イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:厳しさを増す生活状況

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2008年12月 5日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
イスラエルによるガザ地区の封鎖によって、ガザの住民はかつてないほど深刻な状況に陥っている。わずかであったガザへの人道的支援と生活必要品の供給は、1カ月の間にさらに減少した。

11月5日にイスラエル軍とパレスチナ武装組織による5カ月半の停戦が敗れて以来、封鎖はさらに厳しくなってきている。

「イスラエル当局が搬入を許可している物資は、ガザの人びとが生き残るには足りるかもしれない。しかし、150万人が尊厳を持って生活するには、全く不十分である」と、アムネスティのドナテラ・ロベラ・イスラエル/パレスチナ占領地区調査員は語った。

物資の供給が滞るにしたがって、穀物不足で閉鎖される工場が増えてきた。これまで長い間、人びとは多くの食料品を奪われてきたが、今ではパンを手に入れることすら困難になっている。

食糧の備蓄は長期の間に使い果たされ、ガザへの搬入が許された食糧は、日々の生活をしのぐににも十分ではない。家庭では、子どもたちに明日の食事を与えられるかどうかもわからない毎日を送っている。

たとえ食糧が手に入っても、家には調理に必要なガスや電気が通っていない。先週、ガザ地区に供給が許されたのは、一週間の調理に必要なガスの10パーセントにも満たない量だった。

「これは完全に人為的な悲劇である。差し迫って必要とされている物資が、配布可能な状態にもかかわらず、数キロ離れた支援機関の倉庫に眠ったままだ」とドナテラ・ロベラは述べた。「障害はたったひとつ、イスラエル軍が封鎖し続ける検問所である。どのような理由をならべても、人道支援と必需品の通過を許可しないことは正当化できない」

燃料と電気、スペア部品が不足することによって、水と公衆衛生のインフラ、その他の必要不可欠なサービスが、毎日少しずつ悪化している。井戸の80パーセントが制限された量しか利用できず、水の供給も数日に数時間しかない。

集合住宅には、水があってもそれをポンプで汲み上げるための電気や燃料がない。塩素不足によって、水による伝染病の危険が高くなっている。

日常的な停電は人びとの生活を混乱に陥れている。病院は、人命救助の機器に必要な電力確保に苦慮し、洗濯やその他の必要な業務を行うことがかつてないほど難しくなっている。

患者は、ガザでは必要な治療を受けることができないにもかかわらず、ガザから出ることを許可されないことが多い。これまでガザ地区では多くの人が亡くなっているが、ガザからの移動が許されていれば、彼らの命は救われただろう。

5人の幼い子どもの母である34歳のカリマ・アブ・ダラルは、11月25日に亡くなった。彼女はホジキン病という、患者の90パーセントは治療によって完治するといわれている悪性リンパ腫の病気を患っていた。カリマ・アブ・ダラルは必要な治療を受けるために、2007年11月、西岸地区のナブルスにある病院に行く予定だったが、イスラエル当局はガザ地区を出ることを許さなかった。

通過許可申請書に添えられた、イスラエルのガン専門医師による、カリマの診断書にはこう書かれていた。「この女性は、治療を受けさえすれば回復の可能性は非常に高いが、治療を受けられない場合は死亡するであろう」

それにもかかわらず、イスラエル当局がカリマの検問所通過を許可せず、イスラエル高等裁判所はこの問題への介入を拒否した。今年はじめ、カリマはやっとガザを出てエジプトに行くことを特例として許されたが、そのころには彼女の容態は急速に悪化しており、家族と最期をともにするためにガザに戻った。その後、せめて痛みを和らげるための緩和ケアを受けさせようと、イスラエルに入る申請が出されたが、それは無駄になってしまった。

「イスラエル当局とイスラエル軍は、ガザ地区の境界線と空域、海域を統制している限り、国際法上、ガザの人びとの生活を守る義務を負っている。現在、イスラエルはその責任を果たしていない」とドナテラ・ロベラは語った。

イスラエル軍は、11月4日以降の攻撃で20人のパレスチナ人を殺害している。そのほとんどは武装戦闘員だったが、2人の子どもも含まれていた。パレスチナの武装集団はガザ地区からイスラエルの町や村に向けてロケット弾の発射を再開し、イスラエルの一般市民2人と兵士数人が負傷した。

アムネスティは、ガザにおける事実上の政権ハマスの武装戦闘員を含むパレスチナ武装勢力に対し、無差別にイスラエル市民を危険にさらしているロケット弾の発射を止めるよう、繰り返し要請している。

「市民を標的とする行為は、いかなる理由があっても決して正当化できない。イスラエル軍とパレスチナ武装集団は、ガザとイスラエル南部に住む人びとの命を危険に晒す攻撃と行動を、直ちに止めなくてはならない」とドナテラ・ロベラは強調した。

アムネスティを含む4団体によるジョイント・アクションガザ封鎖の解除を求める署名にご協力ください。
http://www.shomei.tv/project-433.html

アムネスティ発表国際ニュース
2008年12月5日