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英国:庇護希望者の拘禁はあくまでも例外的措置

2008年1月30日
国・地域:英国
トピック:難民と移民
アムネスティ・インターナショナルは、1月29日に欧州人権裁判所が出したサーディ対英国事件に関する判決が持つ潜在的な影響に深刻な懸念を抱いている。この判決は、迫害から逃れてきた人びとや、ときには生命の危険に晒されている人びとを、行政上の都合のみで拘禁することのできる広範な裁量を国に与えているようである。彼らが国に対し難民としての庇護や国際的な保護を求めているにも関わらずである。

アムネスティ・インターナショナルは、英国、さらにこの判決で庇護希望者を機械的に拘禁することが合法化されたとみなす他の国々に対して、拘禁は常に最終手段であり、極めて例外的な状況でなければ正当化できないものと理解するよう求める。難民として庇護を求めることは犯罪ではない。また決して、犯罪であるかのように扱われるべきではない。

英国およびその他の国々は、難民認定の手続において、強い反証がない限り拘禁を禁止する推定を設けるべきである。庇護を求める人を拘禁する決定はすべて、経歴や逃亡のおそれなど個人の詳細な審査に基づかなくてはならない。庇護希望者を機械的に拘禁するようなことはあってはならない。拘禁は最終手段であり、最初の対応ではない。

アムネスティ・インターナショナルは、難民としての庇護や国際的な保護の求めに対して、徹底した公正な審査ができうる限り迅速に行われることは、国家、また個々の庇護希望者、双方のためになるものと考える。アムネスティは、申請を迅速に処理するという合法的な政策目標があったとしても、庇護希望者から機械的に自由を奪うことを正当化することはできないと考える。

これをふまえアムネスティ・インターナショナルは、この判決の一部に反対意見を述べた欧州人権裁判所の裁判官により出された、強固で説得力のある意見を歓迎する。(裁判官の意見は11対6に分かれた。)

判決に反対した6人の裁判官たちは、個々の庇護希望者の拘禁は、申請の迅速な処理につながり申請者自身の利益にもなるという多数の裁判官の見解を、「甚だしく危険」であると述べた。彼らは、拘禁よりも侵害の程度が低い選択肢が英国にとって可能であったかということを適切に考慮していないとして多数派を批判し、以下のように言及した:

「拘禁一般に関して(つまり、庇護希望者の拘禁以外という意味で)、必要性と均衡性という要件は、以下のことを国家に義務付けるものである。すなわち、拘禁という手段をとることに、必要かつ十分な理由があること、より強制的でない他の手段を考慮すること、そして、自由を奪うことで侵害される個人的および公的な利益を守るために代替手段では十分でないとみなされる理由を示すこと、である。単に管理上や便宜上の都合では十分ではない。どのような価値やより高い関心が、この多数意見を正当化するのか、私たちには見当がつかない。法の支配の下にある国家では個人の自由が基本的に保障され、難民として庇護を希望する者を拘禁することはできない。少なくともそうするべきではない」。

アムネスティ・インターナショナルは、反対意見を述べた裁判官たちの懸念を共有する。庇護希望者たちは、恣意的な拘禁に対して他のすべての人びとと同等の保護を受ける権利がある。彼らは、申請の審理中に、彼らが難民としての庇護または国際的保護を要請した国家の便宜上の都合のみによって拘禁されてはならない。

背景:
サーディ対英国事件(申請番号13229/03)は、2000年12月に難民としての庇護を求めて英国に入国した、イラク人医師シャヤン・バラム・サーディに関するものである。

サーディは入国直後に難民申請を行った。彼は、入国した日に「一時許可」を受け、翌朝に空港に戻るという条件で、任意のホテルに宿泊することを認められた。この状態は3日続き、その間サーディは報告義務を忠実に守った。しかし、オーキントンの一時収容施設に空きができた途端、彼は「ファスト・トラック」と呼ばれる略式手続きによって彼の申請が審理される間、7日間そこに収容された。難民申請の1度目の却下の後、サーディはオーキントンの収容施設での拘束を解かれた。彼は申請却下に対し異議を申し立て、2003年1月にようやく異議が認められイギリスで難民の地位を得た。

この過程で、サーディは課せられたすべての報告義務を忠実に守っていた。サーディが逃亡する懸念は全く認められなかったにも関わらず、審理期間中彼を拘束するという決定が下されたのである。彼の逃亡を阻止するために拘禁が不可欠とされたわけでもなければ、拘禁が肯定されるような彼個人に関するいかなる理由があるわけでもなかった。ただ、難民申請者を拘禁しておくことにより、審理のための面接の時間枠が空いたときに申請者とすぐに面接できるので、拘禁は、難民申請をより迅速に審理するという英国の目的に適うと主張されたのみであった。

1月29日に言い渡された判決の中で、欧州人権裁判所大法廷の17人の裁判官全員が、英国はサーディが真の拘禁理由を迅速に知る権利を侵害したという点で一致した。しかし多数(11対6)の裁判官が、この拘禁は欧州人権条約第5条1項(f)の意図する範囲において許容されるとした。同条約弟5条1項(f)では、他の理由とあわせて「不正入国を阻止するため」の拘禁を認めている。判決は、このような拘禁は「恣意的に」行われるものでない限り容認されるとした。また、拘禁が「誠実に行われ」、「不正入国を阻止するという目的と密接に関連」、「拘禁の状態と場所が適切」、拘禁の期間が「その目的達成のために合理的に必要とされる長さを超えない」などの要件を満たす限り、拘禁は「恣意的」とはみなされないとした。

アムネスティ・インターナショナルが2005年に実施した調査(下記参照)によれば、英国では、しばしば、明らかに恣意的な理由で庇護希望者の拘禁が決定される。拘禁の必要性と均衡性ではなく、出入国管理部門の収容施設の空き状況が拘禁の一番の決め手となっているからである。

このことはサーディのケースからも伺える。彼は、オーキントンの収容施設に空きが出るまでは「一時許可」を与えられおり、拘禁されていなかったのである。

英国における拘禁の実施状況に関する分析については、アムネスティ報告書「難民としての庇護を求めることは犯罪ではない;庇護希望者の拘禁」(AI Index: EUR 45/015/2005)を参照。難民としての庇護希望者とその他の移民の拘禁に関するアムネスティの声明の全文については、「移民に関連する拘禁:移民、庇護希望者、難民の拘禁に関わる人権基準の研究指針」(AI Index: POL 33/005/2007)を参照。

アムネスティ発表国際ニュース
AI Index: EUR 45/002/2008
2008年1月30日
 

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