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ジョージア:国内避難民の不適切な住居への懸念

2010年10月18日
国・地域:ジョージア
トピック:強制立ち退き
10月4日は、居住環境の問題に国際社会の注目を促すために国連が定めた世界ハビタットデーである。この日、アムネスティ・インターナショナルはグルジア政府に対して、強制退去の執行を中止し、取るべき最後の手段である退去については影響を受ける住民たちと適切な話し合いを持った上で実施することを確約するよう求めた。

現地の情報筋によると、グルジアの首都トビリシでは、今年の6月から8月にかけて5回の退去が執行され、約5000人が強制的に住居を追われている。この退去は明らかに国際基準に違反している。とくに、当局は退去させられた人びとと適切な話し合いを持たず、退去に関する事前通知を行なわず、十分な代替住居を提供しなかった。当局が住民に住居をまったく提供せず、親類や友人宅に身を寄せるよう指示していたという場合もあった。

国際的非難を受けて8月23日に強制退去は中止され、当局は住民および国際団体の代表と話し合いの末、国内避難民となった人びとの退去および移住に関する指針を策定することに同意した。

アムネスティは、現在の退去中止を歓迎する。しかし、過去数カ月に立ち退かされた人びとの多くは適切な住居を持たず、報告によれば、他の地域の僻地に移住するようにと当局から圧力をかけられている。退去させられた住民の中には移住に同意した者もいるが、多くの人びとが首都から離れることは生活および生計手段の取得に深刻な影響を及ぼすと懸念を示している。アムネスティの聞いたところによると、トビリシにあるイサニ軍人病院から追い出された人びとは都市で生計を確立しており、必要なインフラがなく基本的なサービスを受けられない地方への移住に同意しなかった。トビリシでは、アパートの地下など放置された家屋に住むことを余儀なくされた人びとがいるが、彼らも今後退去させられる可能性がある。

開発に伴なう退去および移住に関する基本原則は、「立ち退きにより人びとがホームレスになったり、他の人権侵害の標的となったりすることがあってはならない」と明言している。

適切な話し合いがなく事前通知も受けていない5000人に対する立ち退きの執行は強制退去にあたる、とアムネスティは考える。国内避難民が補償を受け取ったか、あるいは地方での再定住の選択肢を与えられたかどうかにかかわらず、彼らのトビリシにおける一時的な住居の保有権は侵害されてはならない。いかなる状況にあっても、すべての人は法的な保護または他の保証措置なくして退去を命じられない権利、また自由に移動する権利を有している。

代替住居の条件として、適切な生活水準、住居保有権の保証、生活のための基本的なサービスと生計手段の確保が必要である、とアムネスティは考える。

さらに世界ハビタットデーに際して、アムネスティは90年代に強制的に移住させられた人びとについて思いをめぐらせている。彼らの多くが、20年にわたる移住生活の今も収容センターで劣悪な状態の生活を続けており、施設の改善または再定住を待っている。2010年3月アムネスティは、改築された収容センターと新しい再定住地を訪れたが、それらは生活用水や衛生設備に問題があり、また基本的サービスが不足しており、適切な住居の基準を十分に満たすものではなかった。トビリシから立ち退かされツァレンジカ地区のポツコエツェリ村に移住した国内避難民は、医薬品、健康管理、生計手段、雇用機会などの生活に必要不可欠なサービスが不十分な過酷な条件のもとで暮らしている、と彼らを訪ねた公選弁護人事務所の代表者はアムネスティに述べた。また住居は改築されたが、国内避難民が入居した最初の数週間はガスや電気の供給もなかった、と公選弁護人事務所は述べた。

現在においても住居問題の恒久的対策は進んでおらず、民間の居住施設に住んだり借りたりしている13万人もの避難民にとって解決は遠い。大多数が90年代の紛争により強制移住させられた住民であるが、彼らは行動計画の次の措置が取られるまでは未解決の状態に置かれている。

背景

1990年代初頭に起きた紛争の間に、約22万人が強制的に住居を追われた。また2008年8月のグルジアとロシア間の戦争の結果、グルジアの国内避難民は約2万6000人増加した。

グルジアには、15年以上にわたって国内避難民に対する国家としての方針がなかった。政府の方針は人びとを自宅に戻すことであった。大きな前進があったのは2007年で、国内で避難した人びとには、少なくとも自宅に戻ることが可能になるまでの間は避難地に留まる権利を認める措置が採用された。2009年、政府は行動計画に取り組み、避難した人びとに避難地の保有権を新たに与える手続きを開始した。

しかしながら、避難民が人間として尊厳のある生活を送る権利を十分に満たすにはなすべきことが多い。高い失業率や生活を維持する手段の欠如は重大な問題である。居住以外の経済的および社会的権利を現実のものとするという観点からすれば、現行の計画は国内避難民の一部を現在の社会福祉制度の枠組みに統合する以上のものではない。

2010年6月から8月にかけて、首都トビリシで国内避難民に対して一連の強制退去措置が取られて、約5000人がその影響を受けた。これによりグルジアにおける避難民の生活状況に更なる懸念が生まれた。

6月14日の最初の強制立ち退きでは、38家族が数年間住んでいた収容センターから適切な話し合いもないまま追い出され、居住にはふさわしくない別の収容センターを提供されただけであった。アムネスティが入手した写真は、建物は瓦礫の山に埋もれ管理がゆきとどかない状態であることを示している。報告によれば、トイレのある1部屋が1家族の生活空間として割り当てられている。この強制退去は、グルジアの国内避難民に対する法的手続きに違反して実施された。とくに問題となるのは、避難民を現在より条件の悪い住居に移住させることはできないと明記した法律があり、また移住には書面による同意が必要とされている点である。

避難民を移住させようとして当局が圧力をかけることは、自由権規約第12条に明記されている移動の自由および居住地選択の自由の権利に違反するものと見なされ、この12条はすべてのグルジア市民に適用される。また自己の意思に基づかない再定住は、国内避難民に関する国連指針第15条と第28条にも違反している。それらの条項によれば、移住させられた人びとは居住地を選ぶ自由を持ち、また当局は彼らが自由に自宅に戻りまた再定住するための条件や手段を講じなければならない。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年10月4日

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