カンボジア:クメール・ルージュの犠牲者にとって歴史的な日

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2009年4月 7日
国・地域:カンボジア
トピック:
3月30日、カンボジアで最も悪名高い殺人の容疑者への裁判がついに開始される。これに伴い、アムネスティ・インターナショナルは同裁判を行う裁判所に対し、取り扱い件数を増やすよう要請した。この容疑者は、30年前にクメール・ルージュの指揮官として犯した罪に問われている。

カン・ケ・イウ被告、通称ドッチは、殺人と拷問の罪のほか、人道に対する罪、戦争犯罪にも問われ、3月30日に証言台に立つことになった。この裁判は、1970年代にクメール・ルージュ支配下のカンボジアで、大量殺害その他の残虐行為に関与した責任者たちが特別法廷によって裁かれる初の裁判だ。

「アムネスティは、特別法廷で初めての裁判が開始されることを歓迎する。カンボジアの人びとはついに、最も悪名高いクメール・ルージュ政権幹部が法に裁かれるのを目にすることになる。しかし、残虐な犯罪の犠牲者となった数百万人にのぼる人びとのために真の正義を実現させるには、さらに多くの者が法廷に立つべきである」と、アムネスティ・インターナショナルのカンボジア調査員、ブリティス・エドマンはカンボジアの首都プノンペンで語った。

「被害者も容疑者もほとんどが高齢だ。本人や親族に対する罪が裁かれるのを被害者が目にする前に、多くの人びとが亡くなるおそれがある」と、ブリティス・エドマンは述べた。

他にはわずか4人の拘禁中の被疑者が、特別法廷による裁判をうける。この4人はすべてクメール・ルージュ政権の元幹部だ。しかし特別法廷の権限下では、元幹部たちが犯した犯罪の大半が問責の対象外となっている。

カンボジアの司法制度においてクメール・ルージュの犯した罪を実効的に起訴できるようにするには、大幅な改革が必要だ。したがって特別法廷は、高齢になった多くの犠牲者にとって、正義をもたらす唯一の希望となっている、とアムネスティは述べた。

「特別法廷は、手遅れにならないうちに緊急に起訴の拡大戦略をとり、より多くのケースを調査し起訴しなければならない」と、エドマン調査員は述べた。「起訴されるケースは、さまざまな犯罪およびその被害を受けた共同体や集団を幅広く代表していなくてはならない」。

クメール・ルージュの悪名高き指導者サロト・サル、通称ポル・ポトは、裁判をうけないまま1998年に死亡した。

また、アムネスティは国連とカンボジア政府に対して、特別法廷に向けられた深刻な汚職疑惑の解明に取り組むよう求めた。

特別法廷への任命をうけたカンボジア人スタッフが、政府高官にリベートを払うよう要求されたという疑惑が浮上している。このようなことは、特別法廷の能力、独立性および公平性に疑問を投げかけざるをえない。

「すべての汚職疑惑は早急かつ徹底的に調査されなければならない」と、エドマン調査員は述べた。「さもないと特別法廷そのものや特別法廷が成し遂げようとすることへの信頼性が損なわれてしまうおそれがある」

背景情報:
ドッチはクメール・ルージュの死の監獄といわれる収容所S-21(通称トゥール・スレン)及びS-24の所長であった。1975年4月から1979年1月までに、少なくとも14,000人がS-21で拷問を受け、殺害されたとされる。ドッチの裁判は2009年7月まで続く予定だ。
人口700から800万人のうち200万人ものカンボジア人が、クメール・ルージュ政権下で命を落とした。クメール・ルージュの幹部は、反政府派と見られる者を排除する目的で、数十万人もの人びとを処刑し、医師、エンジニア、教師、学生、者など教育をうけた者を一掃した。宗教指導者、少数民族の指導も処刑された。拷問はきわめて大規模に行われた。

* アムネスティ・インターナショナルのカンボジア調査員、ブリティス・エドマンは、携帯電話を通じメディアの取材に応じます:
+855 (0) 121 706 340

* アムネスティ・インターナショナルの報告書「カンボジア:30年を経て、クメール・ルージュの犯罪が裁判へ」は以下からご参照ください。
http://www.amnesty.org/en/library/info/ASA23/003/2009/en

アムネスティ発表国際ニュース
2009年3月27日

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