スリランカ:政府、タミールの虎双方は一時停戦と「人道的回廊」の確保を

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2009年2月 5日
国・地域:スリランカ
トピック:難民と移民
スリランカ政府とタミール・イーラム解放の虎(LTTE)はただちに一時停戦を宣言し「人道的回廊」を設置すべきであると、本日アムネスティ・インターナショナルは訴えた。これにより、ワンニ地域で身動きのとれない状態にある民間人25万人以上が進行中の紛争から避難可能となり、それもできない人びとに食料や水、医療品などを届けることが可能となる。

またアムネスティは、紛争地帯を逃れ、移送センターに到着した避難民が移動にあたり不適切な制約を受けたり、危険に晒されることのないようスリランカ政府が保証することも求めた。12月以降、ワンニ地域で、6000人弱の住民が政府の支配下の地域で避難所を求めた。彼らは事実上の拘置施設に収容されており、政府軍による虐待を受けやすい状況下に置かれている。

「ワンニの民間人が置かれている状況は受け入れられない。人びとは安全に移動することができず、亡くなった親類の遺体を収集することさえできず、負傷者が行くべき病院もない」と、アムネスティのヨランダ・フォスターは述べた。「25万もの人びとが、砲弾が雨あられのごとく降り注ぐ中、十分な食料や住居を確保できず苦しんでいる。紛争地帯から脱出できた者の多くも、適切な医療を受けられずにいる」と、ヨランダ・フォスターは続けた。

民間人に届ける食料の輸送は完全に外部からの支援に依存しているが、最後の輸送は1月29日に行なわれたきりだ。スリランカ政府軍がすべての領土をタミールの虎から奪還しようと試みており、これにより状況が急激に悪化している。その中で、何千人もの民間人が命の危険に晒されていると、現地で活動する諸団体が懸念している。

アムネスティ・インターナショナルはスリランカ政府とLTTEに対し、以下の対策を早急に実施するよう訴える:
・「人道的回廊」を通じて、民間人の避難を許可し、避難できない人びとに対しては人道的援助を届けることができるよう、一時停戦を宣言すること

・紛争地帯にいる民間人が、援助用の回廊の所在に関する十分な情報を得ることができ、これら援助用回廊に安全に到着できるよう保証すること

・援助団体が救済活動を行い、民間人を支援することを認め、国際監視員が紛争地帯へ立ち入り、人権状況を監視し停戦の実施進捗を観察することを許可すること

・戦闘地域からの避難民受け入れ状況が、国際基準を満たすよう保証すること

・政府が支配する地域の移送センターに居住している避難民が移動の自由を確保し、独立した人道支援や監視団にアクセスできるよう保証すること

・国際連合が派遣する各部門合同評価チームが、現場の状況を調査し、戦闘で被害を受けた地域の人権監視団の展開を許可すること

「現在最も緊急の課題は、戦闘中の両勢力に挟まれ身動きのとれない家族たちに対し、迅速かつ支障なく人道支援を届けることに焦点を絞ることだ。政府は国際援助を求めているが、国際基準は求めていない」と、フォルターは語った。

タミールの虎はこれまで、移動の自由を制限するために通行制度を設け、民間人が紛争地域から出ることを阻んできた。またタミールの虎は、子どもを含む民間人を強制的に徴用し、軍事用の壕を掘らせたり軍事要員として働かせたりしてきた。

政府が支配する地域における民間人の身の安全への懸念:
スリランカ政府は2008年3月以降、LTTEの支配地域から逃げ出した民間人をいわゆる福祉村に収容している。これらのキャンプはマナール地区のカリモダイとシルカンダル、そしてバユニア地区のマニク農場とネルムクラムにある。スリランカ政府軍は、これらのキャンプに収容されている避難民たちの移動を厳しく制限してきた。

「戦闘地域で最後まで診療していた病院も現在は閉鎖されており、重傷者を手当てする適当な施設は存在しない。バユニアにある政府運営の病院でさえ、十分な医療手当を提供することはできない」と、フォスターは語った。

政府は教育や生計、健康などの目的で、何人かの避難民がキャンプの外に出ることを許可しているが、逃亡防止のため、許可を受けた避難民は家族の一員をキャンプに残していくことを要求されている。このような政策は、人質行為を禁じている国際法に違反している。

スリランカ政府は、ワンニを脱出してきた避難民をマナール、バユニア、ジャフィナ地区に作った新たな臨時避難所に収容している。

赤十字国際委員会(ICRC)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は制限付きで現存の収容所に立ち入ることを許可されたが、政府は他の人道支援組織の立ち入りを許していない。

スリランカ政府軍は、ワンニ地域から避難した民間人を全員検査し、何人かを警察留置場に拘束しているという報告をアムネスティは受け取っている。拘束された者は強制的失踪や超法規的処刑に加え、民族を理由に恣意的な拘禁や嫌がらせの標的になるなどの可能性があるということが、これまでの経験上、民間人の間で確かなものとして信じられ、恐れられている。2006年以降、スリランカにおける強制的失踪のケースが何百も報告されており、これら失踪事件の多くは政府支配地域で起きている。

スリランカは恣意的な拘禁をしてはならないという法的義務を負っている。国連の国内避難民に関する指針(国内避難民保護のための国際的な枠組み)は、自由に関する権利に沿って、国内避難民は「収容所に拘禁、監禁されてはならない」としている。同指針は、「絶対的に必要」な場合においてのみ、「例外的状況」における拘束を認めているが、そのような状況が存在することをスリランカ政府は示していない。

アムネスティ発表国際ニュース
2009年2月5日

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