エチオピア:良心の囚人に死刑を求刑

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2007年7月 9日
国・地域:エチオピア
トピック:死刑廃止
エチオピアで14カ月続いた政治的な裁判の中で、本日、検察側は38人の被告人全員に対して死刑を求刑した。アムネスティ・インターナショナルは、本日の裁判経過に驚きを示すとともに、裁判所が検察側の求刑を拒否するよう訴える。

裁判所は被告人に対し、刑の減免の申し立てを3日以内に提出するよう言い渡した。判決は7月16日に言い渡される予定である。

被告人38人には、2人の女性、ジャーナリスト、著名な人権活動家、野党の統一民主連合(CUD)の指導者らが含まれる。全員が2005年11月以来、刑務所に収容されている。起訴された際、彼らは、公正な裁判が期待できないことを理由に、弁論書の提出を拒否した。裁判官は、弁論すべき事件性があると判示し、被告人らはそれから弁論書について検討した。しかし、報道によれば、裁判官は6月11日、弁論準備に関する被告側の要求を途中で打ち切り、起訴状の通りの有罪判決を出した。

38人は「憲法に対する反逆」と「国家の防衛力を弱体化させた」罪で有罪となり、またそのうちの5人は、「反政府武装勢力を主導し、準備し、教唆した」罪についても有罪となった。被告人らはそれ以前に、「反逆」と「ジェノサイド(集団殺害)の計画」の罪については無罪を言い渡されたが、検察側はこの判決に対して上告していた。

アムネスティは、被告人らが処刑されるかもしれないという事実に衝撃を受けている。アムネスティが得た情報から判断すると、被告人の全員ないしほとんどは、暴力を用いず提唱もしていない、非暴力で意見を述べたことを理由に囚われた良心の囚人である。アムネスティは、彼らを無条件に釈放するよう求める。

未確認だが、エチオピア政府は、38人と公判中のその他のCUDメンバーを、近いうちに一定の条件の下で釈放することを検討しているといういくつかの報道がある。

公判があったここ数カ月、収容されていたCUDの指導者らは、エチオピア人の仲介者を通して政府代表と接触していたと複数の情報筋が伝えている。

非公式の情報によると、彼らは、公判中の他のCUDメンバーとともに「恩赦」を与えられ釈放される可能性があるが、その条件として、問題の選挙後にあった2005年6月と5月のデモの最中に起こった暴力事件に一定の責任があると告白した声明に署名しなければならないと伝えられている。抗議行動の最中、193人が治安部隊によって射殺され、デモの参加者によって6人の警官が殺された。

政府関係者は、そのような恩赦は、大統領によって出されるか、あるいは裁判後の恩赦申請手続きによってのみ可能だと語った。

同じ裁判で弁論書を提出している10人の被告人は7月12日に公判に出廷する予定である。その中には市民運動家で良心の囚人であるダニエル・ベケレとネツサネット・デミシーがいる。

選挙によって議員に選出されたキフレ・ティジェネなど別のCUDメンバーを裁く裁判は、10月29日まで延期された。同裁判の被告人もまた、死刑判決を受ける危険がある。

アムネスティは、同裁判が公正な裁判のための国際基準に則っているかを調査するために、監視を続けている。欧州連合(EU)もまた同裁判を監視している。アムネスティは、量刑審理および弁論を傍聴する予定である。

背景
死刑は生きる権利を侵害し、究極の残虐で非人間的で品位を貶める刑罰であるとアムネスティは考え、例外なくすべての場合において死刑に反対している。死刑は、国家による取り返しのつかない暴力行為を正当化する。それゆえアムネスティは、無条件で世界的な死刑廃止を訴えている。

AI Index: AFR25/016/2007
2007年7月9日

 

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