イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:エルサレムでの爆破は非難すべきだが、イスラエルは住宅地域への迫撃砲弾発射をやめよ

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:エルサレムでの爆破は非難すべきだが、イスラエルは住宅地域への迫撃砲弾発射をやめよ
2011年3月28日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
明らかにイスラエルの民間人を標的とした、エルサレムでの23日の爆破をアムネスティ・インターナショナルは非難する。またイスラエルに対しては、今週初めにガザ市内で4名のパレスチナ民間人がイスラエルの攻撃によって死亡したことに続き、住宅地域に迫撃砲弾を発射していることを停止するよう促した。

23日のエルサレムでの爆破事件は、市内中心部のバス停留所で起き、英国人女性1名が死亡、3名の重傷者を含む30名余りの負傷者が出た。犯行声明は出ていないが、爆弾の組成と爆破場所から、民間人に深刻な被害を与えるように計画されていたことがわかる。報告によると爆弾は鋼の球粒を含んでおり、エルサレムの国際コンベンション・センターと中央バス・ステーションの近くの混雑するバス停に置かれたバッグの中に入れられていた。エルサレムで爆破事件があったのは2004年以来のことである。

いつ、どこで、誰が実行しようと、民間人を標的としたあらゆる攻撃は、国際法の下、絶対に禁止されているということを、アムネスティはもう一度繰り返す。

最近、パレスチナ人武装グループによるイスラエル南部への無差別ロケット弾発射が増加し、イスラエルによるガザ地区への攻撃が多発していた。今回の爆破事件は、そうした中で起こった。

23日以降、イスラエルの砲弾と空爆によって4名の子どもたちを含む6名のパレスチナ民間人がガザで死亡した。また、イスラム聖戦の軍事部門であるアルクッズ旅団の4名の戦闘員も死亡している。さらに、25名余りのパレスチナ人(ほとんどが民間人で、そのうち11名が子どもたち)が負傷し、財産や電気設備はイスラエルの攻撃によって深刻な被害を受けた。

アムネスティがおおいに懸念しているのは、ガザへの最近の攻撃のうち少なくとも1件で、イスラエル軍が戦闘員と民間人の区別をしなかったことだ。イスラエル軍は3月22日、ガザ市近郊の人口密集地であるアルシュジャイヤに向けて4発の「ケシェット」迫撃砲弾を発射した。3発目の砲弾はアルヒル家の家屋の隣に着弾し、サッカーに興じていた青少年の一団に命中して、彼らのうち2名が死亡した。そして4発目の砲弾で、負傷者を避難させようとしていた男性とその孫が死亡した。他にも11名が榴散弾によって負傷し、そのうち少なくとも3名は重傷だった。負傷者のほとんどはアルヒル家の人びとで、8名は子どもたちだった。

イスラエル軍は声明の中で、これらの民間人犠牲者について遺憾の意を表明し、事件は調査されていると述べたが、その一方で、「民間人を人間の盾として使っている」とハマスを非難した。たとえイスラエル軍がパレスチナ武装グループからの発射への報復として迫撃砲弾を発射しているとしても、迫撃砲のような不精確な武器を人口密集住宅地域に対して使用することは、民間人を救うために必要な警告を出すという国際人道法の下でのイスラエルの義務に反している。アムネスティはイスラエル当局に対し、独立した調査に着手し、住宅地域への迫撃砲の使用を止めるよう要求する。

民間人が密集する地域にイスラエル軍が迫撃砲を発射したのはこれが初めてではない。「キャスト・レッド(鋳込まれた鉛)」作戦中、イスラエル軍は2009年1月6日、ジャバリア難民キャンプにある国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の学校近くに「ケシェット」迫撃砲弾を発射し、当時、学校に避難していた30名余りの民間人を殺害した。

この事件は当時、アムネスティや国連の調査委員会によっても広範に調査され、イスラエル軍による調査も始められた。2010年7月、ガザでの作戦についての調査に関するイスラエルの「第2次」報告書が出された。それによれば、この事件についての軍の調査を受けて、軍法務総監は、今後の民間人犠牲者を最小限にするために、人口密集地域への迫撃砲の使用を決定する軍令を改定すべきと勧告していた。8カ月が過ぎてもこの勧告が実行されていないようにみえることに、アムネスティは当惑している。

イスラエルは、境界内にいる人びとをロケット弾や迫撃砲弾から保護する義務がある。しかしそれは、正当な軍事目標と民間人を区別する攻撃の手段・方法を選ぶなど、国際人道法の下での義務を遵守するものでなくてはならない。

3月19日、パレスチナ武装グループはイスラエル南部に50発余りの迫撃砲弾とロケット弾を発射した。2名のイスラエル民間人が軽傷を負い、キブツにある建物が損害を受けた。ハマスの軍事部門であるイッズ・アルディン・アルカッサム旅団は、イスラエル南部に33発の迫撃砲弾を発射したことを認めた。そして、攻撃目標はイスラエル軍基地であり、3日前のイスラエル軍の空爆で旅団のメンバー2名が殺されたことへの報復だと述べた。

ロケット弾と迫撃砲弾の発射は23日から続いており、グラッド・ロケット弾がアシュケロン、アシュドッド、ベルシェヴァなどのイスラエルの都市もしくはその周辺に着弾し、財産が被害を受けたり住民が軽傷を負ったりした。

パレスチナ武装グループによるイスラエルへのロケット弾・迫撃砲弾の無差別発射を、アムネスティ・インターナショナルは改めて非難する。リチャード・ゴールドストーン判事に率いられたガザ紛争についての国連事実調査団は、2009年9月の報告書の中で、このような攻撃は戦争犯罪であると結論づけている。


アムネスティ・インターナショナル公式声明
2011年3月24日