ミャンマー(ビルマ):ビルマ(ミャンマー)の選挙はアセアンの信頼性を試す

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2010年7月21日
国・地域:ミャンマー(ビルマ)
トピック:
東南アジア諸国は、選挙期間中とその後を通して、表現、平和的な集会、結社の自由の権利が守られるようビルマ(ミャンマー)政府に圧力をかけるべきだと、ハノイにおけるアセアン外相会合開催前にアムネスティ・インターナショナルは語った。

アセアンは、選挙は「自由、公正かつ包含的な手段で」実施されるべきであると繰り返し強調してきた。しかしその呼びかけは、選挙中にもっとも危機にさらされる人権を強調するには至っていない。実際、ビルマ政府は、選挙が近づく中でそのお粗末な人権状況を改善するための対策をまったく講じていない。

ビルマでは、2200人以上の政治囚が獄中で苦しみ続けている。この政治囚の数は、2007年8月から9月に起きた、同国の悲惨な人権状況を訴える、大規模で平和的な反政府抗議行動以来倍増している。

3月に制定された選挙関連法において、アウンサンスーチーを含む政治囚は一人として選挙に参加することができない。同法はまた、政治囚がいかなる政党に所属することも禁じている。

アセアンは外相会合において、すべての政治囚を即時かつ無条件に釈放するよう明確に要請すべきである。これは、アセアン各国が4月にハノイで行われた首脳会合で露骨にやらなかったことである。

選挙関連法は多くの刑罰が定められており、それらの中には、選挙で投票する・しないについて他人に「強く勧める」ことを違犯とする、広くあいまいに解釈できる規定が含まれるなど、表現の自由に対する甚だしい違反がある。

さらに、選挙管理委員会が発行した6月21日付の指令は、政党による「治安や法の支配および地域の安寧を損なう」活動を禁止している。これらの規定は、「治安」への脅威の構成要件について、当局による過度の拡大解釈を許すことになる。数十年にわたり、ビルマ政府は、平和的に政府を批判する人びとを恣意的に有罪とするために曖昧な表現の法を繰り返し利用してきた。
また、6月に導入された新たな検閲規定も、選挙時期の独立した報道のために残されている自由を損なっている。

表現、平和的集会、結社の「3つの自由」は、選挙に参加する・しないに関わらず、すべての人びとのために守られなければならない。アセアンが静観する態度をとっていることはまったく不十分である。

選挙に向けてアセアン加盟諸国は、個人が平和的な政治見解や活動ゆえに嫌がらせを受け拘束された場合、力強く声をあげる心構えを持たなくてはならない。

これらの緊急の課題に対処しなければ、アセアンは国際的な信頼を損なうことになるだろう。長年の懸念となっているビルマの人権状況の改善を実現するために取り組む機会を掴むことは、アセアンにとってきわめて重要なのである。

東南アジア諸国連合(アセアン)は以下の10カ国から構成される。ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ビルマ(ミャンマー)、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム。アセアンの年次外相会合は今年7月19日から23日まで開催される。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年7月16日