イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:米国製武器不正使用の証拠で武器禁輸の必要性高まる

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2009年2月23日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
イスラエル側もハマス側も、外国製の武器を使用して民間人を攻撃していた。アムネスティ・インターナショナルは本日、ガザとイスラエル南部での3週間にわたる紛争で使われた武器・弾薬に関するあらたな証拠を公開するとともにこのように述べ、国連に対し包括的な武器禁輸を実施するよう求めた。

「イスラエル軍は、米国製の白リン弾などを使用して、重大な国際人道法違反を行なった。その中には戦争犯罪も含まれている。イスラエルの攻撃で数百人の子どもたちや民間人が死亡し、家屋やインフラが大規模に破壊された」と、アムネスティ・インターナショナルのイスラエル南部及びガザ事実調査チームを率いたドナテラ・ロべラは述べた。同時に、ハマスやその他のパレスチナ武装集団は、外国から密輸し、または外国製の材料で作った数百発のロケットを、イスラエルの民間人がいる地域に向けて発射した。こうしたロケットはイスラエルが使用した武器に比べて殺傷力は格段に劣るが、このようなロケットの発射も戦争犯罪であることに変わりなく、民間人数人を死亡させている」

3週間にわたる紛争が起きる以前から、武器を供給する者は、当事者双方によって武器の不正使用が繰り返されていることを知っていたはずである。武器の供給者は、自分たちが供給した武器による違反行為に何らかの責任をとらねばならず、今後の武器移転をただちに停止すべきである。

「特に米国は、イスラエルへの主要な武器供給国として、戦時国際法や人権法の重大な侵害を起こすような武器供給を停止する義務がある。オバマ政権は、ただちにイスラエルへの軍事援助を中断すべきである」と、アムネスティの中東部長マルコム・スマートは述べた。

長年にわたり米国はイスラエルにとって通常兵器の主要輸出国であった。2017年までの10年間協定にもとづき、米国はイスラエルに300億ドルの軍事援助を供給することになっている。これは、ブッシュ政権時代に比べて25%の増加である。

「ガザ地区に対するイスラエルの軍事攻撃の大部分が、米国製の武器・弾薬・軍装備品を使って行なわれた。この費用は、米国の納税者が支払っているのだ」と、マルコム・スマートは言った。

アムネスティ・インターナショナルの調査員は、戦闘終了後のガザで、学校の運動場や、病院や家の中にちらばるイスラエル軍の使用した弾薬の破片や部品を見つけた。その中には米国製のものも多い。大砲や戦車の砲弾、迫撃砲弾の垂直安定板、ヘルファイヤミサイルなどの空中発射ミサイルやF-16戦闘機搭載の大型爆弾の破片、さらに、すぐに発火する白リン弾の残骸も、いまだにくすぶっていた。

アムネスティの調査員は、新しいタイプのミサイルの残骸も見つけた。それは、無人の飛行機から発射されて爆発し、鋭くとがった金属製の立方体を大量にばらまくミサイルである。立方体は2ミリから4ミリ四方である。この人を殺す目的で作られた金属片は、厚い金属製のドアも貫通し、コンクリートの壁にも深くめりこむ。明らかに、与える被害を最大限にするために作られたものである。

イスラエル南部では、アムネスティ・インターナショナルはハマスやその他のパレスチナ武装集団が民間人のいる地域に向けて発射した「カッサム」やグラッドなどの無差別ロケット弾の残骸を見つけた。このような精巧でない武器は、密輸されたり、外国から密輸された材料を使用し現地で組み立てられたりしている。こうした武器は命中度も低く、イスラエルの武器とは比べものにならないが、イスラエル民間人の死者数人と負傷者を出し、民間人の財産を破壊した。

「私たちは、イスラエル、ハマス、その他のパレスチナ武装集団に対する包括的な武器禁輸をただちに実施するよう国連安全保障理事会に求める。この禁輸は、弾薬と他の軍装備品を使った重大な国際法違反が行なわれないように保証する実効性のある措置がとられるまで必要とされる」と、マルコム・スマートは述べた。「さらに、人権侵害のリスクが事実上なくなるまで、すべての国がイスラエル、ハマス、その他のパレスチナ武装集団への軍装備品・軍事援助・武器弾薬のすべての移送を停止すべきである。ガザとイスラエルの民間人への甚大な被害が予想される限り、従来どおりのビジネスが行なわれることがあってはならない」

*報告書(英文)の全文はこちらからご覧いただけます。

アムネスティ発表国際ニュース
2009年2月23日