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タイ:国軍は人を殺傷する無謀な武力行使を直ちに中止せよ

2010年6月14日
国・地域:タイ
トピック:
タイ国軍は、反政府勢力が集結しているバンコクの複数の広場での実弾発砲を直ちに中止するべきである。アムネスティ・インターナショナルは5月17日、そのように述べた。

「目撃証言や映像記録によれば、国軍は明らかに無防備で、兵士やその他の人びとに脅威を与えていたわけではない人びとに向けて実弾を発砲した」と、アムネスティのタイ専門家であるベンジャミン・ザワッキは述べた。「これは人権のなかでも最も重要な権利である生存権の侵害である」

「反政府勢力であるか否かを問わず、他者に脅威を与えていないと信ずるに足る非武装の人びとに対する意図的な実弾発砲は、国際法に反する行為である」と、ザワッキは述べた。

政府が「ラチャプラソン制圧作戦」を始めた5月13日以降、バンコクの複数の反政府勢力集結地域とその周辺に、国軍はゴム弾や実弾を発砲してきた。こうした地域には約500人もの「テロリスト」が反政府勢力に紛れ込んでいると、タイ政府は主張している。

これまでに、少なくとも35人の武器を持たない反政府派の人びとが殺害された。犠牲者の中には、赤十字のマークをつけた白衣の医師2人も含まれている。2 人の医師は5月の15日と16日にそれぞれ射殺された。15日には、17歳の男子も射殺されている。

5月14日、反政府勢力の軍事顧問カッティヤ・サワディホン少将(通称「セー・ディーン」)が狙撃兵に撃たれ、5月17日に死亡した。さらにもうひとりの兵士も殺害されている。

タイ人や外国人ジャーナリスト、10歳の少年を含む200人以上の人びとも負傷している。

「タイ政府は、制圧対象区域で国軍兵士による狙撃を容認しているが、断じてこれを許すことはできない」と、ザワッキは語った。

5月14日、非常事態解決センター(CRES)が明示した政府の交戦規則によれば、実弾の使用が許されるのは、威嚇射撃としての空への発砲、自衛、または国軍(または)治安部隊が、相手を明らかに「テロリスト」であると判明できた場合のみ、と明記されている。5月16日、非常事態解決センターは反政府勢力の封鎖地帯に隣接するいくつかの地域を「実弾射撃区域」と宣言した。

複数の目撃者がアムネスティに語ったところによれば、兵士たちは長距離ライフルによる射撃で、兵士に危害を及ぼす可能性がほとんどない遠距離の人びとを銃撃している。

5月15日、CRESの代表者サンセーン・キーゥカネード中佐の発言によれば、国軍は抗議行動参加者から一定の距離を保っており、抗議行動参加者がそれ以上近づくのを阻止するために実弾を放った。発砲の際、国軍はデモ隊の膝下を狙い、一回につき一発に限定したとのことだ。

「国際法の基準の下では、これを許容することはできない。国際法では、発砲は最終手段としてのみ使用できる。これは容疑者が武力抵抗を示したときか他者の命を危険にさらしたとき、もしくはより穏やかな方法では容疑者を抑制もしくは捕らえることができないときに限定される。明らかに自衛とみなされる状況を除き、暴動鎮圧は致死的な火器を使用しない訓練された警官によって実施されるべきであり、実弾を使用する兵士が鎮圧に当たるべきではない」とザワッキは述べた。

■背景
その服の色から「赤シャツ隊」と呼ばれている反独裁民主同盟(UDD)は、5月12日にバンコクで抗議運動を開始した。

赤シャツ隊の多くは、2006年のクーデターで退陣を迫られ、現在自主的な国外追放状態にあるタクシン・シナワトラ前首相と連携している。彼らは民主主義の拡大を求め、再選挙と、それに基づく議会の解散を一貫して要求している。

赤シャツ隊はまた、5つのロードマップで構成された和解案を5月3日に提案したアシュビット・ベジャジバ首相の辞任と国外追放を要請している。この和解案には、議会の解散と2010年11月14日の選挙実施が盛り込まれていた。

当初、反政府勢力は原則としてその計画を受け入れていたが、その後、対抗策の「レッド・プラン」を提起し、4月3日以降占拠している封鎖地区からの退去を拒絶した。

抗議活動が始まり非常事態宣言が出された4月7日以来、夜間外出禁止令が発動されている。このふたつの法令は国軍に巨大な力を提供するものであるが、非常事態宣言は継続され、現在ではタイ全体の約半分にまで広がっている。

タイは、たとえ「国民の生命を脅かす非常事態(第4条)」であっても、生存権は制限されるべきでない、と定める市民および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)に加盟している。

致死的な武力行使を無謀に行うことは、火器の使用に関する国際法違反である。法の執行機関による武力の行使および銃器の使用に関する国連基本原則(1990)と超法規的、恣意的、即決処刑に対する効果的防止および調査に関する国連原則(1989)は、法的拘束力を持っていないものの、法を執行する際に、生存権を侵害することなくいかに国際的な人権を擁護できるかについて国家間で取り決められた国際的合意を示すものである。

両条約とも、致死的な武力の意図的な行使は、厳密に人命救助のために不回避のときにのみ行使され得る、と明確に定めている。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年5月17日

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