英国:起訴前拘禁の延長は実質的「インターンメント」

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2007年7月25日
国・地域:英国
トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
アムネスティ・インターナショナルは、「反テロ」法に基づき警察によって拘禁された人びとの拘禁期間を56日間に延長するという英政府の法案を非難する。

「起訴または裁判なしで最長56日間まで拘禁できるとする政府案は実質的に『インターンメント』(非常拘禁制度)にあたる。これは、人権と自由に対する攻撃である」。アムネスティのヨーロッパ・中央アジア部長ニコラ・ダックワースはそのように述べた。

「英政府は、『インターンメント』が人びとに破滅的な結果をもたらし、人権擁護と法の支配、そして社会全体に悲惨な影響を及ぼした1970年代の北アイルランドでの教訓を忘れているようだ」

起訴前拘禁をさらに延長することによって「インターンメント」を再導入することは、北アイルランドであったのと同じような影響を持つ可能性がある。標的にされたコミュニティを排除し、その結果、そこの人びとが英当局を信用せず、警察に対して非協力的になる。

アムネスティは、英当局が「テロ」と戦うために必要な対策を講じる主要な義務を負っていることを認識している。しかし、そのような対策は基本的人権と法の支配に合致していなければならない。

「また、アムネスティがこの数年来行ってきた世界的な調査は、起訴前拘禁の延長が、強制的な自白など被拘禁者から非自発的な供述を引き出すような人権侵害的な実務が行われる風潮を生み出し、それゆえに司法制度への信頼が破壊されることを示している」。「アムネスティが抱く懸念は、拘禁期限延長を司法と議会が監視するという政府案で軽減されるものではない」。

アムネスティは、英国政府に対し、良識を持って今回の時代錯誤的でむしろ逆効果の法案を撤回するよう要請する。アムネスティは、英下院議員全員に対し、人権を守り、法の支配を遵守し、英国に住むすべての人びとの人権をさらに蝕むようないかなる新しい「反テロ」政策にも反対するよう求める。

背景
アムネスティは、最長で28日間拘禁できるとする現在の警察権限について、全面的に反対してきた。アムネスティは、以前の拘禁期限14日間でさえも長すぎると考えていた。


英国の一般刑法上、殺人のように非常に深刻な罪を犯したという嫌疑の場合、起訴なしで拘禁できる期間は最長で4日である。現在の「反テロ」法に基づいて警察が拘禁できる期間(28日)は、すでに7倍の日数である。

起訴や裁判なしの長期にわたる拘禁は、いかなる嫌疑かを迅速に知らされる権利、恣意的拘禁や拷問からの自由の権利、無罪推定といった公正な裁判の権利を侵害する。また、抑圧的な状況下で得られたものとして被疑者の供述が法廷で証拠として認められない可能性が高まるという、意図しない弊害が懸念される。

*「インターンメント」とは:「非常拘禁制度」あるいは「緊急拘禁制度」などと訳されている。起訴や裁判もないままの身柄拘束を認める制度。1970年代に北アイルランドで導入され、数千人が起訴なしで拘禁され、多くが拷問を受けた。

AI Index: EUR 45/012/2007
2007年7月25日

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