台湾:死刑廃止、さらに深刻な後退

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2010年6月14日
国・地域:台湾
トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナルは、台湾の憲法裁判所が44人の死刑囚に対する執行停止を求めた請願を却下したことに対して深い失望の念を表明する。

台湾死刑廃止連盟(TAEDP)が提出したこの請願は、台湾における死刑適用は憲法違反であり、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)に違反するものであると主張している。

アムネスティは、死刑制度は、究極的な意味において冷酷かつ非人道的で品位を傷つける刑罰であり、生きる権利を侵害するものであると考える。

アムネスティは台湾政府に対して、死刑の執行を止め、将来的に死刑を廃止するという政府の公式目標に向かって具体的な一歩を踏み出すよう強く求める。

5月28日に憲法裁判所判事が出した決定書面では、台湾自らが履行を公約した自由権規約や他の国際基準が十分に参照されていなかった。これらの国際基準は、死刑判決を下す裁判について、あらゆる段階で公正な裁判を保障する最も高い基準に従わなければならないとしている。

憲法裁判所によって却下された弁護士らの主張とは、次のようなものである。すなわち、現在の台湾の法の下では、
a) 弁護側の陳述に関する規定が、特に最終審段階では不適切であり、これは公正な裁判を保障する自由権規約第14条に違反する。
b) 公判中、適切な量刑について討議する機会が不十分で、自由権規約第6条が禁じる恣意的な処刑につながる可能性がある。

不公正な裁判によって処刑されるとは、まさに生命権の侵害である。アムネスティは、このような主張に関しては最も慎重で詳細な調査がなされるべきであると確信している。

台湾政府による死刑執行の再開は、死刑廃止に向かう国際的な潮流に反するものである。世界全体では、3分の2以上の国々が法律上または事実上死刑を廃止しており、2009年に死刑を執行したのは、わずか18カ国であった。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年6月3日

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