グアテマラ:グアテマラ議会は、死刑復活の動きに抵抗すべきである

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2010年10月21日
国・地域:グアテマラ
トピック:死刑廃止
現在、グアテマラ議会で2000年以降初めての死刑の実施を可能とする新法が討議されている。アムネスティ・インターナショナルはグアテマラ議会に対し、死刑を制限するのではなく、死刑そのものを撤廃するよう求める。

新法では、死刑囚に対する大統領恩赦が制定されている。この動きは、死刑の実施を許容するものである。政治家は、死刑は増加するギャングの暴力事件に対する世論の圧力に応えるものである、としている。

「死刑は、残虐かつ非人道的で、品位を傷つける刑罰であり、世界人権宣言の中で謳われている生命に対する権利を侵害するものである」と米州部副部長のグアダルーぺ・マレンゴは述べた。

「アメリカ大陸の他の国々同様、世界の3分の2以上の国が死刑を法律上あるいは事実上廃止している。一貫して死刑を実施してきたアメリカ大陸唯一の国である米国でさえ、死刑という非人道的で品位を傷つける刑罰に、背を向ける兆候を見せている。もしグアテマラ議会が死刑復活の地ならしをするのであれば、グアテマラは、この前向きな世界の流れに逆行していくことになるだろう。」

もしこの新法がグアテマラ議会で可決された場合、現在収容されている10人の死刑囚が処刑される可能性がある。

昨今、グアテマラにおける犯罪が拡大していることをうけ、国会議員たちが、人々の不安をぬぐい、住民の安全な生活を保証するための法律を通過させる義務を負っていることを、アムネスティは認識している。

「凶悪犯罪に関与した者を極刑に処すことは、犯罪抑止にはならない。世界中の研究調査が、死刑に特別な抑止効果はなく、死刑が安全な社会をつくりあげるどころか、かえって社会に残忍な影響をもたらすことを示している。国家が認めた殺人である死刑は、ただ力の行使を是認し、暴力の悪循環を助長することにしか役に立たない」とマレンゴは述べた。

「グアテマラ議会は、死刑を制限する代わりに撤廃し、犯罪の背景にある根本の問題に取り組むべきである。警察と司法は、免責を根絶するための態勢を整えなければならず、政府は不平等と差別に取り組まなければならない。」

背景情報

1985年制定されたグアテマラ憲法は、第18条で死刑を認めている。同国における最後の死刑は、2000年に薬物注射によって執行された。以来、歴代の政権は、死刑宣告を受けた人びとに対する大統領恩赦発布の権限を政府に与えることで、事実上の死刑の執行を停止している。2005年、米州裁判所は、グアテマラは、大統領恩赦を許可するための法的手続きがないために死刑を適用できないと判断した。

現在議論されている法案4175は、大統領恩赦の仕組みを提案している。同案がグアテマラ議会で可決された場合、現在死刑囚監房にいる10人が処刑される可能性がある。

死刑は取り返しがつかない刑罰である。また、司法制度の人為的な誤りや偏見の傾向があいまって、無実の人を極刑に処す危険が絶えず存在する。2007年、国連総会が加盟国に対し、死刑廃止を視野に入れて、死刑の執行停止を行うよう求める決議を採択した。その際国連は、残酷で非人道的な措置である死刑について自らの見解を再確認し、これを強調した。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年10月5日

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