ウズベキスタン:名誉毀損と侮辱罪に問われるアーティスト

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2010年2月 8日
国・地域:ウズベキスタン
トピック:女性の権利
ウズベキスタンに住む人びとの暮らしを記録し続けてきた著名な写真家でドキュメンタリー映像作家でもあるウミダ・アフメドバ(Umida Ahmedova)が名誉毀損および侮辱罪に問われており、アムネスティ・インターナショナルはこのことを憂慮している。2月9日、タシュケント市のミラバッド地方裁判所にて法廷審問が行われる予定である。

有罪判決を受けた場合、ウミダ・アフメドバは最高で3年の刑を受ける可能性がある。

アムネスティは、彼女が表現の自由を平和的に行使して拘束された良心の囚人であるとみなし、起訴を取り下げるようウズベキスタン当局に要請する。

アフメドバへの嫌疑は、その写真集とドキュメンタリー映画の内容に基づくもので、ウズベキスタン当局はそれらがウズベキスタンの人びととその伝統に対する名誉を毀損し侮辱するものであると解釈した。

2007年、ウミダ・アフメドバはウズベキスタンにおける男女不平等に焦点を当てた、「女と男―夜明けから夕暮れへ」というタイトルの写真集を出版した。

この写真集はタシュケントのスイス大使館がスポンサーとなっている。

2008年には、「純潔の重荷」という映画を製作した。これは女性が結婚初夜に処女であることを証明しなければならないという伝統的な社会の掟に踏み込んだ映画で、未だに一般公開されていない。

2009年11月17日、タシュケント警察署の捜査官に証人として召還されたとき、アフメドバは自分と同僚の仕事に対して捜査が行われていることを知った。12月16日に、ミラバッドの内務省に呼び出され、そこで彼女のドキュメンタリーに対して名誉毀損と侮辱罪を問う犯罪捜査が開始されたことを知らされた。これは国家報道情報局の求めによるもので、これによりアフメドバは証人から容疑者になった。

1月13日、アフメドバは彼女の写真とドキュメンタリー映画を審査するよう検察当局が指名した「専門家作業部会」による結論を提示された。

伝えられるところによれば、「専門家作業部会」は心理学者や宗教問題、プロパカンダ、スピリチュアリティの専門家で構成され、人権やジェンダーの専門家は含まれていなかった。

前述の写真集とドキュメンタリー映画を分析した後、この「専門家作業部会」は、このドキュメンタリー映画が国のイメージを傷つけるものであり、ウズベキスタンの伝統を侮辱し、精神的・道徳的価値を損なうものであるとみなした。さらに「専門家作業部会
」は、アフメドバが写真集の中で「ウズベキスタンの生活の暗部」のみを見せることを意図していると結論を下し、彼女の作品を公共の場から締め出すように勧告した。

1月23日、国家報道情報局の分析と「専門家作業部会」の結論に基づき、ウミダ・アフメドバはウズベキスタン刑法139条による名誉毀損と、140条による侮辱罪で公式に告訴された。法廷審問は2月9日にタシュケント市のミラバッド地方裁判所で行われる予定だ。

アムネスティ・インターナショナルは、ウミダ・アフメドバに対する起訴は、ウズベキスタンも締約国となっている自由権規約(ICCPR)第19条で保障された表現の自由の侵害であると考える。さらにアムネスティは、彼女に対する刑事訴追は、女性や少女を差別する伝統的慣習を記録する他のアーティストを脅す目的ではないかと懸念している。

背景情報:
アムネスティは、人権擁護活動家、市民社会活動家、野党活動家、独立系ジャーナリストたちを狙い打ちし続けるとともに、表現の自由を軽視するウズベキスタンの状況を非常に懸念している。こうした措置は市民社会に恐怖を生み出す。少なくとも4人の人権擁護活動家とジャーナリストが、2009年に不公正な裁判よって長期刑を宣告されており、その他の者も短期間の拘禁やムチ打ち刑に処され、国家の名誉を汚した罪で告訴されている。

アムネスティ発表国際ニュース
AI Index: EUR62/002/2010
2010年2月8日