妊産婦の健康状態を改善するために、女性差別の撤廃を

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2011年10月14日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:女性の権利

ASEAN(東南アジア諸国連合)は、MDG(国連ミレニアム開発目標)の下、全加盟国において「未成年女子および成人女性の性と生殖に関する健康状態を改善する」という目標を達成したいのであれば、早急に対策を打たなければならない。アムネスティ・インターナショナルは、新たな報告書の中でこのように述べた。

報告書「公正な選択を:ASEANにおける妊産婦の健康の改善への重要なステップ」は、マニラにおいてASEANの政府間人権委員会が開催され、加盟国10ヵ国における妊産婦の健康の改善に関する協議を行うことを受け、発表された。同報告書は、インドネシアとフィリピンにおける事例に基づいて執筆されている。

「たった1年前に定められた、妊産婦の健康の改善に関する目標に関し、いくつかのASEAN加盟国が約束を守れないおそれがあることは、非常に残念なことです」と、アムネスティのフィリピン支部のオーロラ・パロンは述べた。

「これは、女性の命に関して懸念のある国が、アセアンの加盟国内に1つもないような状態をつくる機会です。世界的に見ると、女性と少女に対する差別が最も顕著に表われるのは、予防可能な病気による、妊産婦の高い死亡件数です」

アムネスティはアセアン諸国に対し、未成年女子・成人女性のの生命を危険にさらす性や生殖に関する健康の妨げになるもの、とりわけ差別的な法律、政策、または医療従事者の姿勢や慣習を排除するよう、要求した。

アセアン諸国は2010年、性と生殖に関する医療サービスや、安全な家族計画法に関する情報へのアクセスを改善することを誓った。

フィリピンは、2015年までに出産の際に死亡する妊産婦の数を、10万人のうち94から52に減らす、というミレニアム開発計画を達成できそうにない。同国では、避妊具の入手は制限され、膣外射精を含む、いわゆる「自然」とされる頼りない家族計画が、他の方法よりも公に奨励されている。

インドネシアでは、人口10万人あたり228人もの女性が命を落としている。インドネシア政府は「2015年までに10万人あたりの致死件数を102まで減少させる」というミレニアム開発計画を達成できないことを、2010年に認めた。

インドネシアでは、性・生殖に関する医療サービスへのアクセスが、法律や慣習上、厳しく制限されている。多くの避妊具は、使用や手入れに関して夫の許可が必要であり、このことが、未婚女性や未成年女子のみならず、既婚女性による入手を阻んでいる。

インドネシアでは、性と生殖に関する健康のサービスを受けることは、法律と慣例で厳しく制限されている。多くの避妊手段は夫の許可を必要とするものであり、これが、すべての未婚女性と少女たちおよび既婚女性へのサービスの供給の妨げとなっている。

人工妊娠中絶は、インドネシアの大部分の地域とフィリピン全域で犯罪とみなされている。

「女性が自らの権利を行使するために、こんなにも多くの妨害に直面しているということは、実にぞっとする話です。避妊を制限するということは、望まない妊娠と、何万もの公にならない、危険な人口妊娠中絶を助長することであり、それは女性の健康に、きわめて深刻で重大なリスクをひきおこすのです」と、オーロラ・パロンは述べた。

フィリピン政府は現在、「生殖に関する健康法案」について討論している。同法案は、性、生殖と母性の健康のためのサービスについての情報と利用の権利の向上をめざしているもので、最初1999年に議案として議会に提出された。その法案はまた、貧困に生きる女性と子供たちに医療への優先的アクセスを約束するものである。

「おしゃべりと空虚な政策発表の時間は終わりました。アセアン諸国は法令を制定するだけでなく、実行する事も約束しなければなりません」とオーロラ・パロンは語った。

「彼らは差別的な法律と政策を見直し、女性と少女たちに対する姿勢の変化をもたらすために、医療従事者たちとコミュニティを教育すべきです。
それが実現したとき、本当の意味でのアセアン諸国の妊婦の死亡率と女性の性と生殖に関する健康の改善がなされるのです」

アムネスティ発表国際ニュース
2011年10月14日