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イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ自治政府:パレスチナの国連加盟に関する、アムネスティのQ&A

2011年9月30日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ自治政府
トピック:地域紛争
パレスチナ自治政府が国連において、その地位を昇格させるために行っている外交的努力は、ニューヨークの国連総会で大いに注目されています。パレスチナ自治政府は、パレスチナ国家がより広範に認知されるための戦略の一環として、国連への正式加盟を要請しています。

アムネスティ・インターナショナルは、イスラエルとパレスチナの紛争の解決、あるいは現在のパレスチナの動きを含む国家としての地位の問題について、いかなる立場も取りません。人権団体としての私たちの関心は、解決策、動き、協定がどのようなものであれ、パレスチナ人とイスラエル人の人権が十分に尊重されることにあります。しかしながら、国連がどう決定するにしろ、被占領パレスチナ地域(OPT)における人権の懸念について、同問題は重要な意味合いを持つことになります。

■国連におけるパレスチナの現在の地位は?

120を超える政府が、パレスチナを国家として認めています。しかし、国連総会ではオブザーバーの地位しか有していません。現在、パレスチナ解放機構(PLO)が代表を務めています。

■パレスチナ自治政府は何を要求しており、次に何が起こるのでしょうか?

パレスチナのマムード・アッバス大統領は、国連事務総長の潘基文(パン・ギムン)に、国連への正式加盟の申請書を提出しました。事務総長はこの申請書を、国連安全保障理事会に提出します。安保理がその申請を承認するには、構成する15の加盟国のうち9ヵ国以上の賛成が必要で、さらに拒否権を有している常任理事国の5ヵ国が、賛成もしくは棄権に投票しなくてはなりません。

もし可決されれば、続いてその申請は国連総会に送られ、加盟国の3分の2によって承認される必要があります。

安保理常任理事国5ヵ国のうち米国は、国連でのパレスチナの地位のいかなる昇格にも反対しており、必要であれば拒否権を行使すると言明しています。しかしながら、安保理での投票は遅れる見込みです。

■国連でパレスチナの地位が向上するための他の選択肢はありますか?

もう1つの選択肢は、パレスチナを相互承認し、国連と他の国際組織へのパレスチナの参加申請を支持するよう加盟国に求める決議案を、パレスチナ自治政府が国連総会に提出することでしょう。しかし、パレスチナ自治政府は国連総会にアプローチする前に、正式加盟の申請を安保理が検討するのを待つと、表明しています。

国連総会は、安保理からの承認勧告なしに国連への正式加盟の申請を承認することはできません。しかし、もしこの問題が承認勧告を待たずに国連総会にもちこまれた場合、国連総会はいくつかの選択肢を持つことになります。

パレスチナが、バチカンが現在持つのと同じ地位であるオブザーバー国家に昇格するよう勧告することもありえます。これは安保理の承認は必要ないですし、国連総会で求められるのも単純過半数にすぎません。しかし、この地位の権利と特権は定義されていないため、それを獲得する実践的な意味は不明瞭です。PLOが1974年に国連のオブザーバー資格を得て以来、国連総会はだんだんとオブザーバー資格での参加の権利を増やしてきており、今やオブザーバー国家のそれとほとんど変わりがなくなっています。

■パレスチナ国家承認のための試みは、被占領パレスチナ地域(OPT)に適用される法的基準、もしくは占領権力としてのイスラエルの義務に影響を与えるでしょうか?
イスラエルは、東エルサレムを含む西岸地区、そしてガザ地区で「効果的な支配」を保持しつづけており、両地区における占領権力のままです。これらの領域でのイスラエルの行動は、関連する国際人道法(占領の法)と国際人権法によって縛られています。占領権力としてイスラエルは、パレスチナ人住民の福祉と民間人の保護に責任があります。国連におけるパレスチナの現在の試みがどのような結果に終わろうとも、これらの責任は変わりません。被占領パレスチナ地域(OPT)におけるイスラエルの行動は、国際慣習法はもちろん、自らが署名・批准した多くの国際人権条約の下での義務に従うべきものです。

■パレスチナ自治政府が国家の地位を得ようと努力しているということは、国際刑事裁判所(ICC)を定めたローマ規程など、国際的な人権協定や条約を批准することができるということですか?

条約によって批准の条件も異なるため、それは条約次第です。

市民的および政治的権利に関する国際規約、そして経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約はどちらも、国連加盟国はもちろん、国連総会によって加盟するよう招かれた国家にも開かれています。それゆえ、たとえパレスチナの国連での地位が昇格されなくても、これらの条約へのパレスチナの加盟は国連総会決議で承認できるのです。このことはパレスチナ自治政府の人権義務を正式なものとすることになりますし、同自治政府は関連条約の機関による監視と定期的な検査を受けることにもなります。パレスチナ自治政府はまた、これまで通り国際慣習法の義務も負うことになります。

