ソマリア:ジャーナリストの保護が急務

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2007年10月10日
国・地域:ソマリア
トピック:地域紛争
ソマリアの首都モガディシオならびに南部は、今年、ジャーナリストがその報道活動をする上で、今までよりも激しい暴力の危険にさらされている。これまでメディア関係者7人が殺害されたが、加害者は責任を問われていない。また4人が銃撃されて負傷し、数人が短期間拘禁された。さらに30人以上が保護を求めてケニアに避難しようとしている。

いくつかのメディアの事務所がさまざまな関係当局により一時的に閉鎖されたり、暴力的な襲撃を受けた。とくに8つのラジオ局およびテレビ局とウェブサイトを所有するホーンアフリク・メディア・ネットワークは、ここ数年で5人のスタッフを失なった。

国際的および地域的な人権基準により、またソマリアの暫定連邦憲章(暫定憲法)により、表現の自由とメディアの権利が認められているにもかかわらず、メディアに対する暴力と報復などの人権侵害が激化しており、憂慮すべき状況となっている。

アムネスティ・インターナショナルはソマリア暫定連邦政府(TFG)に対して、ジャーナリストへの殺害や暴力による脅迫などの犯罪行為について迅速かつ効果的で公正な調査を実施し、加害者を裁判にかけるよう要請する。

紛争に関わりのあるすべての当事者は、引き続く紛争のなかで人権擁護活動家と同様に大きな危険にさらされているジャーナリストの正当な権利とメディアの自由を守るとする宣言を発表すべきである。そして、氏族の長老たちは加害者の肩をもつのではなく、すべての人びとに法の支配および正義を確立するために、調査と宣言を支持すべきである。

さらに、アムネスティは以下を要請する。
1) ソマリア当局は、報道活動を理由としたメディア関係者に対する暴力、脅迫、嫌がらせを阻止するために、特別の保護措置を実施すること。
2) ケニア政府は、ソマリアの危険にさらされているジャーナリストや民間人が保護を求めて入国できるように、すでに8カ月に及んでいる国境封鎖を解除すること。
3) 国連関係機関、国際的組織、非政府組織(NGO)など国際社会は、暴力行為を防止するために緊急の「報道の自由のための措置」を実施し、現地での詳細な監視活動や支援、そして連帯を示すためのソマリア訪問などを行うこと。

ソマリア全国ジャーナリスト連合(NUSOJ)の幹部に対して匿名の殺害脅迫があったことで、アムネスティの今回の要請はより緊急性を帯びている。また昨日、シャベル・ラジオのウェブサイトでは、ラジオ局記者のアブディリザク・ワルサメが警察検問所でジャーナリストの身元を示したところ、逮捕され、殴られ、金品を強奪されたと伝えている。

8月に下記のジャーナリスト3人が殺害された。
アブダルカディール・マハド・モアリン(通称カスケイ):
ラジオ・バナディール所属、8月24日殺害
マハド・アメド・エルミ:
キャピタル・ボイス・ラジオ所属、8月11日射殺
アリ・イマン・シャルマルケ:
ホーンアフリク・メディア代表、8月11日車に仕掛けられた爆発物により殺害

2007年に入って起きたジャーナリスト襲撃の加害者は不明のままであり、TFG警察は容疑者を逮捕していない。2006年から2007年にかけての紛争期間においても、活発な民間メディアのジャーナリストはいつもと同じように活動を続け、専門性を高めるために職業訓練集会を開き、また国際的訓練を受けてきた。彼らは公平と安全と守るために積極的に努力し、その活動を遂行するために当局の支援を求めている。

ほとんどのジャーナリストに対する襲撃は狙い撃ちであったが、20歳のアブダルカディール・マハド・モアリン(通称カスケイ)は、無差別に数千人の民間人を巻き込んだ広範な無法状態のなかで殺害された。彼はモガディシオで職業訓練集会に参加した後、ゲドの自宅に向かうバスの車中で強盗団の襲撃を受けて死亡している。

背景:
2006年12月にTFGを支援するエチオピア軍がソマリア・イスラム法廷会議(COSIC)の武装勢力を打ち破って以来、TFGはモガディシオおよび他の地域に支配権を確立しようと努めてきた。しかし、モガディシオでは武力紛争が続いており、TFG治安部隊とエチオピア軍は氏族と連携しているイスラム法廷会議の部隊の残党から攻撃を受けている。モガディシオで開かれた全国和解会議は6週間の会期を終了した。会議には2000人が集まったが、エリトリアで集会を開きエチオピア軍のソマリア駐屯に抗議している亡命反政府派はこの会議に参加せず、5年計画の道半ばにある平和および移行計画推進のための政治的合意を達成することはできなかった。国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、8月に起きた暴動のため民間人1万8000人がモガディシオから避難した。

民間人は、むしろ、より危険な状態にさらされている。紛争は、人権擁護活動家、市民運動家やジャーナリストなど明らかに個人を標的とする新たな段階に入った。今年の戦闘が最悪の状態となる以前の3月から4月にかけて、民間人居住地域内で行われた反撃への報復としてエチオピア軍が行なった恣意的かつ無差別な発砲により、民間人数百人が殺害された。反政府派も民間人を保護する措置を取らず、また政府役人を暗殺し、捕虜となった兵士を処刑した。TFG軍は恣意的拘束など民間人への人権侵害を行ない、人道支援活動を妨害した。すべての当事者が国際人道法の違反(戦争犯罪)に関わっている。

AI Index: AFR52/015/2007
2007年9月7日
 

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