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日本:「慰安婦」たちのための正義を実現する機会を逃す

2010年9月 8日
国・地域:日本
トピック:女性の権利
第2次世界大戦終結65周年を迎え、日本はまたしても日本軍性奴隷制(婉曲的表現では「慰安婦」制度)のサバイバーたちに対して、明確な謝罪を行い、法的責任を認め、適切な補償を行う機会を逃してしまった。

また、2010年8月29日は、日本による韓国併合100周年である。この機会に、菅直人首相は日本が韓国を植民地とした時代に対して「痛切な反省」を表す談話を出した。しかし、「慰安婦」に関しては言及しなかった。

軍性奴隷制が、アジア全域への日本の植民地支配および軍事拡大によって作り上げられたものであることを考えると、首相が言及しなかったことは深刻な不作為である。性奴隷とされた被害者たちの大多数は、中国人、朝鮮人、台湾人、フィリピン人、マレーシア人、インドネシア人、オランダ人、東ティモール人、日本人であった。
たとえば、韓国の十代の少女だったムン・ピルギは、工場に行けば給料がもらえると隣人に言われた。しかし、他の20名の少女たちと一緒に彼女が汽車で連れて行かれたのは、中国だった。そこで彼女は、戦争終結までの約3年間にわたって、ある「慰安所」に監禁された。2008年に亡くなる前、彼女は「日本政府は私たちに謝罪と補償をすべきである。私たちは十分苦しんできた。その苦しみがどれほどのものか、言葉では言い表せない」と語った。日本軍性奴隷制のサバイバーは今や高齢である。ムン・ピルギのように、多くのサバイバーが正義の実現を見ることなく亡くなっている。

およそ20万人の女性たちが、1932年頃から第二次世界大戦終結まで、旧日本軍によって性的な奴隷とされた。奴隷とされた女性たちの大半は、20歳未満だった。なかには拉致された時にまだ12歳の少女もいた。女性や少女を調達するために、旧日本軍は暴力と詐欺を手段として使った。サバイバーたちは自らの経験をあまり語ろうとしないが、奴隷化の結果として身体的にも精神的にも健康を損ない、社会から孤立し、恥の意識に苦しむと共に、多くが極度の貧困に苦しんでいる。

戦争終結から46年経った1991年8月、金学順(キム・ハクスン)は自らの苦難を公に語った最初のサバイバーとなった。当時74歳であり、彼女の過去のことで恥を感じる親戚がひとりも生きていないことが、彼女に決断させることになった。それがきっかけとなり、他の多くのサバイバーたちが沈黙を破ることになった。その中には、1992年にフィリピンのテレビやラジオで発言し、恥じるのではなく、名乗り出て正義を求めようとサバイバーたちを励ました、ロラ・ロサ・ヘンソンも含まれていた。

日本政府は、この問題に関する自らの法的立場に固執し、すべての賠償問題は戦後の平和条約で解決済みであるとの立場を一貫して取っている。しかし、そうした平和条約では性奴隷制が認識されておらず、また、それらの条約では被害者個人に対する補償がなされていない。アムネスティ・インターナショナルは、正義の実現を拒否し、妨害している日本政府の行いは、彼女たちに対して犯した人権侵害をさらに悪化させるだけであると考える。日本政府がその罪を認め、直ちに被害者らに賠償を行っていたならば、彼女たちは精神的および身体的被害に対処することができ、恥と貧困の中で生きることを余儀なくされるということはなかっただろう。

2010年5月、ジュネーブでの国連人権理事会の第14会期において、女性に対する暴力に関する国連特別報告者が報告書を出した。それは、性犯罪の被害者としてサバイバーたちが「公式謝罪および国家責任を政府が公式に認めることなしに、経済的補償を受けようとは思っていない」という事実に、言及している。

2010年5月の日本への訪問中、国連人権高等弁務官であるナビ・ピレイ氏もまた日本政府に対して、「慰安婦」問題には「中途半端な措置」ではなく、戦時性奴隷制の何千人もの被害女性らに謝罪し賠償を行うことによって「決着をつける」よう要請した。

2007年以降、米国、カナダ、オランダ、韓国、台湾そして欧州連合(EU)加盟国全27カ国の意思を示す欧州議会のすべてにおいて、日本政府に対し、サバイバーである女性たちの正義を実現するように求める決議を採択している。2008年3月以後、日本では21の自治体が、日本軍性奴隷制のサバイバーたちに対して正義と賠償が行われるようにという要請を支持する決議を採択している。

自由権規約委員会、拷問禁止委員会、そして女性差別撤廃委員会を含む国連の条約に基づく機関はすべて、「慰安婦」たちに対して日本政府が正義を実現するよう要請している。

アムネスティは、苦しみの中にあるサバイバーたちに、日本政府が直ちに償いを行うよう要請する。特に以下のことを行うよう要求する。


・女性たちが苦しめられている被害を公に認め、法的責任も含め「慰安婦」制度に対する責任を完全に受け入れること
・女性たちに犯した罪に対して、明確にかつ全面的に謝罪すること
・サバイバーと彼女たちの近親者に対して、政府から直接、十分かつ有効な賠償を行うこと
・日本の教科書の第二次世界大戦に関する部分に、性奴隷制についての正確な記述を盛り込むこと

アムネスティ発表国際ニュース
2010年8月13日

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