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スロバキア:スロバキア政府はロマの子どもたちに対する分離教育の撤廃を

2010年9月15日
国・地域:スロバキア
トピック:先住民族/少数民族
アムネスティ・インターナショナルはスロバキア政府に対し、国の教育制度の中でのロマの子どもたちの分離をただちに撤廃するよう要請する。この実務は、何千人ものロマの生徒を、軽度の知的障害児のための特別学校・学級や、人種に基づいて分離された子どもたちだけの低水準な教育の普通学校・学級に押しやっている。

「分離教育を終わらせるための道のり」という、スロバキア政府に向けた提言書において、アムネスティはスロバキアの教育制度における差別と分離を禁止する法律の執行と監視との間に深刻なギャップがあると指摘している。

「スロバキアにいるロマの子どもたちは、大きく広まっている差別の結果、彼らを損なうような教育制度のなかに閉じ込められてしまっている。それはロマの子どもたちから平等な機会を奪い取り、彼らに貧困と疎外にまみれた一生を宣告しているのだ」と、アムネスティのヨーロッパ・中央アジア部副部長デヴィッド・ディアスホジョは述べた。

「自国の人口の大きな比率を占める人々に影響をおよぼす差別を終わらせるために、スロバキア政府がなさねばならないことはたくさんある。分離教育は、生涯未来のチャンスを横暴に制限することで、子どもに一生の烙印を押す。これは21世紀のヨーロッパにはそぐわない慣習であり、撤廃されなければならない」

ロマの子どもたちの分離はさまざまな形で行われている。軽度の知的障害児のための特別学校・学級や、ロマの人びとだけの普通学校・学級などである。

ロマの人びとはスロバキアの全人口の10パーセント以下を占めていると推計されているが、2009年の統計では特別学校の生徒の60パーセント近くがロマの人びとであった。

ロマの人びとの人口率が高い地域では、特別学校の生徒4人のうち3人がロマの人々であった。また、国中の普通学校における特別クラスの85パーセントがロマの人びとである。

分離の原因は複雑である。染み付いた反ロマの意識もあるし、子どもたちに対する、早い段階での欠点のある評価や、普通教育におけるロマの子どもたちへの不十分な支援など、教育政策の失敗も一因となっている。

また、国内に広まっている、ロマではない保護者や教育関係者による反ロマの感情により、普通学校や普通学級においてさえ、ロマの子どもたちに対する分離教育が行われようとしている。

ロマの子どもたちがロマでない生徒と一緒になるのを避けるため、ロマの子供たちを文字通り別の教室や廊下、建物に閉じ込めてしまう状況を招いている。

連立政権によって2010年8月に採択されたプログラムは、ロマの人びとに対する分離教育を撤廃するという公約を含んでいる。アムネスティは、この公約に関し、ロマに対する民族差別や分離を許さず、この問題に最優先課題として取り組む、という政府首班からの明確かつはっきりとした発言がないことに懸念を持っている。

「隔離が平等につながり得るという考えは疑わしい。スロバキアは、ロマの子どもたちが差別されることなく教育を受ける権利を否定し続けることはできない」と、デヴィッド・ディアスホジョは述べた。

「政府がいま取る選択は、何千人ものロマの子どもたちの一生に影響をおよぼすことになる。スロバキアに住むロマの人びとをスロバキアおよびヨーロッパ社会に完全に社会参加させるための鍵は、政府が握っているのだ」

アムネスティはスロバキア政府に対し、以下のことを要請する。

・行われている差別を、実際にどのように確認し、監視し、対処するかについての明確かつ詳細なガイドラインと手続きなど、十分な情報を公立学校視察団に提供すること
・性別や人種ごとに区分された、教育に関する系統的な情報収集を開始すること
・教育の分離をなくすための明確な義務をすべての学校に導入し、そこに適切な支援を行うこと
・ロマであるとそうでないとを問わず、特別な補助が必要な子どもたちが、普通学校において各々の可能性を最大限引き出すことができるよう、十分な支援策を導入すること

事例
16歳のヤクブは家族とともに、首都ブラティスラヴァから北西に20キロ離れたロマの人びとの集落に住んでいる。普通学級に入学した彼は、奨学金を受け取るほどの優秀な生徒だった。

5年生に進級したときに、ヤクブは教師と意見が対立した後、能力評価をされた。ヤクブの両親は、息子の能力評価について何も聞かされていなかった。その後ヤクブは、軽度の知的障害児のための特別学級に移された。

ヤクブを教えていた教師の1人はアムネスティにこう語った。「私の見るところ、なかには不当に移される子どもがいます。たとえば、注意欠陥障害という理由で特別学級に移されたヤクブのように。彼は普通学級にいるべきでした。彼は天才でした」。

小学校を終えた今、ヤクブは自分が受けた不正に悔しさを感じている。「彼らが僕にしたことはとてもひどい。僕を間抜けなやつにしたのは、彼らなんだ」。

スロバキアで3番目に大きな都市プレショフに住む、7歳のルボシュの母アンゲリカは、市中心部でトップの学校に息子を入れた。ルボシュはロマでないスロバキア人の父とともに入学手続きを行った。しかし、アンゲリカによれば、彼女が学校を訪れ始めてから事態が変わったという。学校側が、ルボシュの素行に問題があり、ルボシュが学校にとどまるのはふさわしくないと彼女に言ったのだ。

「教師は、私の子どもはクラスに合わないと言いました。彼はロマであるから、ロマの学校へやるべきだと言ったのです」。

その後、アンゲリカはルボシュを辞めさせることとなり、結果として彼は1年分の勉強を失うこととなった。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年9月2日

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