すべての国家は国際刑事裁判所(ICC)を定めたローマ規程に署名・批准することができます。パレスチナの国家の地位が今よりも認知されたり、国連総会で決議が採択されたり、もしくは国連での地位が昇格したりすることによってパレスチナがローマ規程を批准できるようになるかどうかについては、法的意見はさまざまです。しかし、これらの動きはどれも、パレスチナが国家の地位を得ることを支持するものであり、パレスチナ自治政府がICCの加盟国となる資格があると主張することを可能にするものです。

しかしながら、国家の地位を得ようとするパレスチナの試みを取り巻く現在の政治的操作はまた、ICCへのアクセスを阻むものでもあります。報道によれば、パレスチナ人たちがICCへの訴えを差し控えるという条件でパレスチナがオブザーバー国家に昇格する案を、EUが提示したようです。EU上級代表のキャサリン・アシュトンは、パレスチナ自治政府がローマ規程を批准できない新しい地位を国連で創出するよう提案していると伝えられています。

アムネスティは、パレスチナ人たちがICCにアクセスすることを妨げるいかなる企てにも反対します。そのような企ては、「すべての人びとが司法にアクセスできるべき」という基本原則に違反しています。そのような企てはまた、パレスチナとイスラエルの犠牲者たちがICCを通じて司法にアクセスすることを妨害することで、2008年から2009年にかけてのガザとイスラエル南部での紛争中になされた犯罪の免責を提案しているようにみえます。

■国家の地位を求める試みは、2008年から2009年にかけてのガザとイスラエル南部での紛争中になされた国際法の下での犯罪に対する説明責任・実施義務を求める努力に、どう影響するでしょうか?

2008年から2009年にかけてのガザとイスラエル南部での紛争中に、イスラエル軍とパレスチナ武装グループ双方によって戦争犯罪がなされたという証拠を、アムネスティ・インターナショナルは文書化しています。ガザ紛争についての国連事実調査団はこの評価に同意しています。イスラエル政府と事実上の統治者であるハマス双方が、信頼できる独立した調査もせず、国際法の下での犯罪の実行者を訴追していないと、アムネスティ・インターナショナルは結論づけています。

2009年1月、パレスチナ自治政府は2002年7月以降に同自治政府の領域でなされた犯罪について、「ICCの管轄権を受け入れる」という宣言書を提出しました。この宣言は2008年から2009年のガザ紛争の間、ガザとイスラエル南部でなされたすべての犯罪をカバーする可能性を持っています。

この宣言書が提出されてから、ICC検察官はその法的意味を検討してきましたが、その有効性についてはまだ何の決定もなされていません。もしこの宣言書もしくは今後提出される同様のパレスチナ自治政府による宣言が有効と考えられたならば、ICCは2008年から2009年にかけてのガザ紛争の間になされた犯罪を訴追できるかもしれません。

アムネスティは国連総会に対し、この状況をICCに付託することを安保理に促すよう要求しつづけてきました。加えてアムネスティは、普遍的管轄権を行使することで、紛争中になされたと申し立てがある国際法の下での犯罪を調査し、自国の法廷で訴追するようすべての国家に訴えつづけてきました。

国家の地位を求める試みは、パレスチナ自治政府とガザの事実上の統治者であるハマスによる国際法の下での犯罪、人権侵害に対する説明責任・実施義務を求める努力にどう影響するでしょうか?

もしパレスチナがおもな国連人権諸条約に署名・批准することになれば、パレスチナ自治政府が現在も行っている重大な人権侵害への説明責任を求める力を強めることになるでしょう。これらの人権侵害には、恣意的な逮捕、被拘禁者への拷問・虐待、裁判所からの被拘禁者釈放命令の拒絶、表現と結社の自由の恣意的制限などがあります。国際人権諸条約の署名者として、パレスチナ自治政府は国連条約機関によって監視され、人権侵害を防止するための措置を取らねばならなくなります。

2007年にガザを支配してから、事実上の統治者であるハマスも同様に重大な人権侵害をしています。さらに、不公平な裁判後に人びとを処刑したり、イスラエル南部への無差別ロケット弾発射という戦争犯罪をパレスチナ武装グループが行うことを防止しなかったり、捕虜となっているイスラエル人兵士、ジラード・シャリットへの人道的処遇を保証できていないことなどについて、ハマスは責任があります。

パレスチナ自治政府が国家の地位を求めることが、ハマスの人権侵害の説明責任を求める努力におよぼす影響は、それほど直接的ではありません。たとえパレスチナが国際条約に加入することになったとしても、それらの条約は非国家主体であるハマスには適用されません。

しかしながら、ハマスには慣習的な国際人道法の下での義務があります。もしパレスチナがICCを利用できるならば、ハマス当局とパレスチナ武装グループ双方に責任を取らせるための力を強めることになるでしょう。というのも、ICCは非国家主体が犯したものであっても、国際法の下での犯罪を調査・訴追することができるからです。
もし、国連でのパレスチナの地位が昇格すれば、アムネスティはパレスチナ自治政府がすべての関連人権諸条約に署名・批准するよう、働きかけることになるでしょう。


アムネスティ発表国際ニュース
2011年9月26日

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