAAS)と緊密に連携し、衛星画像その他の最先端地理空間テクノロジーについて専門的な助言をえた。
商業衛星からの映像は、地上の1メートルにも満たない小さな物体の状態についても視覚情報として伝えることができる。AAASの科学・人権プロジェクト・ディレクターで、ブレッター部長に技術的な助言を与えているラルス・ブロムリー氏によれば、破壊された小屋、集結する兵士、逃げまどう難民などを映像として映し出すことができるという。
アムネスティは、人権活動と人工衛星テクノロジーをつなぐ取組みの最前線にいる。例えば2006年、ジンバブエ政府による集落破壊を立証する画期的なプロジェクトでは、アムネスティ、AAAS、人権擁護ジンバブエ弁護士会が協力体制を敷き、三者協同によって、ジンバブエ政府が非公式の集落ポルタファームを始めとするすべての集落を破壊し、数千人の住民を強制退去させた証拠を白日の下に晒した。
「ダルフールを見守る目/Eyes on Darfur」のサイトには、2003年の紛争勃発以降の村落の破壊状況を伝える公的記録や専門家の証言も掲載されている。例えば、2004年に撮られたダルフール南部のドンキー・デレイス集落の映像は数百家屋ののどかな風景を示している。ところが2年後の衛星画像では、ほとんどすべての集落が完全に破壊されて1,171戸の家屋が消滅し、雑草が生い茂る風景が映し出されている。
「ダルフールを見守る目/Eyes on Darfur」のサイトは、ダルフールにおける人権侵害の阻止をめざし、アムネスティが地球規模で展開しているキャンペーンに新たな材料を提供するものである。2003年と2004年には、差し迫る人道・人権上の大惨事の兆候を示す地上の目撃者たちの証言をいちはやく報告した。また2004年に訪問した調査団は、残虐きわまりない現地の状況に世界の耳目を集め、世論を喚起した。集落への放火、女性や少女への性的暴力などのおぞましい暴力をアムネスティが暴露したことで、この国の凄惨な状況が世界の知るところとなった。
今月、アムネスティ米国支部はCD『インスタント・カーマ:アムネスティ・ダルフール救援キャンペーン」(日本では『メイク・サム・ノイズ:キャンペーントゥ・セイヴ・ダルフール』)を発売する。これはジョン・レノンの曲を有名なアーティストたちがカヴァーしたもので、音楽を通じてダルフールに対する取り組みを支援し、人権に取組もうとする若い世代の活動家たちを応援している。
このプロジェクトに関する詳細は (英語版)http://www.instantkarma.org/
アムネスティ・インターナショナルとは
アムネスティ・インターナショナルは220万人のあらゆる年代、階層の人びとから成る世界最大の人権団体で、正義、自由、真実、尊厳などが否定された人びとを守るために行動し、1977年にノーベル平和賞を受賞した。アムネスティは人権侵害を調査して公表し、人びと情報を伝え、結集させ、より安全でより公正な世界になるように社会変革の手助けをする団体である。
AI Index: AFR 54/025/2007
2007年6月6日
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