フィリピン:アロヨ大統領は前向きな人権の遺産を残すべき

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2009年7月23日
国・地域:フィリピン
トピック:
グロリア・マカパガル・アロヨ大統領は、フィリピンの人びとのために、大統領としての最後の10カ月で人権について前向きな遺産を残さなければならない。アムネスティ・インターナショナルは本日、そのように述べた。7月27日、アロヨ大統領は就任後9年を経て、最後の一般教書演説を行なう予定である。一方で、人権侵害に対する免責の風潮は国中に蔓延し続けており、ミンダナオ島では依然として数十万人が国内避難民となっている。

過去8年の間に、国際法に違反し、ほとんどが政治的動機に基づいた殺害が数百件行なわれ、同様に、しばしば拷問を伴う強制失踪も行なわれていた。

2008年8月に政府とモロ・イスラム解放戦線との間の武力紛争がふたたび始まったために発生した避難民は、国際機関の報告によると、2008年中の新たな国内避難民として世界で最も数が多く、最も関心が低かったとされている。これまでに全体で70万人以上が国内避難民となり、戦闘が再開してから1年経った今も25万人以上が避難生活を送っている。

7月23日、ミンダナオの市民団体は一般教書演説ならぬ「避難民演説」を通し、避難を余儀なくされている家族たちの声を伝えた。「この戦争はあまりにも深くて大きな傷を残し、私たちの生活をとても惨めなものにしてしまいました。一部の家は焼かれ、ささやかな財産や農地は破壊されました・・・。私たちは子どもたちのことが心配です。避難民の多くが子どもです。子どもたちのほとんどは学校に行けずにいます。私たちが恐れているのは、子どもたちが学べることが、避難すること、戦争、そして絶望しかないことです」

アムネスティ・インターナショナルはアロヨ大統領に対し、執政の中心に人権擁護を据え、武力紛争の被害に遭った民間人を保護することを保証し、十分な食糧、水、医療、そして避難民家族の回復のための支援を提供するよう訴える。

さらに大統領は最優先課題として、これまで徹底した調査がなされていなかった人権侵害、とりわけ政府治安部隊が加担したケースに対処することによって、自らの政権が人権問題に真摯に取り組んでいることを示すべきである。

アロヨ大統領のこれからの10カ月は、人権について前向きな遺産を残すための歴史的好機なのだ。

アムネスティ発表国際ニュース
2009年7月23日
 

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