ルワンダ:ジェノサイド容疑者の本国送還には公正な裁判の確保が前提

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2007年11月 2日
国・地域:ルワンダ
トピック:
アムネスティ・インターナショナルは本日、各国政府に対して、1994年のジェノサイド(集団殺害)に関与したとされる被疑者をルワンダへ裁判のために送還しないよう要請した。

アムネスティは、各国政府ならびにルワンダ国際刑事法廷(ICTR)が、本国における裁判のために被疑者の送還を検討する際に適用すべき基準の概要を記した覚書を発表した。

ルワンダでは近年司法制度の改善が行なわれているが、1994年のジェノサイドに関連する犯罪を、国際裁判基準にしたがって公正かつ公平に調査し起訴することができるのかということに関しては深刻な懸念が残っている。

「被疑者が居住する国の政府は、ルワンダの人びとと国際社会に代わって、調査のため普遍的管轄権に基づく法律を適用した自国の裁判所における訴訟手続を迅速に始めるべきであり、また十分に容認できる証拠を持つ国の政府は、ジェノサイドの期間に起きた恐るべき犯罪を起訴するべきである」とアムネスティ・アフリカ部長エルヴィン・ファン・デル・ボルグは述べた。「起訴を可能にする普遍的管轄権に基づく法律が存在しない国は、法律を早急に制定すべきである」。

アムネスティはICTRに対しても、ルワンダ政府が公正かつ公平な裁判を行なう能力と意思があることを証明し、すべての犠牲者と証人の身の安全を保証するまでは、ジェノサイドに関する訴訟手続をルワンダに移管しないよう求めた。

この数カ月間にルワンダ政府は、英国、オランダ、カナダ、フランス、フィンランドなど数カ国の政府に対して、1994年のジェノサイドの期間における虐殺、戦争犯罪、人道に対する罪により告発された被疑者数人の引渡しを公式または非公式に要請した。2007 年7 月、ICTRの検事は最初のルワンダの裁判所への訴訟移管要求を提出した。

「私たちは、ジェノサイドという凶悪な犯罪の被疑者を調査し起訴する責務をルワンダの裁判所が担うことの重要性を認識している。しかしながら、裁判所が被疑者と犠牲者の権利の尊重と保護を十分に保証することが必要であり、そのために取り組むべきことがまだ多く残っている」とファン・デル・ボルグは述べた。

アムネスティはその覚書で、ルワンダと各国政府に対して、以下の事項が証明されるまで訴訟をルワンダに移管しないよう求めた。
1) すべての立場の人びとが関わって調査・起訴することでルワンダの司法制度が公正に実施されること
2) ルワンダにおけるすべての裁判が公正な国際裁判基準にしたがって実施されること
3) ルワンダに移管されるすべての裁判は、すべての当事者および記録資料に十分にあたることができる独立した専門家により監視されること
4) ルワンダに裁判のため移送される被疑者が、拷問やその他の残酷で非人道的かつ品位を傷つける取り扱いや懲罰の危険にさらされないようにすること
5) すべての犠牲者と証人が実効的な支援を与えられ、また脅迫や威嚇、襲撃からの保護を受けること

「アムネスティは、ルワンダの司法制度の発展を支持するが、公正で公平な裁判に必要な基準がすべて満たされたという確信が得られるまでは、ICTRと各国政府がいかなる訴訟もルワンダへ移管することを拒否するよう要請する」とファン・デル・ボルグは述べた。

「ICTRは国連安全保障理事会に対して、拷問や不公正な裁判の危険があるルワンダの司法制度に訴訟を移管する代わりに、ICTRの訴訟手続を進めるために時間と資金をかける必要があると通告するべきである」。

ルワンダでは1994年のジェノサイドの期間における犯罪の被疑者を裁くため、地域社会に根ざした裁判制度として「ガチャチャ」裁判が行われているが、「ガチャチャ」裁判では公正な裁判が保証されていないという報告が続いている。このため法制度全体が損なわれており、司法制度の他の部門では保証されている公正な裁判を受ける権利の重要性に不安が生じている。

*覚書「ルワンダ:裁判所は国際裁判基準を遵守しなければならない(勧告書付)」については以下を参照ください。
http://web.amensty.org/library/index/engafr470132007

2007年11月2日
AI Index AFR47/014/2007

 

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