アフガニスタン:増兵前に民間人の被害についての説明責任を

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2009年2月26日
国・地域:アフガニスタン
トピック:
バラク・オバマ米大統領はアフガニスタンへの派兵を増強すると発表し、NATO同盟国にも協力を要請した。これを受けアムネスティ・インターナショナルは、派遣される軍隊が軍事行動による民間人の被害について一層の説明責任を果たすよう求めた。

「2008年は、タリバン壊滅以来最悪の年だった。アフガニスタンの人びとは、多国籍軍による夜間の空襲その他の軍事行動による民間人の被害に憤りをつのらせている。米国と同盟国にとっての課題は、軍隊がアフガニスタンへ大規模に配備されるのはアフガニスタンの人びとの安全を向上させるためであって、危険を高めるためではないということを実証することだ」と、アムネスティのアジア・太平洋部長サム・ザリフィは述べた。

昨年1月、真夜中のカンダハルで兄弟2人が殺害された事件は、多国籍軍の説明責任が果たされていない顕著な一例である。アムネスティ・インターナショナルのカンダハルにおける調査によると、丸腰で家の中にいたアブドゥル・ハビブとモハメド・アリは、迷彩服を着た多国籍軍の部隊に至近距離から射殺された。アムネスティ・インターナショナル、アフガニスタン独立人権委員会、超法規的・即決・恣意的処刑に関する国連特別報告者であるフィリップ・アルストンによる調査にもかかわらず、1年以上が経っても責任を認めた者はいない。
「アブドゥル・ハビブとモハメド・アリの死に関して刑事責任が問われないままになっていることが、アフガニスタンで展開する欧米各国軍の十分な説明責任の欠如を浮き彫りにしている。アフガニスタンは転換点にあり、政府と同盟国は自分たちを守るために十分なことをしているのかという人びとの疑問はますます大きくなっている。タリバンはアフガニスタンの人びとの怒りの炎に油を注ぎ、一方で多国籍軍はいまだに事件の捜査、説明責任、被害者への賠償に本腰を入れているとは見受けられない」と、サム・ザリフは述べた。

これまでのところ、2人の兄弟の死に責任を取った者はいない。NATOが率いる国際治安支援部隊(ISAF)は、アムネスティ・インターナショナルに対し、NATOおよびISAFの兵士は誰もこの軍事行動に関与していなかったと語った。今までのところ、米軍もこの事件への関与を認めていない。

しかしアムネスティ・インターナショナルは、問題の軍事行動はタリバンの指導者ムラー・オマルのかつての本拠地にあるヤモリ発射基地(通称マホリク発射基地)から出撃した隊員が行ったという情報を得ている。現在は米軍基地として使われており、正規の多国籍軍、特殊部隊の他に、アフガニスタンでの活動が知られる米国の中央情報局(CIA)のような諜報部隊を収容している。上記の部隊は、しばしば「影の政府機関」もしくは略してOGAsと呼ばれている。

カンダハルのアフガニスタン治安部隊は、ヤモリ発射基地から出撃する特殊部隊及びOGAsの軍事行動に関していかなる統制も命令も行っておらず、同基地の部隊の軍事行動で負傷した民間人に対しては医療も提供できないと断言した。

アムネスティ・インターナショナルは、NATO軍と米軍が最近、民間人に与える被害を最小限にしようとしていることを歓迎する。しかし依然として、アフガニスタンにおいて軍事活動を行っている約40か国の軍隊の兵士に対する指揮系統、任務、交戦規則に大きな混乱が存在することも指摘した。

アムネスティ発表国際ニュース
2009年2月26日

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