中国:不正な拘禁制度の改正がオリンピックの人権公約に不可欠

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2007年10月18日
国・地域:中国
トピック:危機にある個人
アムネスティ・インターナショナルは本日、「労働による再教育(労働教養)」を廃止することを求め、全国人民代表大会常務委員会法制工作委員会に対し公開書簡を送った。「労働教養」は、起訴や裁判、司法による再審査なしで最長4年まで拘禁可能な制度である。

中国の国営メディアによると、常務委員会は今月、「労働教養」に代わる新法「違法行為矯正法」を議論する予定だという。「労働教養」の改革と新法の議論はこれまで2年以上引き延ばされていた。

その間、2008年のオリンピックに向けて北京警察は、この大会の開催を口実に、北京市の「クリーンアップ」という名のもと、「労働教養」や「麻薬中毒者強制社会復帰訓練」などの不正な拘禁を続けてきた。

「裁判なしの拘禁を続けることでオリンピック前に北京市を『クリーンアップ』しようという取り組みは、オリンピック開催国になるにあたり中国政府が国内の人権状況を改善するとした公約に、大きな疑問を投げかける」。アムネスティ・インターナショナルのアジア・太平洋部長キャサリン・バーバーはそのように述べた。

何十万もの人びとが、「労働教養」の施設で厳しい状況下に置かれていると思われる。「労働教養」は、中国の法律で罰せられるほど深刻ではない違反を犯したと警察が判断した人びとに対して使われている。軽犯罪、政府批判、禁止されている宗教の信者もこの対象である。

「労働教養」の改正案は2年以上も立法府の議題に上がったままである。アムネスティ・インターナショナルは、長年にわたり「労働教養」に関して懸念を表してきたが、人民代表大会常務委員会に対し、オリンピックまでに、「労働教養」に替わるものとして、公正な裁判を受ける権利などを含む、国際人権基準に十分適合する何らかの法律が採択されることを保証するよう求める。

「国際基準に基づく公正な裁判と恣意的な警察による拘禁の終焉が実現すれば、オリンピックのよい意味での遺産となるだろう。北京オリンピックまで1年をきったが、もし中国政府が国内の人権状況を改善するという自らの公約を真剣に考えるなら、いま不正な拘禁を終わりにすることが公約達成に1歩近づく唯一の機会となるだろう」と、キャサリン・バーバーは語った。

編集者への注意:全国人民代表大会(全人代)は、今週第17回会議として開催される中国共産党大会とは区別されている。全人代は中国の立法機関であり国家最高機関である。約3,000人の代表で構成され毎年3月に2週間開催される。全人代の常務委員会はこれらの会期と2カ月ごとの会合で職権を行使する。

中国人民代表大会への公開書簡のダウンロード: http://web.amnesty.org/library/Index/ENGASA170202007

アムネスティ・インターナショナルの北京オリンピック関連資料のダウンロード:http://web.amnesty.org/library/Index/ENGASA170432007

AI Index:ASA 17/051/2007
18 October 2007

 

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