台湾:死刑制度に関する公開書簡

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2010年3月18日
国・地域:台湾
トピック:死刑廃止
2010年3月18日

総統閣下

アムネスティ・インターナショナルは、最近の貴国における、死刑制度に関する議論に注目しております。この議論は、王清峰前法相の示した死刑執行停止への率直な支持と、その後の彼女の辞任によって引き起こされました。

アムネスティは、貴国政府に対し、貴国が公約した死刑廃止をめざすという方針を今後も堅持するよう要請するため、この書簡をお送りいたします。

アムネスティは、2008年6月18日に、閣下がアムネスティおよび他の団体との会合において、台湾の事実上の死刑停止状態に変更はないと確約したことを歓迎しています。この方針を放棄しないよう、アムネスティは閣下に強く要請いたします。44人の死刑囚の生命を、現在の政治論争によって危険に晒すことは許されません。

アムネスティは、死刑廃止に向けて前進するアジア地域のリーダーとして貴国に期待しています。2010年1月にエルベクドルジ大統領が死刑一時停止を公式に宣言したモンゴル国の姿勢とともに、死刑執行停止への支持する貴国の姿勢が、日本や中国政府に対し執行停止への一歩に向けた影響を及ぼすことを期待しております。

2010年3月15日の検察庁との会議で閣下が述べられたように、台湾において死刑についての公の議論と教育を強化する必要があります。新しい法務大臣の任命をめぐって社会の関心が高まっている今こそ、以下のような死刑制度の様ざまな問題点を明確にする良い機会だとアムネスティは考えています。死刑制度は、究極的な意味において冷酷かつ非人道的で品位を傷つける刑罰であり、取り返しのつかない過ちとなる危険性があり、被害者の家族に修復的司法を提供できず、特別な抑止的効果は証明されておりません。今や、世界中の3分の2以上の国が法律上または事実上死刑を廃止しており、この死刑廃止に向かう国際的な潮流を推し進めるために、最近の社会的論議はまたとない好機となります。さらに、国連総会で2010年12月に予定されている、世界的な死刑執行停止決議の投票を前に、国際的な死刑廃止の流れに対する人びとの支持を促すこととなるのです。

アムネスティは貴国に対し、今回の政治的な議論の高まりの中で、リーダーシップを発揮し、引き続き死刑廃止に向けた道を歩むよう強く要請いたします。


敬具

クラウディオ コルドーネ
アムネスティ・インターナショナル 暫定事務総長

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