アルバニア:貧困の悪循環を断つために

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2009年11月20日
国・地域:アルバニア
トピック:子どもの権利
国連総会における子どもの権利条約採択20周年にあたって、子どもたちを不必要に養護施設に収容することがないようアムネスティ・インターナショナルはアルバニア当局に要請する。

アルバニアにおいて子どもたちが養護施設に収容される主な理由の一つが依然として貧困であることをアムネスティは懸念している。こうした子どもたちの多くには親や近親者がいるが、そのような家族が子どもたちを養う金銭的余裕が無い状況にある。家庭で子どもたちを育てることができるよう、そのような家族に対してより多くの支援や援助をするようアムネスティはアルバニア政府に要請する。

今週アルバニア大統領とアルバニア政府に送った覚書の中で、アムネスティは次のように書いた。「現在、養護施設に収容されている子どもたちの中には、その最善の利益が家族と暮らすことにあり、適切な経済的支援やその他の援助があれば、子どもたちを養うことができる親や近親者を持つ子どもたちがいる」。こうした子どもたちは家族と暮らす権利が奪われている。

国の養護施設を出て行く個々の孤児やその他親による養育を受けられない子どもたちに対する支援や指導、フォローアップが不適切であることについても、アムネスティは懸念している。特に、全寮制の職業訓練学校へ送られた子どもたちは、国内法や国際法で彼らの権利として規定されている、成人する(18歳)まで与えられるべき国からの適切な保護や支援を受けられないでいる。その結果、多くの子どもたちが学校を辞め、自立した生活をするための技術や資格を修得できずにいる。成人してからも、ホームレスとなり、極度の貧困と社会的排除に苦しむことになりがちである。国内法が規定しているように住居と雇用を優先課題として、孤児の権利を保障するようアムネスティはアルバニア当局に再度要請する。

11月20日、国連総会第3委員会は子どもの家庭外養護委託指針を採択することが予定されている。この指針の意図するものは、なかでも「政府がその責務をより良く実現することを支援、奨励するものであり」、「市民社会をはじめとする公共、民間セクターにおける社会保障と子どもの福祉に関するあらゆる組織の方針や意思決定、活動の指針となるものである」。

この指針をアムネスティは歓迎する。指針は以下のように述べている。「それが子どもたちの最善の利益である場合、可能であるならば一時的に、最後の手段としてのみ、子どもたちは家庭外の養護施設に収容されるべきである」。さらに指針は「経済的・物質的貧困、あるいはそうしたまさに貧困のために生じる独特な状況のみをもって、子どもたちの家庭外養護を正当化してはならない」とも述べている。

子どもの家庭外養護指針は、養護から巣立つ若者たちが経済的に自立できるように教育や職業訓練を受ける機会の提供のみならず、養護から巣立つ若者たちが、そのアフターケアも含めて、社会的、法的、保健衛生的なサービスや適切な経済的支援を受けられるよう要求している。しかし、こうしたサービスに加えて、指針は子どもや若者たちが個別支援を必要としていることを認識しており、「できる限り、養護から巣立つ子どもたち一人ひとりにその自立を支援する専門家を割り当てるよう特別な努力を払うことを要求している」。

背景:
アルバニア政府はすでに家庭外養護にある子どもたちの保護を改善するための法律を含めた措置を実施している。しかし、その実効性は非常に限定的なものでしかない。「社会的支援とサービス」に関する法律の改正案が検討中であり、これはある範囲の孤児たちに恩恵をもたらすとされているが、養護施設に収容される子どもの数の削減に対して効果的であるかは不明である。

アルバニア当局に送った覚書の中で、指針に基づいて、養護施設に収容される子どもの数を削減し、子どもを養えない危険性のある家庭を支援し、子どもたちが自立するにあたり必要な個別支援や指導を受けられるようにすることを保証するさらなる措置を取るようアムネスティは要請している。

アムネスティ発表国際ニュース
AI Index EUR 11/004/2009
2009/11/20